三菱マテリアル 資源循環領域拡大・強化へ向け組織再編
三菱マテリアル株式会社は、2023年4月1日付で、資源循環事業および再生可能エネルギー事業強化のため、組織再編を行う。
同社グループは本日、2023年度から2030年度までを対象とする「中期経営戦略2030」を発表した。新たに「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿とし、自社の強みをもとに金属資源の循環を強化し、対象範囲、展開地域、規模の拡大によりバリューチェーン全体での成長実現に取り組んでいく。
この目指す姿の実現に向けて、当社グループの強みである①リサイクル原料から有価金属を取り出すコア技術を有する製錬リサイクル事業(金属事業カンパニー)、②家電・自動車などの廃棄された製品を効率的に解体し、銅製錬プロセスなどに投入する材料を作り出すプロセス・技術に強みを有する環境リサイクル事業(環境・エネルギー事業カンパニー)について2つの事業を統合し、金属事業カンパニーの運営下において全体最適での収益機会創出を追求、実行する体制とする。
これにより、廃棄製品から銅製錬などのプロセスへ投入可能な原料を取り出し、有価金属を抽出することを一貫した事業として効率的に行い、高い競争力を持つビジネスモデルの構築を目指す。
また、2045年度のカーボンニュートラル達成、さらには2050年度にはグループ全体で消費する電力と同量以上を自社再生可能エネルギーで発電する目標を達成するために、全社として再生可能エネルギー事業を戦略的に推進していく体制としている。新たな組織体制のもと「中期経営戦略2030」の着実な実行を目指していく。
「中期経営戦略2030」より 本組織再編に関連する事業・分野
【概要】
2023年4月1日付で、次のとおり組織再編を行う。
* 環境リサイクル事業を「金属事業カンパニー」へ統合し、「資源循環事業部」を新設
* 再生可能エネルギー事業を「戦略本社」へ移管し、「再生可能エネルギー事業部」を新設
(補足:2023年4月1日付で環境・エネルギー事業カンパニーは廃止となる。)
温室効果ガス排出量削減目標および気候関連リスク・機会に係るシナリオ分析を見直し
~約400億円を投資し、GHG削減目標を引き上げ~
三菱マテリアルは、同社グループの温室効果ガス(以下「GHG」)排出量(事業者自らによる直接排出であるScope1および供給されたエネルギー利用に伴う間接排出であるScope2)の削減目標を見直した。
2022年10月に多結晶シリコン事業の譲渡を公表したことを機に、これまで2013年度比で47%と設定していたGHG削減目標の基準年度を2020年度に改め、2030年度までに47%削減(2013年度比52%削減)とした。この目標の達成に向け、2030年度までに主に製造拠点の省エネ、設備改善などへ105億円の投資を行い、GHG排出量削減に取り組みます。なお、自社の活動に関連する他社の排出(Scope3)については、2030年度までに2020年度比13%以上削減する。
さらに、2045年度のカーボンニュートラル実現のため、社が強みを持つ地熱発電などの再生可能エネルギーの開発、利用拡大を進め、目標値として2035年度に自社使用電力の再生可能エネルギー利用率を100%、その内の66%を自社再生可能エネルギー由来電力とすることを定める。これに伴い、2030年度までに再生可能エネルギー事業へ300億円の投資を行う。
GHG削減目標について
再生可能エネルギーについて
加えて、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言に基づくシナリオ分析についても見直しを行い、同社の気候変動に関連するリスクと機会を分析し、同社事業の指標と目標を定めた。
【TCFD提言に基づいた気候変動シナリオの分析】
国際エネルギー機関(IEA)が 「World Energy Outlook 2021」にて示している、2050年までにCO2排出量がゼロとなる「ネットゼロシナリオ(NZE)」と現在の政策設定を反映させた「公表政策シナリオ(STEPS)」を主に使用し、2050年カーボンニュートラルに向けた世界(1.5℃シナリオ)と現行・成り行きの世界(4℃シナリオ)について、事業・財務、戦略への影響を分析している。
TCFD提言に基づく当社のシナリオ分析の概要
(IR universe rr)
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