週刊バッテリートピックス 「系統用蓄電池が前進」「マグネシウムから電池」など
2024年3月18日~3月23日のバッテリー業界では、日本政府が進める再エネルギー事業の発展に向けた動きが日本の北と南から寄せられた。いずれも系統システム向けの設備の拡充の話題で、九州で鉄道駅竣工し、北海道でも蓄電池システムの建設計画が発表された。マグネシウム由来の電池の作成が伝わるなど、新材料関連も引き続き注目された。
<国内>
●JR九州、熊本県に「でんきの駅川尻」完工 住友商事と
JR九州は3月21日、ホームページ上で、住友商事グループと建設していた熊本市南区の蓄電施設「でんきの駅川尻」が完工したと発表した。9月に本格的に稼働する。
電気自動車(EV)に搭載されていた約350台分のバッテリーを再利用し、鉄道沿線地や遊休地系統用蓄電事業に役立てる。
プレスリリース:240321_denkinoeki_kawashiri.pdf (jrkyushu.co.jp)
●東北大、紙とマグネシウムから電池作成
東北大学は3月19日、ホームページ上で、電力中央研究所、東北大学発ベンチャーのアジュールエナジー(AZUL Energy)、英国のスタートアップであるアンフィバイオ(Amphibio)との共同研究チームが、「紙とマグネシウムをベースに『金属空気紙電池」を作製した』と発表した。
安全な触媒を使ったうえで、塩水をトリガーに8V(ボルト)の電圧と100mW(ミリワット)/cm2(平方センチメートル)以上の出力の実現に成功した。
プレスリリース:資源が豊富なマグネシウムと紙から低環境負荷の新型電... | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
●スバル、パナとEV向け電池供給で提携
スバルは3月19日、自社ホームページ上で、「パナソニックホールディングス(HD)との間で電気自動車(EV)向け電池の供給で協業する基本契約を結んだ」と発表した。スバルが自社生産するEVに、パナソニックエナジー製の円筒形リチウムイオン電池を使う。供給量など具体的な計画は決まり次第公表する。
プレスリリース(スバル):SUBARUとパナソニック エナジー、車載用円筒形リチウムイオン電池の供給に関する協業基本契約を締結 | ニュースリリース | 株式会社SUBARU(スバル)
●丸紅、北海道で系統用蓄電池設備を建設へ
丸紅は3月18日、自社ホームページ上で、「北海道で系統用蓄電池事業に参画する」と発表した。
北海道子会社を通じて同地に設備を建設する。日本政府が進める際エネルギー利用方針にのったったもので、従来の最エネ利用の弱点だった機構などによる不安定化を軽減する。
関連記事:丸紅:北海道北広島市における系統用蓄電池事業への参画について | MIRU (iru-miru.com)
●阪和興業、韓国のLIBリサイクル企業と提携へ
阪和興業は3月18日、自社ホームページ上で、韓国リチウムイオン電池(LIB)リサイクル企業のセビットケム(SEBITCHEM)との間で、LIBリサイクルに関する戦略的提携の覚書を締結したと発表した。
関連記事:阪和興業 LIBリサイクルで韓国のSEBIT社と戦略的提携 | MIRU (iru-miru.com)
<海外>
●仏ルノー子会社、自動車の循環型経済の可能性を展示へ パリのイベントで
(The Future is Neutralのホームページから)
フランス自動車大手ルノーグループのサーキュラーエコノミー事業子会社The Future is Neutralは3月22日、自社ホームページ上で、3月25-27日にパリで開催予定のイベント「Change Now 2024」に出展すると発表した。自動車分野における循環型経済の可能性を展示する。
プレスリリース(英語):The Future Is NEUTRAL presents its solutions at ChangeNOW - The Future Is Neutral
関連記事:欧州からの風:2024年3月#1 ルノー子会社The Future is Neutral・EV用部品のリマンに着手 | MIRU (iru-miru.com)
●中国バッテリーリサイクルのGEM、東風汽車と提携
中国最大のバッテリーリサイクル業者であるGEM(格林美)は3月22日、自社ホームページ上で、「3月19日に、傘下の武漢動力電池再生技術を通じ、同国の国有自動車大手である東風汽車集団との間で、環境保護で提携した」と発表した。パワーバッテリー分野でのセミナー開催やリサイクルネットワークの共同構築などで協力する。
プレスリリース(中国語):格林美股份有限公司 (gem.com.cn)
●ポスコ新会長「EV低迷は一時的」
韓国鉄鋼大手ポスコホールディングスの張仁和(チャン・インファ)新会長兼最高経営責任者(CEO)は3月21日の就任式で、低迷が指摘されるEV産業についてEVは地球の運命のようなもので大きな方向性は変わらない。一時的な市場停滞期に資源を確保し、競争力を高めていく」と語った。
関連記事:ポスコHD 死の谷の環境でもEV電池材料への投資は続ける | MIRU (iru-miru.com)
●太陽光発電のロンジソーラーが大規模リストラか 競争激化で
米ブルームバーグ通信は3月19日、「世界最大の太陽電池メーカーである中国の隆基緑能科技(ロンジソーラー)が従業員の約3分の1を削減する計画だ」との関係者の話を伝えた。太陽光発電産業の過剰生産や同業間競争の激化の中、コスト削減に踏み来るようだ。
(IR Universe Kure)
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