ニッケル巡るトラブル頻発 運輸詐欺再び、インドネシアは採掘汚職
ニッケルの運輸や採掘を巡るトラブルの発覚が相次いでいる。運搬を巡っては2023年2月のシンガポール仏系資源商社トラフィグラ・グループの詐欺被害に続き、コンテナを開けたらニッケルが入っていなかったという詐欺事件が再び発生した。一方、インドネシアでは当局が大規模な採掘汚職の結果を発表。採掘から運搬に至るまでのニッケル供給網(サプライチェーン)の不透明感が浮き彫りとなっている。
■ニッケルコンテナ、開けたら鉄くず
米ブルームバーグ通信が8月25日、米商社カタマン・メタルズがシンガポールで提出した訴状の内容として報じたところによると、同社が330万ドル(約4億8000万円)を支払って商社のニューアロイス・トレーディングからニッケルを購入したところ、コンテナの中にニッケルは皆無だった。「7つの輸送コンテナに積まれた16、17の大きな袋には、ほぼ無価値の鉄くずが入っていた」(カタマンの説明)という。
ブルームバーグによれば、ニューアロイスはトラフィグラの詐欺事件にも登場する企業の1つ。トラフィグラが詐欺事件の首謀者として訴訟を起こしているインド実業家のプラティーク・グプタ氏と関連があるとの観測がある。カタマンがロンドンで起こした別の訴訟によれば、今回の詐欺事件はグプタ氏とつながりがある複数の企業が関与した広範な一連の取引の一部の可能性もあるという。
■採掘汚職、政府も国営企業も関与
業界向けネットサービスのフェロアロイ・ネットの8月25日の報道によると、インドネシア南東部のスラウェシ州の高騰検察官は8月24日、同州の鉱石ニッケルの汚職犯罪事件に関連して、容疑者らの銀行口座から現金で総額約790億8800万ルピア(約7億5000万円)を没収したと発表した。
この汚職事件はインドネシアの国営鉱山アネカ・タンバン(アンタム)や同国のエネルギー省幹部、州地域会社などが絡む大掛かりなもの。容疑者の手口は北コナウェ地域にあるPT Aという鉱山会社の鉱山事業許可区域(WIUP)で採掘を行い、アンタムなどが関係していないように装った虚偽文書や偽文書を作成して収益を調整した上で、複数の製錬所に売却していた。
(IRuniverse/Kure)
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