日本製鉄 水質測定データの排水基準超過調査結果を公表
日本製鉄は12月27日、今年 11 月 7 日に公表した、東日本製鉄所君津地区における水質測定データの排水基準超過の調査結果について公表した。同社リリースでは以下のように伝えている
1.水質測定箇所の誤りについて
・去る 11 月 7 日、東日本製鉄所君津地区の排水口で実施した自主的な水質測定(採水日:11 月 6 日)にて、シアン濃度が 0.1mg/L となり、水質汚濁防止法および千葉県条例に定めるシアンに係る排水基準(0.1mg/L 未満)の超過が確認されたことをお知らせいたしました。
・しかしながら、当該基準超過の原因調査を行う過程において、シアン濃度 0.1mg/L が測定されたのは、#16 排水口ではなく、同排水口から約 15m上流に位置する、構内の雨水処理水槽で採水されたサンプルであったことが判明いたしました。
・また、#16 排水口の自主的な水質測定結果として千葉県にご報告していた数値も、2022 年 6 月 29 日から 11 月 8 日まで(一部期間を除く)の採水分については、上記の雨水処理水槽で採水されたサンプルの測定結果であったことが判明いたしました。
・測定個所を誤った原因は、採水業務を委託する事業者に対する当社の指示の不徹底によるものであり、一連の事案に対して再発防止策を実行している中、このような事態を招き、誠に申し訳ございません。
・なお、水質汚濁防止法および千葉県「測定回数条例」に基づき行っている法定測定については、本来の#16 排水口の採水場所にて採水を行っておりました。
・また、#16 排水口以外の排水口における水質測定についても、本来の採水場所で採水がなされていることを確認しております。
2.構内の雨水処理水槽においてシアンが検出された原因とその再発防止策
・9 月 30 日に千葉県・木更津市・君津市・富津市に報告いたしました#16 排水口(第 4 高炉)事案に係る一連の対策については、確実に実行しており、今回、構内の雨水処理水槽にて採水したサンプルからシアンが検出されたのは、以下の点から、当該対策内容の不備が原因ではないことを確認いたしました。
①過去の#16 排水口における排水基準超過の原因であった、第 4 高炉集塵水処理系統の各水槽からの越流は発生していないこと
②シアン処理装置および樋薬注装置は正常に稼働しており、第 4 高炉集塵水処理系統における水質測定でも、シアン濃度は適正レベルを維持できていること
・また、今回、雨水処理水槽から採水したサンプルにおいてシアンの検出が判明した後、原因調査のため、#16 排水口およびその上流の雨水処理系統について水質測定を実施しましたが、いずれの箇所でもシアンは不検出(0.1mg/L 未満)でした。
・そこで、サンプル採水時の外的要因(排水水質以外の要因)による影響を想定し、雨水処理水槽の底部等に堆積していたスラッジを採取して分析したところ、シアンが検出されました。
・以上から、構内の雨水処理水槽にて採水したサンプルからシアンが検出された原因は、水質測定のサンプルの採水時に、過去から雨水処理水槽に堆積していたスラッジがサンプルに混入したことによるものと推定しております。
・雨水処理水槽の底部等に堆積していたスラッジからシアンが検出されたことを踏まえて雨水処理系統の上流を調査したところ、製鉄所西地区のヤード周辺の雨水側溝付近に堆積しているスラッジからもシアンが検出されました。
・当該ヤード周辺の一部区域の道路においては、路面の湿潤性を維持して発塵防止を図るため、少量の第 4 高炉集塵水を再利用していました。
・この集塵水中に含まれるシアンは、路面から集塵水が蒸発すると共に揮発しますが、路面に残ったスラッジは、路面が湿潤しているために飛散することはなく、雨水により側溝に流されていました。
・これらの事実から、雨水処理水槽の底部等や雨水処理水槽に至る雨水側溝付近にシアンを含むスラッジが堆積していた原因については、湿潤した状態で路面に残存していたシアンを含むスラッジが雨水で側溝に流され、雨水処理水槽に徐々に流入したことによるものと推定しております。
・なお、当該集塵水中のシアンが揮発した場合の大気中のシアン濃度を試算した結果、日本産業衛生学会が定める健康に影響を及ぼす許容濃度を大きく下回ることを確認しております。
・現在は、路面の湿潤性を維持して発塵防止を図る目的での第 4 高炉集塵水の再利用は実施しておりません。
・再発防止策といたしまして、雨水処理水槽およびその上流系統に堆積しているスラッジを浚渫し、除去いたします。
3.#16 排水口における水質
構内の雨水処理水槽で採水されたサンプルの測定結果を#16 排水口の自主的な水質測定結果として千葉県にご報告していた期間(2022 年 6 月 29 日から 11 月 8 日まで(一部期間を除く))においては、以下のとおり、#16 排水口におけるシアンの排水基準超過を示すデータは確認されておりません。
・11 月 6 日に雨水処理水槽においてシアン濃度 0.1mg/L が検出された原因は、上記のとおり、採水時にスラッジがサンプルに混入したことによるものと推定されること、当該サンプルの採水時は、雨水処理水槽は停止状態であり排水は行われていなかったこと等から、11 月 6 日は#16 排水口におけるシアンの排水基準超過はなかったものと考えております。
・11 月 6 日を除く期間のうち、少なくとも 8 割を超える日(9 月 30 日に千葉県・木更津市・君津市・富津市に報告いたしました、#16 排水口(第 4 高炉)事案の対策のひとつである第 4 高炉集塵水の越流防止対策を実行した 8 月 17 日以降においては、全ての日)については、以下のいずれかに該当することを確認しております。
① 本来の#16 排水口の採水場所における水質測定結果(千葉県の毎週の定期立入調査時に当社が行った水質測定の結果や、当社が自主的に実施した水質測定の結果)において、シアンが不検出(0.1mg/L 未満)であったこと
② #16 排水口の上流に位置する 2 箇所の雨水処理水槽において、シアンが不検出(0.1mg/L 未満)であったか、#16 排水口への排水がなかったこと
・その他の 2 割弱の日についても、♯16 排水口におけるシアンの排水基準超過の可能性を示すデータは確認されておりません。
当社は、地域の皆さま、行政その他関係者の皆さまからの信頼を回復できるよう、一連の事案に対する再発防止策に引き続き徹底して取り組んでまいります。
(出典:日本製鉄)
(IR universe rr)
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