第3回 鉄スクラップオンラインセミナー 中国最大鉄スクラップ加工会社“欧冶”~
鉄リサイクリング・リサーチ(代表取締役 林 誠一氏)主催による第3回オンラインセミナーが2023年12月6日(火)に、開催された。今回は、~鉄スクラップ加工処理業~に視点をあてたセミナーとなった。
世界的な金属リサイクル業界のリーダーを目指す、中国最大の鉄スクラップ加工会社“欧冶(おうや)錬金再生資源有限公司”に関心が集まった。
カーボンニュートラルで、鉄スクラップはこう変わる! ~鉄スクラップ加工処理業~
セミナーの概要は下記を参照ください。
SRR主催 第3回鉄スクラップONLINEセミナー CNで鉄スクラップはこう変わる! | MIRU (iru-miru.com)
注目すべきは、中国・宝武鋼鉄集団が鉄スクラップ事業を拡大していることである。
2020年1月に設立したグループ企業の欧冶(おうや)錬金再生資源有限公司は、設立1年目で鉄スクラップ年間扱い量1千万トン以上(1,443万トン)を達成。相次ぐ拠点開設によって、2年目の扱い量は同2,620万トンにまで増えた。
2022年には、3,343万トンに達し、売上高は初めて1,000億元(約2兆8千億円)を超えた。
2022年の中国の鉄スクラップ消費量は、2億5,022万トンで、前年比10.7%増であった。23年1月~5月累計では、9,659万トンで、同期3.7 %減。工業・情報化部は2023年の鉄スクラップ消費目標として2億6,500万トンの達成を目指すとしている(鉄鋼連盟発表、中国鉄鋼業の最近の動向より)。
中国における昨年の鉄スクラップ発生量は、自家発生分を含め2億6千万トン程度。今後も発生量は増加する見込み。
関連記事
Fe Scrap Watch2023#13 24年相場は強気か弱気か? | MIRU (iru-miru.com)
中国 2025年までに鉄スクラップ使用量は3億3000万トンに | MIRU (iru-miru.com)
「中国鉄鋼市場の概況及び中国最大のスクラップ加工業者 設備メーカーのご紹介」
Mysteel Japan Rep 朝田氏(日本代表)が、中国の鉄鋼業の概況説明、年間5000万トンの処理能力を有する中国最大のスクラップ加工処理業者、欧冶鏈金再生資源有限公司の概要を講演された。
<中国の電炉の状況>
Mysteelが行った、中国全国の87電炉の調査結果によると、
・電炉の稼働率は平均48.67 %で、通年平均では2022年より1.5 %高くなると予想される。
・鉄鋼生産と消費の低迷期である11-12月に生産ペースを落とす可能性がある。また、冬期には鉄スクラップの 回収と処理が遅れるため、鉄スクラップの入手が困難になる。
・中国の電炉の総生産能力は、2023年には前年比5.2%増の2億100万トンに増加する見込。
<欧冶(おうや)錬金再生資源有限公司概要>
欧冶(おうや)錬金再生資源有限公司の所在地は上海で、払込資本金は約380億円。
株主構成は、筆頭株主は中国宝武鋼鉄集団有限公司、他、馬鋼集団等22社。
その他の株主には、中国建設銀行、中国鋁(Aluminum)業集団有限公司、中国中車股份有限公司(CRRC) 中国中信集団公司(CITIC)など大手企業が出資参画している。
≪拠点数:約500≫
中国を8地域に分割し、それぞれを30の直営子会社が統括する。
その他、30の子会社、約30の加工基地、200のサテライト基地、300を超える提携基地を保有する。
欧冶(おうや)の企業としての位置づけとしては、宝武鋼鉄集団のTier-1会社(1次サプライヤー)であり、宝武の資源・環境事業部門の柱となり、金属リサイクル・エコシステムを構築する使命を担っている。
世界的な金属リサイクル業界のリーダーになること、及び、中国の標準をつくることを目指している。
現在の加工・流通能力は5,000万トンであるが、今後3~5年以内に国内シェア30%以上を達成し、数量規模は1億トンを超える計画とのこと。
<欧冶(おうや)錬金再生資源有限公司概要>
・人工知能に基づく鉄スクラップ格付けシステムは、遠隔監視技術を活用しており、90 %以上の認識率を達成。 目視検査、経験的判断など、従来の方法によるグレードの判定間違いや危険物混入問題など、品質問題の排除を可能にする。
このシステムは未だ改良中であり、普及発展途上にあるものの、欧冶のAIシステムは市場から高い評価を得ており、注目を集めている。
・スマートファクトリーとして、馬鞍山に、馬鋼城興を設立。
2022年には、577万トンの鉄スクラップを加工、販売し、売上高175億元を達成した。
この他、講演では、中国最大の鉄スクラップ加工設備製造会社も紹介された。販売地域としては、世界80以上の国及び地域をカバーしている。
第2回セミナー関連
鉄スクラップ オンラインセミナー その2 都市型電炉でコンパクトリサイクル | MIRU (iru-miru.com)
第2回 オンラインセミナー その1 ベトナムの鉄鋼・スクラップ事情 | MIRU (iru-miru.com)
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
関連記事
- 2024/10/04 UBEマシナリー 宇部スチールの経営権譲渡を発表
- 2024/10/04 住商グローバルメタルズ 金属業界の脱炭素をリード、米スタートアップSUN METALONへ出資及び事業連携
- 2024/10/04 阪和興業、GREEN ESTEEL PTE. LTD.へ出資決定
- 2024/10/03 世界の鉱業企業は資本不足に悩む 景気低迷下で利益圧力強く、英EYレポート
- 2024/10/02 豪Lincoln Minerals社 SA州グリーン鉄磁鉄鉱プロジェクトを州政府のグリーン鉄鋼戦略の候補に
- 2024/10/02 カナダ、22日から鉄鋼とアルミに輸入関税追加 インゴットなど、最終リスト発表
- 2024/10/02 2024年8月 鉄スクラップ輸出統計分析 両品目とも前月から減少、円高で単価は下落
- 2024/10/02 輸出鋼材のスプレッド(24年8月)
- 2024/10/02 日中ホットコイル輸出価格比較(23年8月):価格差拡大
- 2024/10/02 アムロン、ちよだ製作所の全株式取得