スイスの新たな“巨大水がめバッテリー”再生エネルギー貯蔵計画
スイスは湖が大きな水がめとして飲料水や工業用水として、更に観光の拠点となっている。スイスのホテルに泊まる場合は、レークサイドの部屋を予約する様にと若い頃、上司に指示された事を思い出した。
水力発電では、夜間に需要が少ない場合、揚水発電がこれまで既に実現しているが現在開発しているスイスの巨大水バッテリー事業は、高度の異なる二つの湖を地下の水路で繋いで揚水発電計画が進んでいる。
スイスは降雨が多い地域の特徴を生かした水力発電がスイスの電力需要の57%を賄っている。現在開発中の巨大水バッテリー計画は、高度の異なる2ヵ所の湖を地下水路で連結し、低い高度の湖から高度の高い湖へ揚水する事で電力を貯蔵する事業で、この計画で90万世帯の電力を貯蔵できるが、工事に14年間を要する巨大事業である。
自動車のEV化に世界は注目しているが、一方で自然エネルギーのソーラーや風力の発電では、発電する時間帯が異なる再生エネルギーの貯蔵が今後大きなテーマとなっている。今後はEV車の充電する時間帯も安価な電力を求めると夜間に集中する可能性も高まっている。
若い頃、亜鉛精錬所へ勤務した経験が2度ある。2度目の勤務は亜鉛電解工場と熔解工場の責任者で、前日の消費電力量と使用した電力費のデータを報告する事が事業所全体の収益に最も大きな影響を及ぼす為、如何にして電力費を削減するかが大きなテーマであった。電力会社との電力契約もピークカット契約という形式で、午後の電力需要の大きな時間に電力会社の通告で電力供給量をカットする事を容認する契約で電力単価を下げて貰う内容であった。
その様な契約では、昼間の電力を可能な限り削減し、夜間にフル通電を行う事が亜鉛電解では行われていた。昼の時間帯の電力単価は夜間電力単価の4倍程度で非常に高価となっていた。しかし昼の電力を削減した分だけ亜鉛電解生産量も当然ながら削減される訳であり、顧客への供給も当然ながら綱渡りになる。
そんな訳で日本の亜鉛地金は夜間に製造されているのである。その結果製造に携わる方々も夜間の仕事が増加する。
当時、同じ県の北部の自家水力発電所の電力に依存していたが、その発電所は川の上流から下流に掛けて4ヵ所のダムが存在していた。この様なケースでは、スイスの様な揚水発電が可能かも知れないと、昔の経験を思い出した。
(Katagiri)
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