王子HDと日本テトラパック、アルミ付紙容器→段ボールリサイクルで協業
紙資源の循環型経済の実現に向け始動
日本テトラパック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:アレハンドロ・カバル)は、王子ホールディングス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:磯野裕之)と協業し、アルミ付き紙容器を回収し、段ボールへ再生する新たなリサイクルシステムを構築し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けた取り組みを本格的に開始したと発表した。
現在、日本国内におけるアルミ付き紙容器のほとんどは焼却処分(サーマルリサイクル)され、紙製品への再利用(マテリアルリサイクル)の割合は3.4%(*1)と非常に低い水準に止まっており、各所に課題が残っている。
今回、課題解決のひとつとして、使用後のアルミ付き紙容器を紙繊維、ポリエチレン・アルミ層へ分離し、紙繊維部分を段ボールとしてリサイクルするシステムを、国内で初めて確立した。
既に2023年7月から関西エリアにて実証試験を行い、今後は順次エリアを拡大し、全国規模でのシステム構築に向けて取り組みを本格化させていく。
※テトラパックのアルミ付き紙容器構造
【リサイクルシステムについて】
このリサイクルシステムは、店頭や自治体などから回収するアルミ付き紙容器のみならず、工場から排出される損紙も回収し、王子グループの工場で段ボールへリサイクルすることを目指す。アルミ付き紙容器を使用した再生段ボールは、今後紙容器回収ボックスとして使用されるほか、食品・飲料業界でご使用いただくことも目指していく。それにより、サーキュラーエコノミーの実現と食品・飲料会社の工場におけるゼロエミッションを支援する。
【取り組みの背景】
王子グループはネット・ゼロ・カーボンを中核とする「環境ビジョン2050」と、そのマイルストーンとして制定した「環境行動目標2030」の下、古紙利用率70%以上を目指している。これまで古紙利用率が低かったチルド向け紙容器およびアルミ付き紙容器のリサイクルシステムの構築を進め、古紙の利用促進に取り組んでいる。
また、テトラパック・グループは2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロを目標に設定している。使用済み紙容器の焼却処理から排出される温室効果ガスを削減するため、全ての紙容器が捨てられることなく、確実にリサイクルされることを目指し、製造者責任として、世界各地で紙容器の回収・リサイクルに積極的に取り組んでいる。
段ボールへのリサイクルを、システムとして構築することにより、リサイクルの実現可能性が高まる。また、アルミ付き紙容器からリサイクルされた段ボールは、使用後回収され、再度段ボールとしてリサイクルされることで、更なる循環型経済の実現に貢献する。
【取り組みの狙い】
「王子グループは、経営理念の一つである「環境・社会との共生」に基づき、環境問題への取り組みを積極的に行っています。その一環として、液体紙容器を含む、様々な紙容器をリサイクルできるようシステム構築を進めています。このたび、アルミ付き紙容器を含めた古紙リサイクルのさらなる拡大をテトラパックと共同で目指します。本取り組みを通じて、サステナブルな社会の実現を推進します」
(王子マネジメントオフィス グループ事業開発本部 山本学副本部長)
「テトラパックは、紙容器のリサイクルを通して、温室効果ガスの削減を目指しています。アルミ付き紙容器は、海外においては段ボールにリサイクルされる実績がありますが、国内では初の試みです。新たな最終製品が増えることで、アルミ付き紙容器のリサイクルへのアクセスが広がることを期待しています。また、その段ボールを食品・飲料業界で使用することで、より一層の低炭素・循環型社会の実現が可能になります。店頭回収および行政回収、工場損紙の回収を通して、更に回収・リサイクルを促進してまいります。」
(日本テトラパック サステナビリティ部 大森悠子ディレクター)
*1 出典: アルミ付飲料用紙容器のリサイクルフロー調査報告書(2021年度実態)(印刷工業会液体カートン部会/㈱ダイナックス都市環境研究所)
(IR universe rr)
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