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2022年度(確定) 及び 2023年4月(速報) 鉄鋼生産概況(詳細)

 2023年5月23日、日本鉄鋼連盟が4月(速報)の鉄鋼生産概況を発表した。同時に発表された3月(確定)データを基にすると、2022年度の粗鋼生産(確定)は8,800万トンを下回る8,783.7万トン、前年度(9,563.7万)比8.2 %減で2年ぶりの減少となった。

 

 2022暦年の粗鋼生産量は、8,924万トンとなり前暦年(9,634万トン)比7.4 %減と、2年ぶりの減少であった。

 

 2022年度3月の粗鋼生産は748.6万トン、前月(691.6万トン)比8.2 %増、前年同月(795.4万トン)比では5.9 %減と、前年同月比では15か月連続の減少となった。3月の1日当たり粗鋼生産は24.15万トンで、2月の24.7万トン比2.2 %減となった。

 

 2022年度4月(速報)の粗鋼生産は723.9万トン、前月(748.6万トン)比3.3  %減、前年同月(747.1万トン)比では3.1 %減と、前年同月比では16か月連続の減少となる。4月の1日当たり粗鋼生産は24.13万トンで、3月の24.15万トン比0.1 %減となる見通し。

 

<2022年度実績>

 銑鉄生産は6,306.9万トンと前年(6,949.4万トン)比9.2%減、2年ぶりに減少

 

 粗鋼生産量:炉別では、転炉鋼が6,432.6万トン[前年(7,115.2万トン)比9.6 %減]、電炉鋼が2,351.1万トン[同年(2,448.5万トン)比4.0 %減]となり、前年度比では、転炉鋼、電炉鋼ともに2年ぶりの減少となった。粗鋼合計に占める電炉比は26.8 %と前年の25.6 %から1.2ポイント上昇した。

 

 粗鋼生産量:鋼種別では、普通鋼が6,809.3万トン[前年(7,336.7万トン)比7.2 %減]、特殊鋼が1,974.4万トン[同年(2,226.9万トン)11.3 %減]となり、前年比では普通鋼、特殊鋼ともに2年ぶりの減少となった。

 

 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産量は7,754.4万トンと前年(8,390.2万トン)比7.6 %減、2年ぶりの減少となった。鋼種別にみると、普通鋼が6,118.9万トン[前年(6,558.4万トン)比6.7 %減]、特殊鋼は1,635.6万トン[同年(1,831.8万トン)10.7 %減]となり、前年比では普通鋼、特殊鋼ともに2年ぶりの減少となった。

 

 表1に2020年度~2022年度の鉄鋼生産高を示す。 2022年度データは4月21日(速報)を修正している。

 

表1 鉄鋼生産高 2022年度、2021年度及び2020年度

黄色マーカー部を修正した。(普通鋼鋼塊、特殊鋼鋼塊及び鋳鋼鋳込については、確定数値不明)

 

 図1に、1925年~2023年4月(速報値)までの銑鉄及び粗鋼生産推移(昭和1年~令和4年度は月換算)を示す。

 

<銑鉄生産高推移>

 

 銑鉄(水色 折れ線)の月生産量は、2021年度は5月のみ600万トン台を上回ったが、その後は600万トンを下回り2022年度は550万トンを前後しながら減少傾向を示し、6月及び7月では、520万トン台まで減少。8月では542万トン台に戻したが、9月以降は520万トンを下回った。この変動には、9月に吹き止めしたJFEスチール東日本製鉄所千葉地区(千葉市)の第6高炉の影響もあったと思われる。12月では、506.4万トンであったが、1月では532.6万トンと増加した。前月比では4か月ぶりの増加となった。

 JFEスチール東日本製鉄所千葉地区(千葉市)の第6高炉は1月13日に火入れを実施した。1月及び3月は530万トンを超えている。

 

図1 銑鉄及び粗鋼生産推移 2023年4月(速報)まで[昭和1年~令和4年度(確定)は月換算]

