錫価格が上昇基調 半導体需要の回復期待で、ミャンマー一部再開、アルファミン増産
錫価格が上昇基調を強めている。LME錫価格は1月29日に現物で$2万6550/tonと、2023年8月初旬以来およそ5か月ぶりの高値を付けた。2024年に入り半導体産業の復調が意識され、錫需要も回復期待が浮上している。錫を巡っては、今月に入りミャンマーにやや動きがあるほか、中堅採掘企業が増産計画を発表するなど、供給側の勢いも目立つ。
過去6か月間の錫価格の推移($/ton)
■ミャンマー再開も大部分では停止
ロイター通信などの外電は1月26日までに、ミャンマーShan州の自治区であるWA州が、2023年8月から停止していた錫採掘について、「1月3日から部分的な採掘再開を承認した」との国際錫協会(ITA)の話を伝えた。ただ、同国の錫生産の大部分を占めるマンマウ鉱山地域は緩和の対象外という。
ミャンマー産錫は世界の錫生産量の10%程度を占め、主に中国の加工業向けに輸出されている。2023年8月の採掘停止後も、9月以降に少しずつ操業が再開しているとも伝わっていた。
■アルファミンはコンゴで増産へ
一方、中堅錫生産企業であるカナダのアルファミン・リソーシズは1月26日、自社ホームページ上で、2023年の錫生産量が前年比1%増の1万2568トンと、同社として過去最高となったと発表した。2024年に関しては増産を計画し、年間1万7000-1万8000トンの錫生産を見込む。
同社はコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)で錫の採掘を手掛け、世界の生産量の約4%を生産する。2023年の生産量は当初目標の1万2000トンを上回り、同年の錫の平均販売価格は$2万6009/tonだった。2023年下期はコンゴでの記録的な豪雨により道路状況が悪化して物流が滞ったが、その後に改善した。
同社は、コンゴで鉱山の拡張工事を進めている。拡張部分については既に電気ケーブルの設置など基本的な工事が済んだ状態だが、やはり道路状態の悪化の影響を受け、増産は2024年4月以降になる見通しとしている。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/08/20 バッテリー動向・関税などのマクロ経済の視点で語られる②、日本からは棚町氏―GBRC 2025 SMM#2
- 2025/08/20 GBRC 2025 SMMバッテリーリサイクル・循環産業大会アーカイブ
- 2025/08/19 バッテリー動向・関税などのマクロ経済の視点で語られる①――GBRC 2025 SMM#1
- 2025/08/19 二次電池輸出入Report #190鉛蓄電池輸入 2025年前半輸入額前年比11%増加
- 2025/08/19 ドル高などでLME銅反落、国内銅建値10円引き下げの1,480円に 鉛もDOWN
- 2025/08/18 LME Weekly 2025年8月11日-15日 ドル安・米利下げ観測のなかまちまち
- 2025/08/18 米利下げ観測が支援LME亜鉛堅調、国内建値12円引き上げ、475円に
- 2025/08/18 非鉄各社26/3期の前提とのギャップについて(8/15時点):新前提を採用
- 2025/08/14 GBRC 2025 SMM バッテリー リサイクル・循環産業大会が寧波で開幕―MIRUもパートナーとして参加
- 2025/08/14 東邦亜鉛:26/3期1Q決算説明会を開催、再生計画の進捗状況/上場維持へ