韓国POSCO社4月SUSscrap単価は大幅ダウン&国内市場は荷止め前線発達中
韓国POSCO社は3月29日に韓国国内の原料サプライヤーに4月のステンレススクラップ購入単価を通知。それによると、304系スクラップは3月比キロ当たり110ウォン下げの2060ウォン、316系は同比220ウォン下げの3830ウォン、430系はスキップとなった。29日現在の為替レートで計算した円換算では304系はキロ当たり17円下げの208円、316については32円下げの388円とMo下落を映した大幅ダウンとなった。
→ モリブデン&バナジウム市場近況2023#3 Moは上がり過ぎからの急落続落
(POSCO SUSscrap価格の推移)
(ニッケル&為替&スクラップ価格の推移)
(*3月は29日現在までの平均値および数値)
一方、日本国内では3月通して304系は20円下げで210円を高値とすると190円に下落、という恰好。それ以上にディーラーにとって切実な問題は売り場が無い、ということでスクラップディーラー各社でも「荷止め」を行うところが散発。中国向けの中華系ディーラーもすでに買いの手を引いており、国内メーカーはほぼほぼ荷止め。残る売り場として親和スチールだったが、そこも一気に流入してきたことで大阪は荷止めに入った様子(29日から)。
「これほど一気に市場が暗転するとは・・・」とステンレスおよび特金スクラップ扱いディーラーは驚きとともに呆然自失。4月以降も状況が改善する可能性は低い。5月は日鉄光と周南が恒例のメンテテンス炉休。さらに購入量は落ちる。現時点でも6月までは需要環境の好転は予想しづらいところ。
相場的には304スクラップは190円が昨年の最安値150円まで落ちる可能性もある。LMEニッケルよりも現物に即したニッケル銑鉄はすでに急角度に下落している。304スクラップとの相関関係ではLMEニッケルよりもニッケル銑鉄とのそれのほうが明確に理解できるだろう。
ニッケル銑鉄価格(RMB/mtu)と国内304系スクラップ相場(\/kg)の推移 3か月
これはスクラップのみならず鋼材も販売不振のきわみにある。だからこそ各社とも大減産を行っているため原料需要も不振に陥っている。朝のこない夜はない、が今回も再び長い夜になりそうな、長い低迷期に入ったステンレススクラップ市場である。
(IRUNIVERSE/MIRUcom YT)
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