 

<2023年3月 銑鉄生産高 (確定)>

○ 銑鉄生産は 536.1万トンと前月(498.3万トン)比7.6 %増、2022年3月(571.5万トン)比6.2 %減となり、前年同月比では15か月連続の減少となった

 

<2023年4月 銑鉄生産高 (速報)>

○ 銑鉄生産は 519.2万トンと前月(536.1万トン)比3.2 %減、2022年4月(532.7万トン)比2.5 %減となり、前年同月比では16か月連続の減少の見通しとなった

 

 2021暦年の銑鉄生産量は7,034.4万トンと20暦年(6,160万トン)比14.2%増、7年ぶりに増加した。2022暦年では、6,414.7万トンであり、前年比8.8 %減と、2年ぶりの減少となった。

 

 2021年度の銑鉄生産量は6,949.4万トンと20年度(6,077.7万トン)比14.3 %増、7年ぶりに増加した。2022年度では、6,306.9万トンであり、前年比9.2 %減と、2年ぶりの減少となった。

 

<粗鋼生産高推移>

 

<2023年3月 粗鋼生産高 (確定)>

○ 粗鋼生産 は748.6万トンと前月(691.6万トン)比8.2 %増、前年同月(795.4万トン)比5.9 %減となり、前年同月比では15か月連続の減少となる見通し。3月の1日当たり粗鋼生産は24.15万トンで、2月の同24.7万トン比2.2 %減となった。

 

<2023年4月 粗鋼生産高 (速報)>

○ 粗鋼生産 は723.9万トンと前月(748.6万トン)比3.3 %減、前年同月(747.1万トン)比3.1 %減となり、前年同月比では16か月連続の減少の見通し。鋼材の国内需要に力強さが見られないため、鉄鋼メーカーの生産活動は盛り上がりを欠いているようだ。4月の1日当たり粗鋼生産は24.13万トンで、3月の同24.15万トン比でほぼ横ばい。

 

 2021暦年の粗鋼生産量は9,633.6万トンと20暦年(8,318.6万トン)比15.8 %増、2年ぶりに増加した。2022暦年では、8,923.1万トンとなり、前年比7.4 %減と、2年ぶりの減少となった。

 

2022年度の粗鋼生産量は8,800万トンを下回り、8,783.7万トンと前年度(9,563.7万トン)比8.2 %減で2年ぶりの減少となった。

 

《炉別粗鋼生産高》

<2023年3月 炉別生産高 (確定)>

○ 炉別生産 では、3月は、転炉鋼が552.9万トンと前月比9.5 %増、前年同月(589.2万トン)比6.2 %減、電炉鋼が195.7万トンと前月(186.5万トン)比4.9 %増、前年同月(206.3万トン)比5.1 % 減と、前年同月比では転炉鋼は15か月連続の減少、電炉鋼は8か月連続の減少となった。

 

<2023年4月 炉別生産高 (速報)>

○ 炉別生産 では、4月は、転炉鋼が527.4万トンと前月比4.6 %減、前年同月(545.9万トン)比3.4 %減、電炉鋼が196.5万トンと前月比0.4 %増、前年同月(201.2万トン)比2.4 % 減と、前年同月比では転炉鋼は16か月連続の減少、電炉鋼は9か月連続の減少の見通しとなった。

 

 2021暦年の炉別生産では、転炉鋼が7,194.5万トン(前暦年比16.0 %増)、電炉鋼が2,439.1万トン(同比15.4 %増)となり、前年比では転炉鋼は5年ぶりの増加、電炉鋼は3年ぶりの増加となった。2022暦年では、転炉鋼が6,540.3万トン、電炉鋼が2,383.5 万トンとなり、前暦年比では転炉鋼、電炉鋼ともに2年ぶりに減少した。

 

2022年度の炉別生産では、転炉鋼が6,432.6万トン、電炉鋼が2,351.1万トンとなり、2021年度実績(転炉鋼:7,115.2万トン、電炉鋼:2,448.5万トン)を下回り、2年ぶりの減少となった。

