帝人の環境配慮型原料を用いた炭素繊維が国際認証を取得
帝人の環境配慮型原料を用いた炭素繊維が国際認証を取得
帝人株式会社(本社:大阪市北区、社長:内川 哲茂)は、静岡県の三島事業所で生産する炭素繊維「テナックス」ならびにその材料であるポリアクリロニトリル(PAN)について、持続可能な製品の国際認証のひとつである ISCC PLUS 認証 (*1)を取得したと発表した。炭素繊維とその材料である PAN が合わせて同認証を取得するのは、世界初。
(*1) ISCC PLUS 認証:国際持続可能性カーボン認証。マスバランス方式によるバイオマスや再生材料などに
由来する製品について、グローバルなサプライチェーン上で信頼性を管理・担保する国際認証のひとつ。
1.背 景
(1)炭素繊維は、低燃費化への寄与が期待される「軽くて強い」素材として幅広い用途で使用されているが、近年、ライフサイクル全体を通じた温室効果ガス(GHG)の排出量削減へのニーズが高まりを受け、製造工程における環境負荷が課題とされている。
(2)こうした中、同社は、製造拠点における自家発電設備の燃料を天然ガスに切り替えた他、「テナックス」のフィラメントや中間材料の製造工程で発生する CO2 の排出量を算出し、ライフサイクル全体での LCA(ライフサイクルアセスメント)を評価の上で関連情報を開示するなど、環境負荷低減に向けた取り組みを進めてきた。
(3)これに加え、環境配慮型原料の使用によって、製造工程における GHG 排出量をさらに低減すべく、環境配慮型原料を用いた「テナックス」の市場展開に向け、国際認証の取得に向けた準備を進めていた。
2.ISCC PLUS 認証を取得した製品について
(1)このたび当社が ISCC PLUS 認証を取得した、三島事業所で生産する PAN ならびに「テナックス」は、バイオマス由来製品の廃棄物や残留物を用いたアクリロニトリル(AN)または循環型の原料を用いた AN を使用し、同認証に基づいたマスバランス方式 (*2) で生産するもの。
(*2) マスバランス方式:原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)とそうでない原料(例:石油由来原料)を混合させる場合に、特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対し、その特性の割り当てを行う手法。
(2)原料である AN が従来の石油由来の AN と同等の物性であることから、これを用いて生産する PAN や「テナックス」は石油由来品と同等の物性を有する。そのため、従来品から容易に切り替えることができ、製品のライフサイクル全体におけるGHG 排出量の削減に貢献することが期待される。
3.今後の展開
(1)このたびの認証取得を受け、当社は、2024 年前半までに、石油由来の原料を用いた従来品に加え、同認証に基づいたマスバランス方式での PAN ならびに「テナックス」の生産・販売開始を目指し、準備を進めて行く。
(2)また、環境配慮型の製品の展開を強化すべく、欧米、アジアで生産している炭素繊維およびその関連製品においても ISCC PLUS 認証に向けた検討を進める。
(3)帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、人を中心に考え、「Quality of Life」を向上させる革新的なソリューションを提供していくとともに、事業活動に伴う環境、社会への負の影響が最小限となるよう努力し、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」となることを目指していく。
*帝人株式会社三島事業所は、ISCC の最新の規定に則り、ISCC PLUS 要求事項に準拠することを約束し宣言している。
(IR universe rr)
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