GBRC 2025 SMM バッテリー リサイクル・循環産業大会が寧波で開幕―MIRUもパートナーとして参加

「GBRC 2025 SMMバッテリーリサイクル・循環産業大会」(SMM:上海有色網主催)が、14日、中国・浙江省寧波市のホテルで幕を開けた。同会議は、鉛酸電池、リチウムイオン電池のリサイクルと循環利用をテーマに、業界の最新動向、政策・技術情報を共有し、国際協力の促進を目的とした産業交流の場で、今回も業界のリーダーら500人余りの市場関係者が参加する。15日までの2日間の日程で19講演が予定されている。MIRUは本イベントのメディアパートナーになっており、弊社代表の棚町裕次 も講演をした。
EV(電気自動車)の普及により、バッテリーの生産・廃棄による環境への影響が懸念される中、世界各国の政府や企業、研究機関は、バッテリーリサイクル技術の革新と産業化に取り組んでいる。
鉛酸電池は高い回収率を誇る一方で、適切な処理が行われなければ環境と人体に及ぼすリスクが高まる。リチウム電池はまだ回収率は低いが、希少金属の含有価値が高く、その回収へ新たな技術開発と政策整備が急務とされている。足元のそんな背景もありGBRC は、世界中の業界関係者が知見を共有し、技術革新と国際協力を推進するための重要な交流の場になってきている。
会場では、約20社以上の企業がブースを設け自社のPRを行っていた。
LFPのリサイクルを行う毅舟科技(天津)有限公司は、工場発生、廃EVから抽出した黒鉛、リン酸鉄、炭酸リチウムを取り扱っている。工場発生の原料が主(廃バッテリーの年間取扱量300万トン)で、そこからリン酸鉄を年間32万トン、炭酸リチウムを同8万トン、黒鉛を同10万トン抽出している。有力な供給先はサムスンで、同社のブラックマスを仕入れ、上記の製品に仕上げ、リターンし、「クローズドループ」を実現しているという。
左から順:黒鉛、リン酸鉄、炭酸リチウム
XinGang Zhao CEOは「大半の企業が、炭酸リチウムの抽出しかできないし、リン酸鉄などの3つのマテリアルを抽出できるのは、私たちを含め約3社。しかも2社の抽出技術は、商業化までには至っていなく、それが出来ているのはわが社だけ」と毅舟科技の強みを語っていた。
左:棚町、右:XinGang氏
日中のバッテリーサイクルの関係性については「今後は、両国の企業の関係性を強めるべきで、わが社も日本の市場に興味があり、チャンスがあれば同国からブラックマスを購入したい」としていた。
開幕の挨拶では3人が登壇、そのうちの1人である上海有色网信息科技股份有限公司のワン・チョンGMが、中国の2024年の再生鉛地金の生産量が1,000万トンを超えたことによる、原料である廃バッテリーの供給ひっ迫を指摘した。また、LIBの原料であるブラックマスの輸入解禁により、その輸入量が、国内需要の30%を満たす点についても言及があった。
ワン氏
2日間にわたる講演の詳細については後日、報告予定。
(IRuniverse G・Mochizuki)
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