MIRU、ポーランドFORS第5回国際自動車リサイクル会議へ参加

ポーランドの自動車リサイクル業者を束ねる業界団体FORS(the Car Recycling Forum)による国際自動車リサイクル会議がワルシャワで開催された。MIRUは、今回同会議のメディアパートナーとして初参加、その内容を報告する。
会議は9月13日・14日の2日にわたり、ワルシャワ・ショパン空港近くのホテルで開催された。FORSは今年創設25周年を迎え、本国際会議は五回目となる。今回会議の「ゴールドスポンサー」は、ポーランド自動車リサイクル大手のAMBIT、OTOMOTO、OVOKO。AMBITを率いるAdam Małyszko氏は、FORSの理事長でもある。参加者は欧州をはじめ世界15カ国から集結、メディアはMIRU をはじめ英Auto Recycling Worldなど6社が参加した。
初日会議プログラムでは、世界各国の使用済み自動車市場の現状をメインテーマとして、ポーランド・オランダ・戦下にあるウクライナ、フランス・スペイン・からプレゼンテーションが行われた。社会・政治・経済状況の大きく異なる国からのトークではそれぞれの特徴的な問題が報告され興味を引いた。
唯一EU域外からのウクライナでは、規制がまだ整備されておらず、自動車リサイクルのインフラも整っていいない状況で、EU域内の国システムとの違いが対照的である。フランスでは、国内規制で拡大生産者責任制度が強化されることになり、自動者リサイクラーは自動車メーカーあるいは生産者責任組織(使用済自動車については、現在はまだ組織されたいない)のどちらかのネットワークに入ることが必須となる。一方で、自動車メーカーは生産者責任組織の形成を好んでおらず、生産者責任組織が実際に設置されるかについては法令の発行を待つ必要がある。いづれにしても、自動車リサイクラーは登録時に必要となる基準を満たす必要があり、そのための初期投資は必須で、小規模業者にとっては大きな負担となることが予測されている。スペインでは、EV用リチウムイオン電池を廃棄物として回収するインフラが整備されておらず、国内に「グレー市場」を形成している。一例では、住宅地にある個人宅に保管された闇市場取引用のリチウムイオン電池45トンを警察が押収するという、火災や爆発の危険性を考えれば想像を絶する事件も起こっている。
欧州委員会からは、環境総局の担当者から7月に発表された使用済み自動車規則への提案書(法案)の概要報告があった。提案書内容については、すでに以下の記事で報告済みなのでここでは割愛する。以下を参照いただきたい。
【参考記事】速報:欧州委員会、使用済み自動車規則提案書を発表
午後の会場の会場プログラム終了後は、ワルシャワから1時間半のLOCHOWへあるAMBITの自動車解体処理施設を訪問した。バス3台に別れて到着したコンプレックスでは、全員の記念写真の後、3件ある施設を見学した。到着時に筆者の興味を引いたのは、作業員が乗っていた電動三輪車だ。これは、AMBITがプロトタイプとして製造したもので、自動車のリサイクル材を使用しており、今後改良を重ねて市場販売する予定だという。試乗してみたが乗り心地は上々。広大な施設の敷地を移動するには理想的だ。
AMBITの解体施設では、リユース・リサイクル効率を引き上げるため、可能な限り手解体を行なっている。解体機材の置かれた施設では、コンバーターの取り出しや、オイルの抽出などのデモンストレーションが行われた。
施設の一つは多数のパーツ在庫の保管庫となっていた。プレス機器が置かれている場所には、共産党時代からあると思われる40年以上前の機材(すでに使用済み)が置いてあるのが印象的だった。
見学の後は、解体施設内に臨時設置されたテーブルとベンチで、ケータリングによる豪華な夕食が振舞われた。今回ここポーランドの料理の質の高さに筆者は感銘を受けた。参加者からは飲み口がよくつい飲み過ぎてしまう危険なウクライナ産ウォッカが大人気で、翌日二日酔いを抱える人が続出していた。
続きは「MIRU、ポーランドFORS第5回国際自動車リサイクル会議へ参加②」
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SCHANZ, Yukari
オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
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