エマルションフローテクノロジーズ、リーテックとグローバルなLIBリサイクル 協業に向け検討開始
株式会社エマルションフローテクノロジーズ(本社所在地:茨城県那珂郡東海村、代表取締役:鈴木裕士、以下EFT社)とリーテック株式会社(本社所在地:東京都千代田区、代表取締役:小森田 司、以下Re-Teck社)は、グローバルなリチウムイオン電池リサイクルの協業に向けた検討を開始するにあたりMoU(基本合意書)を締結した。
昨今の電気自動車の急速な普及により、リチウムイオン電池(LIB)に使用されるコバルトやニッケル、リチウムといったレアメタルは2025年頃より供給不足が顕在化すると言われている。また、レアメタルの需要増加に伴い、資源紛争、環境破壊、人権侵害といったレアメタルを取り巻く地政学的リスクの高まりが懸念されており、リサイクルによるレアメタル資源の確保が世界的に望まれている。
(出典:エマルションフロー)
EFT社は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が開発した溶媒抽出技術「エマルションフロー」を活用した事業を展開するレアメタルリサイクルベンチャー企業であり、2021年4月5日に設立された。このエマルションフローは、従来の溶媒抽出技術に比較して、低コストで高効率に高純度な元素分離を可能にする革新的な技術であり、レアメタルを取り巻く様々な課題を解決すると期待されている。特に、EFT社のレアメタルリサイクル事業では、このエマルションフローを活用することで、LIBに含まれるレアメタルを低コストで高純度に回収する技術を確立し、LIBから回収したレアメタルを再びLIBに利用する「水平リサイクル」の実現を目指してい流。
この度EFT社は、Re-Teck社と共同で、グローバルなLIBリサイクルの早期事業化を目指した業務提携を検討するにあたりMoU(基本合意書)を締結致した。Re-Teck社はグローバルにリサイクルビジネスを展開するLi Tong Group (HQ:米国サンフランシスコ・香港)の日本法人。Li Tong Groupは、2000年に香港に設立されたリバースサプライチェーンマネージメント(RSCM)サービス※1を展開する環境ビジネスのリーディングカンパニーであり、APAC、EMEA、米州 の世界 30以上の拠点において情報通信機器を中心としたリサイクル事業を展開してい流。また、Re-Teck社はLIBリサイクル事業にも参入しており、自社の保有するユニークなブラックマス生産技術により、年間数千トン規模のクローズドループバッテリーリサイクル施設を米国ダラスに構え、その拠点を欧州にも拡げている。
同業務提携では、Re-Teck社のグローバルネットワークを活用して、情報通信機器や電気自動車から排出される退役LIBをアジア・中東地域から回収し、日本に集積することで、日本国内においてブラックマスを生産、そして、EFT社のエマルションフロー技術により、コバルトやニッケル、リチウムといったレアメタルを低コストで高純度に回収し再資源化することを目指している。すなわち、リーテック社の強みであるグローバルなLIB回収力とユニークなブラックマス生産技術、そしてEFT社の強みであるエマルションフロー技術を最大限に活用し融合することで、日本をアジア・中東地域におけるLIBリサイクル拠点の一つに成長させることを目指している。今後2023年3月末までに、事業化に向けた実施体制や事業モデル、事業計画等を策定し、2023年度以降に具体的な協業を開始する予定。
※1:RSCMサービス:お客様から回収した機器を、機器・コンポーネント・パーツ・原材料の4段階に分け、最も付加価値の高いレベルで市場に再出荷するサービス。
■エマルションフロー技術説明
溶媒抽出とは、物質の分離・精製手法の一つであり、互いに交じり合わない液相間における物質の分配を利用することで、目的成分のみを選択的に抽出するための技術。エマルションフローは、従来の代表的な溶媒抽出技術であるミキサーセトラーに必要な静置部(セトラー部)を必要としないため、従来技術の10倍以上の生産能力を可能とし、ゆえに従来比1/10以下のダウンサイズに加え、ランニングコストの低減を実現できる。また、連続処理が可能な多段エマルションフローを用いれば、99.99%以上の高純度化が可能であり、従来技術のミキサーセトラーと比較して低コストで高効率にレアメタルの高純度精製が可能となる。
(IR universe rr)
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