株式会社フジクラ:京都大学発スタートアップ「京都フュージョニアリング社」に出資
2024/04/11 10:30 FREE
2024年4月11日、株式会社フジクラは「京都大学発スタートアップ「京都フュージョニアリング社」に出資」を発表した。
詳細は以下。
1.「京都フュージョニアリング社」について
京都フュージョニアリング社は、京都大学をはじめ、日本で長年培われてきた核融合研究の成果に基づき、2019年に設立された京都大学発のスタートアップ企業で、フュージョンエネルギープラント関連装置・システムの研究開発およびプラントエンジニアリングを行っている。
世界各国のフュージョンエネルギー研究開発機関や企業を顧客とし、この分野で大変注目されている企業。
2. フュージョンエネルギーについて
フュージョンエネルギーとは、太陽で起こっているような軽い原子核同士(重水素、三重水素)が融合して別の原子核(ヘリウム)に変わる際に放出されるエネルギーのことで、燃料1グラムで石油8トンを燃やした時と同等のエネルギーを生みだすことができるとされている。
燃料は海水から取り出すことができ、かつ、フュージョンエネルギーを用いた発電の過程においては二酸化炭素も発生しない。このため、地球温暖化や環境問題への解決策として注目され、カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要な役割を果たすものと期待されている。
3. 出資の目的
同社の高温超電導線材※1はフュージョンエネルギーに必要なプラズマを閉じ込め、制御するための高温超電導マグネットに用いられる。
この技術の発展はフュージョンエネルギー炉の早期実用化につながるため、同社と京都フュージョニアリング社は、昨年12月、英国原子力公社(UKAEA)向けのフュージョンエネルギー炉用高温超電導マグネット領域の研究推進プロジェクトにおける協業を発表している。
同社のものづくりの技術力と京都フュージョニアリング社の核融合関連のノウハウを結集し、研究速度をあげていくほか、今後、このフュージョンエネルギー分野において同社製品を発展させるための協業も視野に活動していく。
同社は、今後も環境負荷の低減と持続可能なエネルギー供給の実現に向け、さらなるイノベーションを追求し、社会の発展に貢献していく。
京都フュージョニアリング社 会社概要
社名:京都フュージョニアリング株式会社
所在地:東京都千代田区大手町一丁目6番1号大手町ビル5階
設立年月日:2019年10月
代表者代表取締役社長:小西哲之
事業内容:フュージョンエネルギープラント関連装置・システムの研究開発およびプラントエンジニアリング
※1高温超電導線材
ある温度以下になると電気抵抗がゼロになる現象を超電導といい、液体ヘリウム(沸点:-269℃)を使って冷却する低温超電導(金属系超電導)と、液体窒素温度(沸点:-196℃)でも超電導を示す高温超電導(酸化物系超電導)とがある。
同社は30年以上にわたりこの高温超電導線材の開発を行い、この分野で世界をリードしてきた。
同社が研究開発しているのはレアアース系高温超電導線材で、ニッケル基合金などのテープ状金属基板上に、中間層を介してレアアース等からなる酸化物超電導材料を結晶成長させながら成膜した線材。その特性は、超高磁場中でも高特性であり、将来の次世代超電導機器実現のために普及が期待される。
欧米を中心に開発が進められているフュージョンエネルギー開発プロジェクトに向けて、この高温超電導線材を世界中に提供し、その生産能力を拡大している。
関連記事
- 2024/04/27 中国太陽光パネルのジンコソーラー、23年は大幅増収増益=出荷量、世界首位返り咲き
- 2024/04/26 【貿易統計/日本】 2024年3月のレアアース(希土類)輸出入統計
- 2024/04/26 EU、エネルギー憲章からの離脱で合意 1994年設立、気候政策に敵対的で時代遅れに
- 2024/04/25 マイクロ波化学 鉱山プロセスで革新的なマイクロ波利用の標準ベンチ装置を完工
- 2024/04/25 6/19-20 MIRU Rare earth Symposium in Tokyo with 2024 REIA Annual Conference & JOGMEC
- 2024/04/25 原油価格の動向(4/24)
- 2024/04/24 三菱重工と日本ガイシ アンモニア分解ガスからの膜分離水素精製システムを共同開発
- 2024/04/24 6月19日‐20日開催 レアアースシンポジウム in Tokyo 講師紹介 東京大学大学院工学系研究科長・工学部長/教授 加藤 泰浩氏
- 2024/04/24 中国国家安全部 レアアース分野の国家機密盗難事件で日中企業双方の当事者に懲役11年の強制措置
- 2024/04/23 米国ボルチモア港閉鎖による米国石炭輸出量減とその影響