金価格、快進撃止まらず 国内外で最高値、NY金2150ドル、国内価格は1万1300円台
金相場の勢いが再び増している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物価格は3月6日に一時1トロイオンス=2150.5ドルと過去最高値を付けた。3月に入り、2023年12月末以来ほぼ2か月ぶりに節目の2100ドル台に戻していた。米利下げ観測や地政学的リスクの高まりで金の先高観が再燃している。
過去3か月間のNY金価格の推移($/toz)
金相場は日本国内価格も過去最高値を更新中だ。田中貴金属工業の日次データで、金の買い取り価格は3月6日に前日比33円高の1万1320円/gと連日で過去最高値を更新した。4日に節目の1万1000円に乗せた後も快進撃が続く。miruのデータでも国内金(山元建値)は3月4日に心理的節目の1万円/gを超え、3月6日には1万245円を付けた。
過去3か月間の国内金価格の推移(山元建値)(JPY/g)
■中露の中央銀行が金を買い増し
金相場の上昇には複数の要因が絡み合う。まず、米国の金融政策転換観測がある。3月初めに発表の景況感指数をはじめとした米国の2月の経済指標が総じて弱含み、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るとの見方が強まった。利下げが行われれば、高金利での儲けが少なくなるとみた資金が金に流入するとの期待がある。
さらに、丸2年を超えたロシアのウクライナ侵攻に加え、ガザの紛争やフーシ派による紅海での攻撃など地域紛争の多発で安全資産としての金の需要が高まっている。米国の存在感が薄まる中、中国やロシアをはじめ新興国の中央銀行がドル資産の保有分を金保有に切り替える流れも「中長期のトレンド」(金融アナリストの川上敦氏)になりつつある。中国では景気減速が長期化する中、株安なども背景に個人の金買い意欲も強い。
■米大統領選まで続く不安定な世界
今後についても、世界的な不安定感の継続を背景に金の人気化が進みそうだ。米ブルームバーグ通信は3月5日、「進行中の戦争や今後の米国大統領選挙など地政学的な不確実性が高まる中、安全資産としての需要が引き続き金価格を下支えする」とのアナリストの話を伝えた。
(IR Universe Kure)
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