新着情報

2024/05/01   輸出鋼材のスプレッ...
2024/05/01   日中ホットコイル輸...
2024/05/01   アルミ合金&スクラ...
2024/05/01   2024年4月LM...
2024/05/01   2024年4月LM...
2024/05/01   2024年4月LM...
2024/05/01   エンプラス(696...
2024/05/01   Americas ...
2024/05/01   2024年4月LM...
2024/05/01   2024年4月LM...
2024/05/01   インド、「重要鉱物...
2024/05/01   水酸化リチウム輸入...
2024/05/01   酸化コバルト輸入R...
2024/05/01   硫酸ニッケル輸入R...
2024/05/01   2024年4月LM...
2024/05/01   G7、石炭火力の段...
2024/05/01   2024年4月フェ...
2024/05/01   2024年4月 マ...
2024/05/01   2024年4月 レ...
2024/05/01   MARKET TA...

実需回復見られず銅・亜鉛は下落傾向に――JOGMEC4月レポート

JOGMECがまとめた4月の「非鉄金属市況と需給動向」によると、銅、亜鉛は4月も米中の経済動向見合色の強い市況展開となった。市況下押し材料となる経済指標の発表などが相次ぎ上旬に値を下げた後、米の金融政策を巡って減速期待から中旬にかけて高値を追ったが、その後は再び警戒感が広がり下旬にかけて下落傾向を示した。ニッケルも上・中旬は、銅、亜鉛と同じ足取りを辿り、20日に月間最高値を付けた。月末付近は需給緩和観測から若干調整色も出たが、ほぼ横ばいでの推移となった。

 

4月の市況動向

 

銅・亜鉛

上旬は弱いマクロ経済の動きにより下落も中旬は米ドル安で反発

銅は8,966.0US$/t、亜鉛は当月最高値2,937.0US$/tでスタートした。3日、OPECの減産による石油価格の急騰が米国におけるインフレを引き起こし、米金利上昇の可能性が高まるという見方が強まった。発表となった2023年3月の製造業PMI(ISM)は米国46.3、中国50.0。また、中国の2023年1~2月自動車生産台数も前年同期比14%減となるなど、弱いマクロ経済や各国実需要の低迷が圧迫要因となった。

 

しかし、銅に関しては、チリCodelcoが、続く干ばつや鉱石品位低下のため2023年生産量見通しを引き下げた。チリの銅月生産量は6年間で最低となり、供給懸念が大幅な下落を抑制した。一方、12日、米の3月消費者物価指数(CPI)の伸び率は前年同月比5.0%の上昇と大幅に減速し、インフレ鈍化期待による米金利緩和見込み・米ドル安から反発した。銅は14日に当月最高値9,082.0US$/tをつけ、亜鉛も当月最高水準まで上昇した。

 

下旬は再度の経済減退見込み台頭により下落傾向、供給の緩和も下落に影響した模様

依然米国では強いインフレが続いているという見方が台頭し、再び下落傾向となった。銅に関して、19日、コンゴ民主共和国において、CMOC GroupがGecamines社とロイヤルティの問題に対する合意に達しテンケ・フングルーメ銅鉱山からの輸出再開の可能性や、中国の3月の銅輸入量が前年同月比19%減となったことも影響した。またチリでCESCO銅会議が開催されチリの減産など潜在的な供給懸念が指摘されたが、実需用冷え込みへの警戒感が大勢で影響は限定的だった。

 

亜鉛は、LME在庫が低水準ながら年初来216%増となり、欧州の製錬所操業再開と合わせて需給が緩和。27日、中国の工業利益や米国の第一四半期のGDPなどが全て市場予測を下回ったことで銅は8,465.5US$/t、亜鉛は2,610.0US$/tと当月最安値を付け、それぞれ8,571.0US$/t、2,680.0US4/tで越月した。

 

 

 

ニッケル

上旬は景気動向で圧迫も中旬からは需給懸念が押し上げる

当月のニッケルは、23,560.0US$/tでスタートした。上旬は銅・亜鉛と同様に米金利上昇見込みや世界的な需要の弱さに圧迫され、6日に当月最安値22,500.0US$/tをつけた。11日、年初より20%近く減少しているLME在庫の状況から、Class 1の需給が引き締まっていることが示唆され上昇した。また同日、Global Commodities Holding(GCHL)社とPT IKIがインドネシアにおける「ニッケル指数」を導入するという覚書を発表し、市場がLME以外のベンチマークを求めるというLMEの信用問題に改めて焦点が当たる中、上昇幅は大きくなった。

