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西側航空宇宙、ロシア産スポンジチタンの輸入増加か 国際チタン協会会議で報告

 チタンの国際業界団体である国際チタン協会(ITA)は5月7-9日、アイルランド首都ダブリンで国際会議を開催した。チタンメーカーのほか、塗料や航空関係者などが参加した会議では、西側の航空宇宙メーカーによるロシア産スポンジチタンの調達が増えているとの報告があったという。低品位の分野では中国産の流入も見込まれているようだ。

 

 

■需要増で価格高止まり

 5月10日付のFerroalloy.netが会議の内容を伝えた。それによると、仏エアバスなど西側の航空宇宙メーカーは、ロシアのVSMPO-AVISMAなどからチタンを調達し続けているという。

 理由は航空宇宙各社の生産が増えているためだ。8日の会議で講演した米材料・部品サプライヤーATIのロバート・ウェザビー氏は、「西側の航空宇宙エンジンのチタン需要は2023年から2028年にかけて年平均成長率7.7%で成長し、エンジンのチタンの需要は2028年までに35%拡大する」と予想したとされる。Ferroalloy.net も、航空各社の現状として、OEMは今後4年間でナローボディ機とワイドボディ機の生産率を高めることを目指しており、エアバスは2028年にA350のスケジュールを月産12機に増やす予定と報じた。ボーイングも737や787の生産を続けているという。

 

 実際、需要拡大傾向を背景に、航空機向けスポンジチタン価格は高止まりしている。

 

過去10年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($k/g)

 

 

 ウクライナと中東での紛争により、欧米の国防費も増額傾向だ。Ferroalloy.netは、「F-35戦闘機やM777砲など兵器向けのチタン需要が増加する」との見通しを伝えた。

 

 

■高品位のロシア産、低品位の中国産

 航空宇宙向けチタンは、用途により調達元が異なる。高品質のチタンロッドとビレットは、ロシア産チタンの役割が大きい。一方、中国製のスポンジチタンは低品質のため、ローターレベル向けにとどまる。一部のメーカーは機体や構造用途に中国産を採用するも、多くは試験段階という。

 ただ、前出のウェザビー氏は会議で、「中国のスポンジチタンが航空機や回転部品の重要な部分になるにはしばらく時間がかかるだろうが、業界はグローバルなサプライチェーンを持つことに関心を持っている」と述べたという。

 もしも中国産スポンジチタンの高品質分野での採用が拡大すれば、この分野での価格破壊につながる可能性もある。しかし、それは現在電気自動車(EV)分野で起きているような貿易戦争に発展する恐れもあり、西側諸国と中露の対立関係にチタンが巻き込まれる恐れも出てきそうだ。

 

ITA会議関連資料(英語):Summary - TITANIUM Europe 2024 (cvent.com)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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