大栄環境(9336)24/3Q3WEB説明会、中計見通し 新規にややポジティブ
24/3期関西・中部地方のインフラ案件等が寄与、6.8%増収18.3%営利増予想と再増額修正
株価2649円(2/20) 時価総額2646億円 発行済株99892千株
PER(24/3期DO予:19.2X)PBR(3.13X) 配当24/3予42円 配当利回り:1.6%
要約
・24/3Q3は10.8%増収38.1%営利増と主力の廃棄物資源循環事業が関西・中部で好調続く
・24/3期関西・中部地方のインフラ案件等継続し6.8%増収18.3%営利増予想と再増額修正
・中計最終年度まで平均5~6%増収、最終25/3期営業利益率20%以上は既に利益率クリア
・100年企業に向け「事業の永続性を高め環境創造企業として進化する」基盤づくりを実行
24/3Q3は10.8%増収38.1%営利増と主力の廃棄物資源循環事業が関西・中部で好調続く
1972年創業の一般・産業廃棄物の収集運搬、処理、リサイクル大手で最終処分場の保有で強味を持つ。24/3Q3決算が2/9に発表され、WEB説明会が2/16に開催された。24/3Qは売上高191.67億円(同期比10.8%増)、営業利益56.76億円(同38.1%増)、経常利益57.35億円(同43.2%増)と順調に収益拡大が継続した。
事業別に環境関連事業が売上高186.75億円(同11.3%増)、営利57.06億円(同37.5%増)。主力事業の廃棄物資源循環が売上高163.25億円(同13.1%増)と、関西。中部地区のインフラ開発案件に伴う廃棄物処理需要を継続して受注、廃棄物受入が55.9万トン(同17.2%増)となったことが大きい。一方、土壌汚染関連は売上高15.44億円(同8.9%減)となった。最終処分場での受入る汚染土壌の受注単価見直しに伴い、受入量の抑制を継続、汚染土壌受入量は11.3万トン(27.1%減)となっており、高単価の受入シフトで収益性を高める状況に。利益面では増収効果、高採算の大型案件寄与、加えて単価見直しなどが寄与し、営業利益率が5.9ポイントアップし30.6%まで高まり、大幅増益に。有価資源リサイクルなどその他事業は売上高4.92億円(同4.3%減)、営業利益0.07億円(80.6%減)とアルミペレットの市況軟化などの影響で収益低迷も想定内の動きとのこと。
24/3期関西・中部地方のインフラ案件等継続し6.8%増収18.3%営利増予想と再増額修正
関西・中部地方のインフラ案件等継続、加えて連結子会社の共同土木の受入量の増加等で会社予想を再増額修正、24/3期会社予想を売上高722.82億円(11/9増額修正比7.01億円増額、6.8%増)、営利196.67億円(同11.49億円増額、18.3%増)、経常利益204.95億円(同11.20億円増額、22.7%増)、税引利益136.25億円(同11.73億円増額、29.8%増)予想と、連続最高益更新予想とした。
事業別では環境関連事業が売上高703.56億円(同6.95億円増額、7.5%増)、営利198.51億円(同10.89億円増額、18.8%増)予想。主力の廃棄物資源循環が628.39億円(同10.29億円増額、11.2%増)と関西・中部地方のインフラ案件等継続で上振れ見通しに。受入量では222.2万トン(5.7万トン減額、17.4%増)とQ4は多少鈍化も採算は良いとのこと。土壌浄化は48.15億円(同2.57億円減額、19.3%減)と、高単価受入を推進するために受入量を41.8万トン(3.1万トン減額、37.4%減)と更に絞り込む計画に。その他有価資源循環事業は売上高19.25億円(同0.06億円増額、11.9%減)、営業損失0.27億円(同0.56億円改善、同期比1.61億円悪化し赤字転落)と、アルミの市況軟化影響で低迷予想。
営業利益全体での増減予想(166.23億円から196.67億円へ30.44億円増)では、売上増効果が46.23億円と大きく、更にその他コストの削減を進め、2.47億円増益寄与(11/9比6.86億円増で利益貢献予想)が加わり、償却負担、人件費増、エネルギー等の上昇コストなどを補い、大幅増益となる前提を立てている。現状、Q4で廃棄物資源循環が大口が一旦Q4で縮小するとのことで、会社計画並みの着地が見込まれる。
中計最終年度まで平均5~6%増収、最終25/3期営業利益率20%以上は既に利益率クリア
同社は中期経営計画として22/3期~25/3期の平均成長率5~6%、最終年度の25/3期に売上高営業利益率20%以上(M&A,廃棄物処理受託価格の変動を加味しない)を目指している。現状、22/3期売上高650億円に対し、23/3期677億円(4.1%増)、24/3期修正予想723億円(6.8%増)となっており、25/3期も増収が見込まれ、売上の伸びの達成が見込まれる。売上高営利率では23/3期で既に24.6%、24/3期予想は27.2%と、既に達成しているばかりか24/3期は更に収益性がアップ予想となっている。このため中計計画は売上で計画上限をクリア、利益面では大幅な上振れが見込まれる。
100年企業に向け「事業の永続性を高め環境創造企業として進化する」基盤づくりを実行
同社は100年企業に向け、次世代に求められる新たな価値を社会に届ける環境創造企業への進化を実行することを標榜している。
この実現に向け、既存事業の拡大、公民連携の拡大、事業エリア拡大のためのM&A、カーボンニュートラルに向けた新事業の取込みなどを実行している。
まず、既存事業の拡大においては22年の伊賀メタン発酵、堆肥化設備の稼働に続き、三木バイオマスファクトリーの稼働が23年5月に開始、持続可能な成長に向けた設備増強も目白押しの状況となっている。
同社は全国自治体数の約24%となる425自治体と取引を行っているが、公民連携(PPP)の拡大を通じ更なる取引自治体数を拡大する計画。具体的に30/3期までに、全国12か所で公民連携協定を締結、内4か所で稼働開始を目指す。
なお、2018年の西日本豪雨、台風21号等以降、災害支援協定の締結が加速しているが、同社は災害支援協定においても23年12月末時点の締結数が全国の自治体数の約10%となる170件を締結している。同社が携わった総取扱量は約550万トンに達している。今回の能登震災においても災害支援協定の重要性が言われており、様々な災害の発生が多発化、広域化する中で、地方自治体との協定締結数の拡大を目指す。現状、能登震災での廃棄物処理の方向性が決まっていないが、道路寸断状況が厳しく海上コンテナ利用もあり得るため、今後、災害支援需要が高まる可能性もある。
事業エリアの拡大について、従来からM&Aで拡大を加速してきた実績が有り、M&Aによるグループ企業が18社ある。昨今も関西、関東で3社のM&Aを実行、この成果が現われつつある。さらに今後、保有施設が少ない地域で中間処理業者のM&Aをメインターゲットとし、その実行に合わせた設備投資計画も2030年を視野に具体化させている。
同社は上記の様な様々な施策の実行により、サーキュラーエコノミー社会の実現に向けて大きな役割を果たせる環境創造企業として、今後も順調な事業拡大が続こう。
株価は24/3期修正予想EPS136.77円に対し、PER19.3倍、ダイセキ21.5倍とほぼ同等、要興業11.4倍、イボキン9.9倍、エンビプロ12.8倍と比較し高くなっている。従来から日経平均並みの動きをしているが、現状、増額修正、連続最高益更新に加え、事業展開の潜在的な成長性が高いとみられ、サーキュラーエコノミーに関する代表的な成長企業としてややポジティブと考える。
(H.Mirai)
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