 

 図2には、平成17年度からの2023年4月(速報)までの銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の月別生産高推移(昭和1年~令和4年度実績は月換算)を示す。

 

図2 銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の月別生産高推移(昭和1年~令和4年度実績は月換算)
 

 図2に示すように、電炉比(濃青 折れ線 右軸)は、2022年1月は25.0 %を下回ったが、6月に28.8%と最高値を示した。夏季定修の8月は24 %台に減少したものの、その後や約28 %台を維持した。転炉は、8月末に、日本製鉄名古屋製鉄所第3高炉が再稼働したが、9月からJFE-S千葉製鉄所第6高炉は定修にはいったことで減少。1月13日に第6高炉が火入れにより稼働したため、1月は5か月ぶりに24%台と25 %を下回ったが、2月は電炉鋼が前月比増となり再び27%に戻り、3月では26 %とやや減少したものの、4月は27.6 %となる見通し。

 

《鋼種別粗鋼生産高》

 図3に2019年1月からの、銑鉄、粗鋼及び熱間圧延鋼材の月別推移を示す。

 

図3 銑鉄、粗鋼及び熱間圧延鋼材の生産高推移 月別実績(2023年4は速報)

 

<鋼種別生産 2023年3月(確定)>

○ 鋼種別粗鋼生産 では、普通鋼が590.9万トンと前月(541.0万トン)比9.2 %減、前年同月(606.5万トン)比2.6 %減、特殊鋼が157.7万トンと前月(150.6万トン)比4.7 %増、前年同月(188.9万トン)比16.5 %減と、前年同月比では普通鋼は15か月連続の減少、特殊鋼14か月連続の減少となった。

 

<鋼種別生産 2023年4月(速報)>

○ 鋼種別粗鋼生産 では、普通鋼が568.8万トンと前月比3.7 %減、前年同月(578.3万トン)比1.6 %減、特殊鋼が155.1万トンと前月比1.7 %減、前年同月(168.8万トン)比8.1 %減と、前年同月比では普通鋼は16か月連続の減少、特殊鋼15か月連続の減少の見通しとなった。

 

 2021暦年の鋼種別生産では普通鋼が7,391.0万トン(20暦年比12.4 %増)、特殊鋼が2,242.6万トン(同比28.6 %増)となり、前年比では普通鋼は8年ぶりの増加、特殊鋼は4年ぶりの増加となった。

 

2022暦年では、普通鋼が6,881.5万トン(21暦年比6.9 %減)、特殊鋼が2,042.2万トン(同比8.9 %減)と、ともに2年ぶりの減少となった。

 

2022年度の鋼種別生産では、普通鋼が6,809.3万トン、特殊鋼が1,974.4万トンとなり、ともに、2021年度実績(普通鋼:7,336.7万トン、特殊鋼:2,226.9万トン)を下回り、2年ぶりの減少となった。

 

 表2に全国鉄鋼生産高 2023年4月(速報)及び2022年3月(確定)を、表3に比較データ 粗鋼炉別構成比、及び表4に比較データ 粗鋼生産高月換算値を示す。

 

表2 全国鉄鋼生産高 2023年4月(速報)2023年3月(確定)

3月実績(確定)は、前月速報値を修正(黄色マーカー部

 

表3 比較データ<2018年度~2023年度3月確定 粗鋼炉別構成比>

 

 

表4 比較データ <2018年度~2023年度3月確定 粗鋼生産量:年度月換算>

 

<熱間圧延鋼材生産高>

 

 図4に2023年4 月(速報)までの熱間圧延鋼材(赤折れ線グラフ)の生産高推移を示す。

 

図4 熱間圧延鋼材の生産高推移(平成17年~令和4年度は月換算)

 

<熱間圧延鋼材生産高 2023年3月(確定)>

○ 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は687.2万トンと前月(598.4万トン)比14.9 %増、前年同月(713.6万トン)比3.7 %減となり、前年同月比では15か月連続の減少となった