 

18日、インドネシアで錫の輸出禁止計画が進んでいるという話が市場で広まり、すでにインドネシアでニッケル鉱石輸出は禁止されているもののさらなる規制に対する懸念が強まった。さらに20日、BHPがNickel Westのニッケル精錬所における環境問題などで2023年の生産量ガイダンスを削減し、供給懸念が増す中25,540.0US$/tと当月最高値をつけた。

 

27日、INSGが2023年のニッケル需給バランスは供給過剰という見通しを発表したことで需給タイト感は緩和、月末は横ばいで推移し23,770.0US$/tで終えた。 

 

    

 

需給動向 -銅-(4月発表分)

ICSGによる世界地金需給バランス予測、2023年は114千tの供給不足、2024年は298千tの供給過剰

 

①2023年の世界鉱石生産量の伸び率は3%、2024年は2.5%の予測:

国際銅研究会(ICSG)によると、操業上の事由、数カ国での企業ガイダンス改訂やペルーでの地域活動により2023年の世界鉱石生産量の伸び率は2022年10月の予測を下方修正し3%。コンゴ民主共和国のカモア・カクラ鉱山やテンケ・フングルーメ鉱山、ペルーのケジャベコ鉱山やトロモチョ鉱山、チリのケブラダ・ブランカ鉱山からの追加生産が寄与。2024年は主要プロジェクトの稼働が年後半になるため伸び率は2.5%に留まる見込。

 

 

②2023年の世界地金需給バランスは114千tの供給不足予測:

ICSGによると、2023年の世界地金供給量は南米での新規プロジェクトや、中国やコンゴ民主共和国での処理能力拡張による供給拡大が見込まれ26.3百万t(前年比2.6%増)、世界地金消費量はコロナ禍からの回復でアジアや欧州の需要が増え26.4百万t(同比1.4%増)、2023年の地金需給バランスは114千tの供給不足の予測。ただし2022年よりは不足幅が狭まる。

 

③2024年の世界地金需給バランスは298千tの供給過剰予測:

ICSGによると、2024年の世界地金供給量は、2022~2023年にかけてペルーのケジャベコ、チリのケブラダ・ブランカ、コンゴ民主共和国のキサンフなど新規・拡張プロジェクト稼働により27.5百万t(前年比4.4%増)、世界地金消費量は中国の消費量の増加から27.2百万t(同2.8%増)で、2024年の地金需給バランスは298千tの供給過剰の予測。

 

 

需給動向 -亜鉛-(4月発表分)

ILZSG発表の2月需給バランスは7か月ぶりの供給過剰、

2023年のバランス見通しは供給不足が続く

 

①2023年2月鉱石生産量は減少:

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)の2023年4月発表によると、 2023年2月の鉱石生産量は964.9千t(対前月比3.4%減、33.8千t減)と対前月比で減少した。中国で春節が終わったにも関わらず生産が伸び悩んだほか、生産コスト増加を背景にアイルランド、スウェーデンで減産した。また豪州では中国のMMG社のDugald River 鉱山が事故で操業停止したことにより10%近く減産し、米国ではカナダTeck  Resources社のレッド・ドッグ鉱山が猛吹雪の影響を受けたことにより減産している。道路封鎖やストライキが収まりつつあるペルーでは、小幅な増産が見られた。

 

 

②2023年2月需給バランスは7か月ぶりに供給過剰に:

2023年2月の地金生産量は 1,082.8千t(対前月比0.4%減、4.1千t減)、地金消費量は1,060.0千t(対前月比 4.3%減、48.0千t減)で22.8千tの供給過剰となった。地金生産量は、中国、韓国、ドイツなどで小幅に減産するも概ね堅調に推移した。一方地金消費量は、中国で低迷する経済により冷え込む実需要から減少し続けているほか、韓国、ドイツ、イタリアなどでも減少した。消費量の減少により、需給バランスは7カ月ぶりに供給過剰となった。

 

③2023年の需給バランス予測は45千tの供給不足:

