ロシア 孤立を逆手にとって金属資源企業の掌握、国営化を進めるか?
3月17日の大統領選を控えてロシアのプーチン独裁政権の「独(毒)走」が強まっている。すでに世界中で報じられている反プーチンの急先鋒だったナワリヌイ氏の急死怪死にプーチン政権が無関係とみる方はきわめて少数でほとんどの方々が「毒殺」されたとの見方である。ロシアはいまだ60年代~80年代あるいは90年代でのスパイ活動、融解、毒殺といったゴルゴ13を地でいく暗殺がまかり通っている国である。
ウクライナ侵攻に加えての今回のナワリヌイ氏の死亡でなおさら国際社会から孤立を深めそうなロシアだが、狡猾なプーチンはこれを逆手にとって金属資源企業の囲い込みに入りつつある。
すでにロシアのスポンジチタンは航空機メーカーのボーイングは使用しないことを宣言(エアバスは使用を続ける)、アルミについても先進国を中心に購入を控える動きもある。ニッケル、合金鉄にも同様のコンプライアンス対応での買い控えがあるのだが、LME倉庫に売れるものはLMEに売却。しかしLMEもこうしたロシア産金属の搬入には懸念を示している。
が、ロシア産の金属資源、合金鉄は安価にアジア市場に販売されており、多くは中国ルートからの拡販とみられているが需要はある。欧州でもロシアのアルミ輸入規制を緩和する動きがある。ロシア産アルミは安くて、グリーン、ということで一定の需要が存在することは間違いない。
こうした状況下、ロシア現地のニュースによると、最近、ロシア政府当局(検事局)が、スヴェルドロフスク地方の仲裁裁判所においてチェリャビンスク、セロフ、クズネツクの合金鉄3工場に対する株式の差し押さえを申し立てたという。
理由としては、1993年から1999年にかけて地域委員会と財政基金が工場の民営化を承認した行為が“明らかに権限を超えた行動”であり不正であった、としているが、真実は不明。白を黒に変えることはきわめてイージーで誤認逮捕でもなんでもありのプーチン政権。どんな理由でも捏造できる。そうした捏造による逮捕、抹殺は長らく行われてきた国。批判する者は抹殺される。
また、検事局はこれら3工場の製品(フェロシリコンなど)が米国、フランス、英国などに安価で輸出されていることは国益を損なっているゆえに犯罪的である、と弾劾している。安値でしかどこも買ってくれないから、というのは企業側のまっとうな理由になるだろうが、そういった言い訳は通用しない国。これで訴訟されるのならば、他の金属資源企業も軒並み逮捕されることになる。
ロシアの裁判所は訴訟の一環として3工場の株式と動産ならびに不動産を差し押さえたが、訴訟の最終決定はまだ出ていないというが、国の検事局による株式の差し押さえは実質的な国営化となり、プーチン独裁政権はこうした金属資源企業を掌握することで、ロシア産金属資源価格のつり上げ、および兵糧攻めを画策しているのではないだろうか?
(IRUNIVERSE/MIRU YT)
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