 

普通鋼熱間圧延鋼材 の生産は553.5万トンと前月(474.8万トン)比16.6 %増、前年同月(562.3万トン)比1.6 %減となり、前年同月比では10か月連続の減少となった。

 

特殊鋼熱間圧延鋼材 の生産は133.7万トンと前月(123.6万トン)比8.2 %増、前年同月(151.3万トン)比11.7 %減となり、前年同月比では14か月連続の減少となった

 

<熱間圧延鋼材生産高 2023年4月(速報)>

○ 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)の生産は621.2万トンと前月比9.6 %減、前年同月(663.7万トン)比6.4 %減となり、前年同月比では16か月連続の減少の見通し

 

普通鋼熱間圧延鋼材 の生産は499.5万トンと前月比9.8 %減、前年同月(522.6万トン)比4.4 %減となり、前年同月比では11か月連続の減少の見通し

 

特殊鋼熱間圧延鋼材 の生産は121.7万トンと前月比9.8 %減、前年同月(141.1万トン)比4.4 %減となり、前年同月比では15か月連続の減少の見通し

 

 表5に2023年4月(速報)及び3月(確定)全国鋼材生産高を示す。

 

表5 2023年4月(速報)及び3月(確定) 全国鋼材生産高

3月実績(確定):前月速報値を修正(黄色マーカー部

 

 2021暦年の熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産高は8,442.4万トンと前年(7,376.5万トン)比14.5 %増、5年ぶりの増加となった。普通鋼が6,587.3 万トン(前年比11.2 %増)、特殊鋼は1,855.1万トン(同27.9 %増)となり、前年比では普通鋼は5年ぶりの増加、特殊鋼は3年ぶりの増加となった。

 2022暦年では、熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産高は、7,866.1万トン(前年比6.8%減)と8,000万トンを下回り、2年ぶりの減少となった。鋼種別にみると、普通鋼は6,177.4万トン(前暦年比6.8 %減)、特殊鋼は1,688.7万トン(同比9.0 %減)の、ともに2年ぶりの減少のとなった。

 

2022年度では、熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)生産高は7,754.4 万トン、2021年度(8,390.2万トン)比7.6 %減。

普通鋼は6,118.9万トン、21年度(6,558.4万トン)比6.7 %減

特殊鋼は1,635.6万トン、21年度(1,831.8万トン)比10.7 %減となり、ともに21年度を下回った。

 

 表6に月換算値との比較データを示す。

 

表6  鋼材生産高 月換算値との比較

 

参考情報

<普通鋼鋼材受注>

 日本鉄鋼連盟が5月16日発表した普通鋼鋼材用途別受注統計によると、2022年度の国内向け受注量は、前年度比7.8 %減の3,531万トンにとどまった。

 減少は2年ぶり。建設向け、製造業向けとともに前年度水準を下回った。

 22年度の需要分野別受注量をみると、建設(建築・土木)向けは同9.7%減の946万トンと再び1万トンの大台を割り込んだ。建築、土木ともに低調で6~8%のマイナスとなった他、約7割が建設向けとされている販売業者向けも8%強、減少した。

 

 製造業向けも伸び悩んだ。22年度の受注量は1,475万トンで前年度比6.3 %減。主力の自動車向けは年度後半になって回復っ蛍光を見せたが、年間では同4.2%減の679万トンにとどまった。

 

 コロナ禍で落ち込んだ20年度と同水準で、コロナ前の19年度と比較すると約20%低い。

 

 22年度の輸出向け受注量は前年度比3%減の2,178万トン。鉄鋼製品の輸出環境は米中貿易摩擦が激化した18年度以降、伸び悩んでおり、22年度も2,200万トンを下回るレベルとなった。国内向け・輸出向けを合わせた普通鋼の総受注量は同6.1%減の5,709万トンと20年度に続き5千万トン台にとどまった。

 

 

 

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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