はんだ輸出入レポート#12輸出編 2023年9月 14か月ぶり輸出量前年同月比プラスへ
日本からのはんだの輸出は、2023年初めに大きく減らしたが、ここを底に9月に前年同月比で14か月ぶりにプラスに転じた。最大輸出先の韓国向けの回復が遅れているが、中国向けが直近3か月、前年同月実績を大きく上回った。
【1】はんだ輸出概況
財務省の貿易統計によると、金属表面処理用の調製浸せき剤並びにはんだ付け用、ろう付け用又は溶接用の粉及びペーストで金属と他の材料とから成るもの(これらを総称してここでははんだと呼ぶ)の2023年9月の輸出量は1,393トンだった。前年同月比14.7%増加し、14か月ぶりにプラスに転じた。前月までのマイナス期間は、2014年から15年の13か月連続マイナスとタイ記録とだった。
9月の同輸出平均単価はキロあたり1,868円、前月より39円安だった。引き続き高値圏にあり、まだ緩やかな上昇基調が残っている。
2023年1-9月の同累計輸出量は1万221トン、前年比29.9%減少となった。日本のはんだ輸出量は、リーマンショック前の2006年7年がピークで、その時期の同累計が2万トンを超えていた。この時期の累計が1万トンだったのは、2002年以来である。
【2】はんだ輸出先
日本からのはんだ輸出は、主要なほぼ全ての油種先において昨年よりも輸出量を減らしている。特に、最大輸出先の韓国向けが大きく減らしている。
主要な輸出先で昨年よりも輸出量を増やしているのはシンガポール向けである。また輸出量が少ないが、米国や英国向けも昨年より輸出量が増加傾向にある。
輸出量が多い韓国と中国、ベトナムに注目してみる。この3地域向けの合計の輸出量は、全体の6割である。韓国向けは、今回9月も輸出量の前年同月比が0.2%減少で、昨年から12か月連続のマイナスとなった。中国は韓国より少し早く、国内の景気と製造業の低迷が本格化となった昨年8月から減速に入った。ただ、直近3か月は、プラスに転じて、昨年の大きな減速から急回復の様子が見えてきている。ベトナムは、2023年の年初に少し落ち込んだが、それ以外の月が横ばいで推移している。
2023年9月の日本からのはんだ輸出先と輸出量と、キロあたりの輸出平均単価は以下の通りである。
韓国 446トン1,040円
中国 249トン2,371円
香港 109トン2,086円
タイ 45トン2,755円
フィリピン 111トン1,221円
インド 17トン1,983円
ベトナム 203トン 939円
台湾 50トン3,392円
メキシコ 18トン1,870円
米国 14トン1万110円
シンガポール 27トン1,492円
マレーシア 29トン2,311円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(K.AKIYAMA)
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