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MIRU、ポーランドFORS第5回国際自動車リサイクル会議へ参加②

 ポーランド・ワルシャワで開かれた自動車リサイクル協会FORS主催の国際会議2日目は、引き続き世界各地から自動車リサイクルシステムの現状におけるプレゼンテーションが行われた。午前の部は、ナイジェリア・米国・韓国からそれぞれのお国事情が報告された。

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 まずナイジェリアからのプレゼンテーションでは、登壇者の前に在ポーランド・ナイジェリア大使から挨拶があった。大使は、ナイジェリアでは一般的に自動車使用年数が非常に長いことに触れ、使用済みとなる自動車の数に対し、リサイクルインフラが構築されていないことに言及した。国内の環境負荷を削減するためアルジェリアにおけるリサイクル事業への投資を誘致したい意向だ。

 

 米国からは、自動車リサイクル協会(Automotive Recyclers Association)が、不法業者による解体事業が及ぼす環境・市場への悪影響とその解決の難しさについて語った。一方で、環境政策で米国を牽引する州カリフォルニア州では、不法業者の摘発を実施する特別対策機関を2017年に設置し成功を収めており、他州もこれに続くべきであると強調した。触媒コンバーターの盗難も大きな懸念事項であり、22年の統計では米国内で約60万から70万個が盗まれているという。リサイクル部品市場については、大きな潜在性があるが、OEM部品のリユースを自動車メーカーが好まない傾向にあり、修理への使用を制限する規制導入がこれまでに何度も検討されている。こうした現状はリサイクラーにとって大きな障壁だ。また、来るEV時代への準備を同協会が牽引していることに触れながら、リユース・リポーパス・電池の取り扱いなどEVリサイクルにはある多数の取り組み事項は、リサイクラーにとって大きな挑戦だと述べた。

 

 韓国のリサイクラーGoodbyCarからは、韓国自動車解体・リサイクル協会の監査役も務めるJuny Namから、規制整備を含む国内のリサイクルシステムの紹介があった。韓国の規制は、拡大生産者責任システムを設置しているが、実際は適用されていない状況だという。現状では、自動車リサイクラーが最終所有者へ使用済自動車の持ち込みに対し料金を支払っており、自動車メーカーには財政上の責任が課せられていない。近年の傾向として、解体業者の数が増加し、それぞれの業者が処理できる使用済自動車の数が減少しており、今後はEV部品の販売などに期待をかけている。

 

 欧州委員会・環境総局からは、ELV規則担当Jaco Huisman氏がブリュッセルからビデオコールにより参加、パネルディスカッションが行われた。そのなかで、自動車リサイクル業界や業界団体から、現在の法案内容についての質問や懸念事項が挙げられた。モデレーターからは、法案に関する現在の満足度について業界へ質問が投げられたが、80%という回答が大半を占めた。スペインからは、現法案のEPRシステムにおける要件が明確ではなく、正しく解釈され実行されない懸念があるという意見が表明された。一方で、欧州自動車リサイクル協会(EGARA)の書記長からは、今回の法案内容には業界からの意見が多数反映されているという評価があがった。

 

 

 会議のまとめとして、モデレーターにより世界各国が抱えるインフォーマルセクターの問題が挙げられた。これは長期にわたって蔓延る問題であり、業界は政府に対策を要請し続けてきたにも関わらず、不法業者の数は減少するどころか逆に増加している国もある。その背景には、政府の「モチベーション」の低さがあるようだ。また、「規制義務」における解釈についても、国家間の文化的な違いが大きく反映されており、一要件をめぐっても世界各国の状況は様々である。今後使用済みEV処理における認定システムが設置され徹底されれば、不法業者の削減につながる可能性が高いとの意見が韓国のリサイクラーから上がった。

 

 

 午後のリサイクル状況報告では、MIRUにも寄稿いただいている熊本大学の外川健一教授からプレゼンテーションがあった。詳細については別途報告する。

 

 最終日の夜は、FORS25周年を祝うイベントがホテルのバンケットホールで開催された。同協会会長の計らいで、楽器、髪型から服装までビートルズというバンドThe Backwardsが出演した。The Backwardsはビートルズの曲を「再生」するバンドとして世界的に有名だということで、本当にビートルズの生演奏を聴いているような錯覚に陥った。会場にはビートルズ世代も多く、踊り出すゲストも続出、盛り上がりを見せた。

 

 

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SCHANZ, Yukari

 オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。

 趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。

*ヨーロッパに御用がある際はぜひご連絡ください→ MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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