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アルミ合金&スクラップ市場近況2023#11 中国、日本でもADC需要不振

 6月前半のアルミ合金と国内アルミスクラップ市況は上値の重い展開を見せそうだ。

 LMEアルミ相場では、最終決着待ちの米の債務上限問題の行方や中国経済の回復遅れ、そして6月13∼14日開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、神経質な値動きとなりそうだ。

 実需面での当面の焦点は、半導体、部品供給事情の改善で上向き始めた自動車の生産動向がどこまで盛り上がりを見せるかだが、結論からいうと実需は芳しくない。自動車生産はV字回復を果たしているものの(下図参照)、中国向けの部品輸出が低迷しており、ADC需要も随伴して落ち込んでいる。

 

(出典:マークラインHP)

 

 日本アルミニウム合金協会が5月30日に発表した4月の生産実績を見ても、前年同月比5.1%減の6万406トンにとどまり、5カ月連続で前年実績割れとなっている。

 

 相場をこれまで下支えしてきたのは、5月中旬以降加速した円安効果。実際、LME相場も、中国雲南省での電力供給障害で一次アルミの生産ペースが鈍化し需給ひっ迫から底上げされた4月に比べ、5月は一段安い2200~2300ドル水準での推移となっていた。円安が国内地金相場への下押し圧力を相殺した。下図のようにLMEアルミ相場は下落するも、国内新地金相場(NSP)は円安効果で390円まで上昇している。

 

 

 国産ADC相場もその流れに支えられてきた。これは円安に原料高、燃料高、運搬コストに掛かる諸コストを映した印象が強い。言い換えれば実需で上昇している訳ではない。

 

 国産ADC12相場を占う当面の焦点は、部品の供給事情が改善し、生産が上向き始めた自動車向けの出荷が、この先どこまで伸びて実需に弾みをつけるかに掛かっている。「トヨタ自動車など自動車メーカーの生産は着実に回復してきており、これを映して5月の合金生産は前年比でプラスに転じるだろう」との声も市場関係者の間からは聞かれて始めている。

 

 しかし、前述したが「中国向けの自動車部品輸出が低迷しているため、逆に合金需要はさらに落ち込む可能性がある」とはさる大手合金メーカーの話。

 

 

 上図のように4月の中国の自動車生産台数は213万台と前年を上回ってはいるが、先々は伸び悩みが予想されている。中国の自動車販売店も閑古鳥が鳴いている、とは上海在住の日系商社マンの話。

 

 その中国産ADC12市況だが、日本の円安もありドルベースでは2250ドル前後まで下落。現地での自動車向けの需要減などを背景に市況は下げてきており、コロナの感染再拡大なども重なって、今後需給調整弁として日本向けに輸出ドライブがかかる展開も予想されるからだ。

 

(中国産ADC12相場の推移 CIFjapan $/ton)

 

 

 中国産ADC12の輸入価格は5月の中旬以降値を消して、現在CIFベースで一段安の1中国ADCを現在の為替レートで試算すると港着値ベースで330円程度になる。今後の為替レートの動きにもよるが、もう一段の下げとなれば、当然国産ADC相場にも影響が出そうで、いまの1キロ335~345円水準から下振れするリスクも残している。

 

 中国が輸入するゾルバも下落で現在は1750~1800ドルで推移中。

 ロシア産ベースメタルは成約は少ないが、相場は2100ドル前後。国内ベースメタルはキロ当たり290円前後、となっている。

 

 次にスクラップ市況の動向である。指標となるUBCで、4月下旬に1キロ10円高の210円(合金メーカー買値ベース)となった後、1日現在同値圏での推移となっている。NSPの上昇からするとUBC、上物系は上げ、とも読めるが、実需が強くないなかでは横ばいが妥当、というところ。

 UBC以外のアルミスクラップも発生量の少なさから合金メーカーはスクラップの買取価格を据え置いて値決め交渉に臨む構えを見せており、現在の水準から「大きな値下がりもなさそう」(市場関係者)だ。合金メーカー側からすると実需減で原料コストは引き下げたいところだが、下げれば輸出に逃げていくためなかなか下げづらい状況。

 

(UBC相場の推移 ¥/kg)

  

 

 相場材料として4月にアルミ缶リサイクル協会が発表した2023年の国内飲料用アルミ缶需要量予測がある。それによると、23年の需要量は22年比1%減の213億1,000万缶にとどまるという。家飲み需要の減少や10月の酒税法改正の影響がでるためだ。先行きの供給減を見越して、もち合いあるいは上値を追うのか、それとも天候要因で調整色を強めるのか、スクラップ市況の動向を占う意味でひとつの注目ポイントである。

 

 ビスなし(Aサッシ)・ビス付きサッシ(Bサッシ)についても、発生量の少なさから、もち合い圏内の動きとする見方が多い。

 

 

(IRUNIVERSE Mochizuki&Tanamachi)

 

 

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