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アルミ合金&スクラップ市場近況2023#15 合金はもちあいの一方 スクラップは強含み横ばい

 アルミ合金と国内アルミスクラップ市況は目先、もち合い圏内での推移となりそうだ。合金の在庫調整問題が依然尾を引き、その目詰まり感が原料のスクラップ市況の重石になるという基本構図に大きな変化はない。ただ、スクラップを巡っては集荷目的で買値の引き上げを示唆する扱い商社筋の声も出始めており、それを先取りする形で7月中旬以降、値を切り上げる品目も出始めた。お盆休み明け以降、原料高・製品安の色合いを深める展開も予想され、スクラップ相場は一つの節目を迎えつつある。

 

 合金市況は1日現在、主力の国産ADC12で1キロ325円‐335円。7月に入って6月下旬比で10円値を消した後は、横ばい推移が続いているが、地合いは良くない。「コストアップ要因は目白押し。何とか値上げを浸透させたいが、在庫調整の遅れでダイカストメーカーなどのガードは固く、言い値を通すのは難しく、せいぜいもちあい。」。8月入りを前に、合金メーカーの担当者が漏らした本音だ。

 

(国産ADC12相場) \/kg

 

 2023年1~6月(上期)の国内の新車販売台数(軽自動車含む)は前年同期比17%増の245万600台と、半導体不足で生産が停滞した22年上期に比べれば改善しているが、新型コロナウイルス禍前の19年と比べると1割減にとどまっている。「在庫を一掃し、合金相場を押し上げるには、インパクト不足」と、合金の引き合いの回復度合いについて指摘する声が多いのも、そのためだろう。原料のスクラップの買取価格についても、「実需不振」を理由に、引き続き厳しい姿勢で臨む構えを合金メーカーは崩していない。関東・関西ともに、7月後半比横ばいで値決め交渉は決着しそう。

 

 ただ、ここにきて別の声も聞こえ始めている。「一部自動車メーカーが在庫手当てに動き出した。集荷を考えるなら、スクラップ問屋からの買取価格を引き上げることも検討しなければならない」。合金用スクラップを扱う商社筋の声だ。

 

 実際、中国産ADCがそんな中、値ごろ感から人気を集め、直近で1トン当たり40ドルほど水準を切り上げて、2200-2230ドルとなっている。為替相場が1ドル138円前後で推移していた7月中旬頃から改めて目立ち始めた現象で、為替が140円方向に円安に傾く中でも比較的すんなり水準訂正も進んできているようだ。諸掛り含め、1ドル140円換算で計算しても、国産品より高値で10円弱安くなる計算である。

 

(中国産ADC12(CIF/japan)$/ton)

 

 

 微妙な潮目の変化にスクラップ市況も反応し始めている。個別品目で見てみると、7月下旬になって上物のアルミ2S新切りが3円上げて1キロ当たり255円に、同じくアルミサッシ63(ビス無)が3円上げて同265円となっている。同じアルミサッシでスソモノのビス付きサッシ(プレス品)も直近では7月下旬に同2円ほど値を上げた。集荷力アップへ、問屋がリスクを採って動き始めた印象も受ける。

 

(アルミ2S新切り相場)

 

(アルミサッシ63(ビス無)相場)

 

 

(ビス付きサッシ(プレス品)相場)

 

 また海外産のスクラップ原料であるゾルバ(Metal97~98% CIFChina)、ロシアAK5M2も31日時点で1トン当たり1750-1800ドル、同1940-1990ドルと共に50ドル、30ドル値を上げる形になっている。

 

(ゾルバ(Metal97~98% CIFChina)、ロシアAK5M2s相場:高値表記)

 

 7月下旬にあった中国共産党の中央政治局会議で、同国の新たな景気対策の方向性が確認され、26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げも想定通りに収まり、インフレ鈍化を示す経済指標の発表がその後に続いた。それでもLMEアルミ相場は他金属に比べ反応は薄かったが、中国政府が31日に景気対策に再び言及したことで、値を切り上げた。8月のお盆休み明け以降、上がり始めたスクラップ相場が、LME相場も含め、様々な材料をどう織り込んで展開していくのか、当面の注目ポイントである。

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

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