週刊バッテリートピックス　「アップル、インドにiPhone電池工場か」「ユミコアが中国工場」

2023/12/10 18:51

　2023年12月4日~12月10日のバッテリー業界では、アップルのインド戦略が大きな話題だった。スマートフォン「iPhone」向けの電池生産観測を巡り、TDKなどに憶測が浮上した。中国からの供給網切り離しが進むが、ベルギーのユミコアが中国に燃料電池の触媒工場を設置するなど中国投資の動きも根強い。

<国内>

●アップル、インドでiPhone向け電池生産か　TDKに憶測

(出所:アップル社ホームページ)

　米アップルが「iPhone」の新機種向け電池をインドで生産するとの観測が強まっている。米ブルームバーグ通信は12月8日、インドの大手財閥タタ・グループがiPhoneを巡り、同国最大級となる組立工場の建設を計画していると伝えた。

　一方、インドの現地メディアは12月4日までにTDKが同国で米アップルのiPhone向けにリチウムイオン電池の生産に乗り出すとも報じた。

　これまで中国に依存してきたサプライチェーン（供給網）を分散させ、生産を中国から移す取り組みを強化するとみられる。アップルはインドでは販売店「Apple　store」の店舗も増やすと伝わった。

●トヨタ、サーキュラーエコノミーへの取り組みについて発表

　トヨタ自動車は12月7日、自社ホームページ上で、「サーキュラーエコノミー（資源循環型の経済システム）」の実現に向けた取り組みについて発表した。

　カーボンニュートラルの実現を目指したクルマづくりに取り組むとともに、3R（Reduce、Reuse、Recycle）、そして、それらを循環させる原材料や製品の価値をできる限り長期間利用できるようにすることに加え、廃棄物を最小限に抑えるよう設計に織り込むなどの活動を紹介した。

プレスリリース: トヨタ、サーキュラーエコノミー（資源循環型の経済システム）の実現に向け、電池3Rの取り組みを加速 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社公式企業サイト (global.toyota)

<海外>

●ステランティス、車載電池の交換で米アンプルと協業へ

　欧州自動車大手ステランティスは12月7日、自社ホームページ上で、「交換式車載電池開発企業の米アンプルとの間で、EVバッテリーの高速充電技術の開発について協力することで合意した」と発表した。アンプルのモジュール式バッテリー交換ソリューションをステランティスのEVに統合することで、利用者はバッテリー交換所で5分以内の急速完全充電が可能になる。

　ステランティスはEV事業の拡大を急ピッチで進めている。11月23日にイタリアのTurinへ同社初となるサーキュラーエコノミーハブをオープンした。10月以降にも中国新興EVや米スタートアップへの出資を発表したほか、寧徳時代新能源科技(CATL)とはリン酸鉄リチウム(LFP)電池の供給契約を結んだ。

●中国のロンジソーラー、マレーシアに太陽電池モジュール工場

　ソーラーパネルで世界最大手の中国のロンジソーラー（本社：中国西安市）は12月6日、自社ホームページ上で、マレーシアのマレー半島西海岸、セランゴール州スレンダに最先端の太陽電池モジュール工場を新設したと発表した。同社がマレー半島部で工場を構えるのは初めて。

　今後の工場拡張により、モジュールを合計8.8GW生産する。従業員数は2000人超になる予定で、同社は「マレーシアが東南アジアにおいて持続可能なエネルギーの供給国となる」としている。

プレスリリース: ニュース・お知らせ (longi.com)

●ニオブベースのバッテリーを紹介する会議がロンドンで開催

　ニオブ企業のニオブ・テクノロジー・アンド・アプリケーションズは12月6日、ロンドンのブラジル大使館で、ニオブベースの電池について紹介する国際会議を開いた。

同会議は1日限りの開催だったが、より高いエネルギー密度、低コスト、より長い耐用年数を提供する高度な正極活物質へのニオブの応用に関する最新の進歩について、専門家が発表した。

プレスリリース(英語): 2023 International Conference on Niobium Based Batteries - Improving Cathode Performance with Niobium Technology

●ユミコア、中国で燃料電池触媒工場を開始

　金属の生産・加工や広範なリサイクル事業を手掛けるベルギーのユミコアは12月1日、中国・蘇州常熟市で、大型燃料電池触媒工場の開所式を行った。

(IR Universe Kure)

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