XMET深圳鑫茂新能源技術、LFP・負極材リサイクルのパイオニア企業として注目
中国のリチウムイオン電池リサイクル・再生利用分野で注目を集める企業の一つ、深圳鑫茂新能源技術股份有限公司(Shenzhen Xinmao New Energy Technology Co., Ltd., XMET)は、電池正極・負極材料および新型カーボン材料の研究開発・製造・販売を手がけるハイテク企業だ。
2015年に設立されて以来、同社は30年以上のバッテリー業界のノウハウを活かし、年間14万トン以上のリサイクル処理能力、6つ以上の大規模生産拠点を有するなど、急成長を遂げてきた。特に物理法によるLFP(リン酸鉄リチウム)とグラファイトの再生技術においては中国国内で先駆的な存在であり、同分野における業界標準の策定者でもある。
同社の技術は、水を使用せず、騒音もなく、燃焼や爆発のリスクがないという環境負荷の低さが特長で、従来の化学リサイクル(回収率約12%)を大きく超える95%以上の回収率を実現。これにより、LFPやグラファイトのリユースを可能にし、資源循環とコスト低減を両立している。
主要製品とアプリケーション
鑫茂技術は、以下のようなリサイクル製品および新造材料を展開している:
負極グラファイト再生材料:RG1/RG1-A
– 用途:デジタル製品、家庭用・産業用蓄電、小型電動モビリティ、EV など
新造負極材料:K1/K3/Q1/Q3/G1
– 用途に応じて、石油コークス、ニードルコークスなどを用いた一次・二次粒子設計がなされ、電力貯蔵や寒冷地での低温性能にも対応
正極LFP再生材料:F-1/F-2
– 同社独自の物理法で容量修復とアルミ箔分離を行い、高い純度と容量安定性を確保
– 用途:通信・蓄電、小型モビリティなど
特筆すべきは、すべての製品が自社の知的財産・特許技術に基づいて開発されており、CATL、ATL、華為(HUAWEI)、超威、天能グループなど中国大手との安定的な取引を築いている点である。
多拠点にわたるサプライチェーンと設備体制
深圳本部: 自動化工場とR&D拠点を併設(年産8,000トン)
貴州基地: 年産15万トン(負極10万、正極5万)の最大拠点
東莞基地: 年産2万トン(小型・通信・ストレージ向け)
深汕基地: 建設中の新本部(年産5万トンの退役電池再生設備)
その他、広西、江西、重慶にも石墨化・一体化ラインを展開中
近年、日本市場におけるLFP電池と蓄電ソリューションの拡大が進む中、鑫茂技術は今後、日本のEV・蓄電分野でのパートナーシップ構築にも注力する構えを見せている。こうした展開の一環として、同社は2025年9月25日に東京で開催される『第12回バッテリーサミット』にて講演ゲストとして登壇予定である。
関連記事:
9月25日(木) 第12回 Battery Summit in TOKYO
LFPやグラファイトにおける中国最前線の技術動向とリサイクルの可能性について、日本の業界関係者に向けてどのような知見を共有するのか、大きな注目が集まっている。
(IRuniverse Lin)
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