日本トムソン(6480) 23/3Q3決算メモ 半導体製造装置向けリニアガイド等好調で最高益
23/3期10.0%増収44.2%経常増予想は08/3期抜き最高益予想、24/3期横ばい確保期待
株価620円(2/13) 時価総額455億円 発行済株73501千株
PER(23/3DO予6.0X)PBR(0.64X)配当予18円 配当利回り:2.9%
・23/3Q3は10.5%増収97.5%営利増と上伸、但し円安一服で経常6.9%増、受注は19%減
・23/3期10.0%増収44.2%経常増益予想に変更無く、08/3期を抜き経常最高益更新予想
・24/3期は能増効果で豊富な受注残適正化し償却負担増の中で増収利益横ばい確保へ
23/3Q3は10.5%増収97.5%営利増と上伸、但し円安一服で経常6.9%増、受注は19%減
直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等の小型精密品中心に強味。2/13に23/3Q3決算が開示され、売上高177.89億円(10.5%増)、営業利益31.46億円(97.5%増)、経常利益22.06億円(6.9%増)、税引利益15.58億円(8.8%増)に。円安一服から営業外で為替差益減から経常利益の伸びは少ないものの収益続伸となった。なお受注高は146.0億円(19.1%減)とQ2に続いてBBレシオ1割れとなったが、受注残高は412億円(12.3%増)と依然積み上がったままに。
地域別で全地域が増加。日本は83.65億円(4.9%増)と一般産業向け8.7%増、工作機械向け30.3%増、一方でエレクトロニクス向けが5.0%減で、唯一1ケタの伸びに。海外は米国が22.56億円(23.0%増)と医療機器や精密機械向けなど一般産業、市販が好調、また円安も寄与。最大仕向先の中国も34.47億円(32.8%増)とロックダウン影響軽微で半導体製造向けなどで伸長、欧州も14.92億円(12.3%増)と全般にわたり好調に推移した。
利益面では増収効果に加え、生産高効果、生産効率改善による原価低減、円安も寄与し、総利益率が同期比7.6ポイント、Q2比でも3.5ポイント向上し39.1%となり、大幅増に。なお営業外では為替差益がQ2の14.44億円(同期比13.03億円増)からQ3は3.94億円に縮小、経常利益の伸びは同期比為替益21.8%減などもあり伸び率鈍化に。
なお23/3Q3累計での同期比営業利益増減分析では為替益25.15億円、増収効果8.27億円、原価低減10.68億円の増益効果に対し、販管費増7.77億円の減益効果で、為替影響を除いても29.1%営利増となっている。
23/3期10.0%増収44.2%経常増益予想に増額、08/3期を抜き経常最高益更新予想
現状、Q3累計での進捗率は売上76%、営利83%、経常利益77%となっており、上期増額修正予想を据え置き、売上高685億円(10.0%増)、営利90億円(52.6%増)、経常利益108億円(44.2%増)、税引利益74億円(79.0%増)予想とした。逆算しQ4は1.7%増収26.1%営利減予想となる。現状、円安効果が薄れ、Q4は利益率が低下すると見ているが、ここに来て生産が順調に拡大、受注減ながら依然として受注残が積み上がった状況で、Q4に売上高がQ3比減少するとは考えにくく、少なくともQ4でQ3横ばい程度は確保できると判断、23/3期売上高700億円弱が見込める。なお売上増額で営業利益についても増額が期待されるが、円安一巡で経常利益は会社計画並みに止まるものの、経常最高益更新となろう。
24/3期は能増効果で豊富な受注残適正化し償却負担増の中で増収利益横ばい確保へ
24/3期は同業のTHK(12月決算)が23/12期予想で8.6%減収、12.9%営利減予想を出すなど、半導体製造装置向け受注などは2ケタ減少が想定される。しかし高精度要求の高まる中で世界初のローラータイプの直動案内機器で走行精度をさらに向上させた製品を投入、半導体製造装置向けに加え医療機器向けへ拡販が見込まれ、また同社が得意とするチップマウンタ向けに極小ボールスプライン等の拡大、さらには多関節化で使用個数が拡大するロボット向けクロスローラ軸受などの受注拡大が見込める。さらに下期からは半導体製造装置向けで受注回復が見込まれ、豊富な受注残高に対し生産能力拡大で対応、24/3期は償却負担増を効率アップで補い増収利益横ばいを確保しよう。
株価は08/3期以来の経常最高益更新予想を評価、2022年高値690円目標
株価はQ2の増額修正で12/1に621円まで戻したあと全体増場下落で1/4には502まで下落も改めて割安感も有り戻り歩調で2/13には12/1を抜く624円の戻り高値を付けた。23/3期会社予想に対し、営業利益増額、円安一巡で経常利益は会社想定並みになると見られるが、営業利益でほぼ最高益、経常利益で最高益更新見通し。会社予想EPS103.95円に対しPER6.0倍は直動最大手THKのPER15.1倍、精密ボールネジの黒田精工16.2倍に対して依然割安感がある。また精密直動軸受比率の高い同社は依然として大きな受注残高を抱え、24/3期も緩やかながら増収を確保、利益は投資負担を補い横ばい確保が見込まれる。このため当面、昨年1/4の高値690円を目標にBUY継続とする。
(H.Mirai)
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