大紀アルミ 24/3期の決算説明会を開催 スクラップ高でスプレッド縮小 インド事業の構造改革など

2024年5月14日13時半、大紀アルミニウム工業所は大阪本社にて24/3期の決算説明会を開催した。
24/3期の決算内容、25/3期の見通し、また新たに策定された2024年度~2026年度の中期経営計画についても発表があった。
24/3期の実績と25/3期の見通しについては既報(大紀アルミ:24/3期決算を発表。中期経営計画を作成)の通りだが、改めて述べると、24/3期については、ダイハツの不正認証問題による合金需要減や、東南アジアでの部品需要減(特にタイでの不振が響いた)で特にQ4は大幅な減産となった。
ハイライトとしては、原料であるアルミスクラップはきわめてタイトな状況が続いており、原料コストと合金販売価格とのスプレッドは縮小し、結果的に営業利益は低下した。アルミスクラップは為替の円安もあり輸出ドライブがかかっており、月間3万~4万トンの高水準の輸出が続いている。
これに関して、具体的に輸出対策などは行っているのか、と質問したところ、協会(アルミ合金協会)から経産省にも状況は伝えているが、すぐに輸出関税をつける、ということは現状難しいとのこと。スクラップの輸出関税については賛否両論あり、の現状。
現時点では地道に原料コスト分をアルミ合金販売価格に転嫁していくことで、アルミスクラップの調達競争力をあげていくことが最大限の努力、ということだった。そのためにも、CO2削減努力を価値として認める製品価格体系を実装することが重要だと感じた。
海外セグメントについては「意思のある減産を行った」とのコメントがあったが、インドでは製品価格が伸び悩み苦戦していることもあり減産。タイではピックアップトラックの需要が落ちたこと、中国勢のEVがかなり台頭してきていることもあり減産。
24/3期実績と25/3期の設備投資計画では主に聖心製作所におけるダイカストマシンへの投資、インドでの鋳物ラインへの投資がある。聖心製作所ではEVでのギガキャストを意識したダイカスト部品の開発を行っていくとのこと。
25/3期では売上高は2906億円を見込む。営業利益は前期比45%増の672億円。
合金販売計画では単体では前期比4%増の22万4700トン。
国内販売に関しては、前期に比してマイナス要因はなくなる、と思われるが、まだ足元ではダイハツの回復は道半ば。値幅(スプレッド)に関しては、やはりアルミスクラップ輸出増でそれほど24年と変わらない、のではないかとみている。
インド事業については、これまで厳しい収益状況だったことを踏まえ、これまでは日本向けの合金輸出をメインとしていたが、それをインド国内向けを主として、バッファー分を輸出と大幅な販売政策の転換を行う。そのため、現在インド国内に進出している日系、非日系の自動車メーカー向けへの合金製品認証取得を急いでいるとのこと。
インドでの原料調達について聞くと、基本的にゾルバなどの輸入中心ではあるが、現在はインド国内でのスクラップ購入を進めている(主として発生工場の)とのことだった。
今後の配当方針として、株主還元をメインとする。
連結配当性向3%、DOE3%を目指す。
2024~2026年 新中期経営計画について
成長分野への投資については
EVなどへのリサイクル合金の投入、合金の開発など
車体ダイカスト部品用合金の開発
原料面では、水平リサイクルを目指した選別技術の向上を行い、結果的に原料の付加価値向上を目指す。
設備投資は136億円を見込む。
省エネ対策が47億円、既存設備更新で34億円
CO2削減については、生産工程拠点でのCO2排出量 2019年比30%ダウン SCOPE1、2,3の合計で
(IRUNIVERSE/MIRU Tanamachi)
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