ILZSG春季大会で、2023年の亜鉛の需給バランスは45千tの供給不足という予測が発表され、2022年10月の予測である150千tの供給不足から大幅に需給が緩和された。鉱石生産量は、カナダLundin Mining社のポルトガルのネベス・コルボ鉱山の拡張や英Adriatic Metals社のボスニアヘルツェゴビナのヴァレシュ鉱山操業開始により、世界全体で3%の増産が見込まれている。また地金生産量は、中国、豪州、カナダ、カザフスタン、メキシコで増産するほか、エネルギー価格高騰により2022年に大幅減産していた欧州では2.3%の増産となり、全体で3.1%の増産が予想されている。地金消費量は、中国でメッキ向け需要が拡大するほかインド、韓国、トルコ、米国でも需要が増加し、全体で2.1%の増加となっている。

 

 

 

需給動向 -ニッケル-(4月発表分)

INSG、インドネシアの生産増を背景に2023年は供給過剰拡大と予測、オビ島では6月~硫酸ニッケルも生産予定

 

①プライマリーニッケル2023年2月需給バランス:

国際ニッケル研究会(INSG)の2023年4月発表によると、2023年2月の世界ニッケル需給バランスは20.8千tの供給過剰となった。なお、INSGによると、2022年5月から需給バランスは供給過剰傾向が続いており、2023年2月で10カ月連続で供給過剰となった。

 

 

 

②2023年2月のインドネシアのニッケル生産・輸出状況:

INSGの国別データによると、インドネシアのプライマリーニッケルの生産量が107.0千t(前月104.0千t)となった。また、同国からのニッケルマットの輸出は、中国に12,788t、日本に6,848t、ノルウェーに4,928tで中国が最大輸出先となっている。

 

-金・白金族-

■ 金市況動向

金、早期の利上げ終了観測で2,000US$/oz前後の高値圏で推移

米、景気冷え込みも比較的安定した労働市場で上下:

当月最安値となる1,973.2US$/ozでスタート、3日発表の米3月製造業PMIが49.2、4日発表の米2月JOLT(求人労働移動調査)求人件数が1,000万件を切るなど、米国の景気の冷え込みが示されたことで米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ終了観測が意識され、2,000US$/ozを超え上昇した。しかし7日発表の米3月失業率は3.5%と前月を0.1ポイント下回り、景気悪化懸念の中でも労働市場の堅調ぶりが示され、聖週間明けの11日、若干下落した。12日発表の米3月消費者物価指数 (CPI)が前年同月比5.0%上昇、伸び率は9か月連続鈍化しインフレの縮小傾向が示唆され、FRBが早期に利上げ停止との観測が強まり、米ドル下落も意識され翌13日、当月最高値の 2,037.8US$/ozをつけた。

 

中国経済と低迷する米国経済で高値横ばい:

14日、FRBのウォーラー理事は、根強い高インフレを鈍化させるため一段の金融引き締めが必要と発言、早期の利上げ停止観測が後退し、米10年債利回りが上昇、下落に転じた。18日発表の中国の2023年Q1実質GDPが4.5%増加等と、好調な中国景気から中国証券に資金が流入しているという見方もあり一層下落した。 20日発表の米新規失業保険申請件数が前月比6千件増加、FRBの利上げ停止観測が再び強まり2,000US$/ozを超えた。24日、米ファースト・リパブリック銀行が2022年末から預金が4割減少と発表し、25日小幅に上昇したが、前月からの相次ぐ銀行の経営破綻を踏まえ冷静に受け止められた。1,982.6US$/ozで越月。

 

 

■白金族(PGM)市況動向

プラチナ 南アの供給懸念で上昇

プラチナ:

当月最安値の988.5US$/ozでスタート。プラチナ供給の8割を担い、計画停電が続く南アフリカ共和国が本格的な冬になり、一層の電力逼迫とそれに伴う供給量の減少が懸念され、月を通じて1,000US$/ozを超える高値で推移した。21日に当月最高値の1,111.0US$/ozをつけ、1,070.5US/$で越月した。

 

 

パラジウム

当月1,473.5US$/ozでスタート、6日当月最安値の1,434.5US$/ozをつけた。18日、好調な中国の実質GDP発表を受け、需要増加が意識され対前日比100US$/oz以上急伸し当月最高値の1,623.0US$/ozをつけ、1,493.5US$/ozで越月した。

 

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

関連記事

関連記事をもっと見る