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コバルト市場近況2024#1 春節前の駆け込みはなし、軍事用需要でHG気を吐く

 2024年1月のコバルト市場は安値圏での小幅な動きが続いている。前年からの供給過多を消化するにはまだまだ時間が必要との見方が多く、中国で2月初旬に春節(旧正月)連休を控えるにもかかわらず駆け込み買いは起きていない。一方で、コスト割れへの懸念からさらに売り込む動きも見られない。

 

 ■LG14ドル割れ、LMEは前年の6割の価格に

 ベンチマークとなるLGコバルト価格は1月下旬時点で仲値$13.5/LB前後。2023年12月半ばに節目の$14を割り込んでからは、この水準でじりじりと下げている。1年前に比べると7割程度の水準だ。

 コバルトを扱う中堅商社の幹部からは「中国系企業によるコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)での増産などで2024年も供給過剰状態が続くと思われる一方で、電気自動車(EV)をはじめ需要はさほど伸びておらず、価格反転の兆しは見えない」との声があった。ただ、$12程度に落ち込むとメーカーはもちろん大手商社なども採算割れのリスクが高まるため「一段と値下がりする可能性も低いとみている」(同幹部)という。

 

 過去3か月間のLGコバルト価格の推移(Co99.3%)($/LB)

 

 値動きが鈍いのは国際価格では一段と顕著だ。LMEコバルト価格は2023年12月半ばから$28.69/tonで推移。前年の6割程度の価格に落ち込んでいるが、反転の兆しは見えない。

 

過去3か月間のLMEコバルト価格の推移($/ton)

 

■硫酸コバルトとHGコバルトは小幅に値上がり

 一方、EV向けバッテリー材料として使われる中国の硫酸コバルト価格は底打ち感も出てきた。1月18日に仲値RMB3万1000とそれまで1か月ほど続いたRMB3万ちょうどから小幅に上げた。ただ、1年前に比べてはやはり7割程度の水準。

 中国ではEV販売の一巡感に加え価格競争が激しくなっており、コバルトフリーで低価格のリン酸鉄リチウム(LFP)電池の普及が急速に進んでいる。

 

過去3か月間の硫酸コバルト価格の推移(20.5%min China)(RMB/Mt)

 

 ハイグレードのHGコバルト価格も比較的堅調だ。1月下旬の仲値は$16.5/LB程度で、2023年5月に$15台に落ちた後は下値が堅い。HGコバルトは用途にスーパーアロイ(特殊鋼)向けなどがあり、こちらは軍事用を含むジェット機向けなども含まれる。

 前出の商社幹部も「スーパーアロイの顧客はもともと固定しており、あまり市況によって取引価格を動かさない傾向がある」と指摘。「スーパーアロイも低調ではあるが、ほかのコバルトに比べると元気だ」と話していた。

 

過去3か月間のHGコバルト価格の推移(Co99.8%)($/LB)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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