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ガリウム価格、中国動向まだ様子見 半導体材料の関係者に聞く 足元は落ち着き

 世界を驚かせた2023年7月の中国政府によるガリウムとゲルマニウムの輸出規制発表から、早や2か月余り。規制開始前には先回り買いで高騰したガリウム価格も、8月以降は落ち着いている。半導体材料を手掛ける日本の大手企業の関係者は9月14日、IR universeの取材に対し、ガリウム価格の先行きについて「中国からの流出がまだ読めない」として、慎重な見方を示した。

 

■現在は輸出許可の審査待ち

 前提として整理すると、中国商務省と税関総署が7月3日に発表したガリウムとゲルマニウムの輸出規制は、無許可での輸出を禁止するとしただけで、禁輸ではない。輸出事業者はこれらの品目を輸出するにあたって省レベルの商務主管部門を通じて商務省に申請を行い、最終利用者や最終用途の証明などを提出する。

 逆に言えば、申請して認可を取得できれば輸出は可能なわけである。このため、前出の関係者も「現在、関連企業が申請していて審査中です」と話した。もちろん日本企業が真っ向から申請しても認可を得られる可能性は低いかもしれない。ただ、輸出できずに困るのは現地の輸出業者も同じであるわけで、記者が「現地の企業が認可を受けて輸出すればいいだけですよね?」と尋ねると、この関係者も「おっしゃる通りで…(現地は)いろいろと考えているようです」と話した。

 とはいっても、相手にするのは中国のお役所仕事。特に秋は中秋節や国慶節などの連休で公共機関の営業日が限られるため、申請状況のめどがつくのは「早くても10月前後になりそう」(関係者)とのことだった。

 

■ガリウム価格は8月初旬から横ばい

 こうした事情で、「ガリウムを手掛ける業者は、今は様子見」(関係者)。「今後、中国からどれだけ流入してくるか見極めようとしている」と世界的に慎重姿勢が広がっているとの話だった。

 

  確かに、足元のガリウム価格は落ち着いている。7月3日の規制発表後からは段階的に水準を切り上げ、高値で1Kg=450 ドルを付けてはいる。発表前からの上昇率は実に7割に達したものの、8月10日以降は同水準で横ばいとなっている。

 

過去3か月間のガリウム価格の推移(EU Freemarket)($/Kg)

 

 この関係者は「もし今後、中国から突然大量の流入があれば価格が下がってしまうので、みな足元を見られて低価格での取引を余儀なくされるようなリスクを避けようとしている」と説明していた。

 

■供給不足に陥る可能性は低い

  世界的に手控えムードのガリウムだが、この関係者は「ガリウムは供給不足には陥らないと思う」とも述べた。なぜか。

  まず「需要がまあまあ」との状況がある。「世界の経済成長予測は年初時点から上方修正されましたよね? 」と問うと、「予測と実態は違うので」と、世界経済の変動を背景に、足元の半導体材料の需要の回復がまだ鈍いことを明かした。

 

  さらに、ガリウムはリサイクル品も出回っている。この関係者によれば、日本国内にはガリウムのリサイクル事業を手掛ける企業が大手を中心に数社あり、一定量の供給がある。

  世界でも、オーストラリアのレアアース大手であるヴァイタル・メタル(Vital Metal)は「急成長している」(関係者)。ヴァイタルは主力事業であるカナダでのレアアース採掘のほかに、ガリウムやゲルマニウム、セレン、テルルといった多くの鉱種の再利用事業を手掛ける。このうちガリウムについてはCIGSバッテリーやGaAs結晶ウエハーなどからの廃棄物からのガリウム材料をリサイクルしている。

 

過去3か月間のゲルマニウム価格の推移(99.99%china)($/Kg)

 

 リサイクルは、ガリウムと同時に輸出規制の対象になったゲルマニウムも多いという。この関係者によればゲルマニウムのリサイクルは「(全体の)6割はいかないけれども、かなりある」という。ゲルマニウムは「中国以外でも採掘できる」(関係者)ことから、規制発表直後もガリウムのような大きな動きはなかった。7月末に値上がりしたものの、その後は上値の重い展開。直近3週間ほどは高値で1kg=1500ドルで横ばいとなっている。

 

  なお、この関係者はリチウムについては「(価格)調整が一巡して中国国内では価格が戻ってきているが、現時点では中国国内だけですね」とも話した。

 

関連記事:ガリウムSpecial 2022#GW 需給ひっ迫顕著でまずは1000ドル超えにTRY | MIRU (iru-miru.com)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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