大紀アルミ:24/3期決算を発表。中期経営計画を作成
5月14日11時、大紀アルミニウム工業所は24/3期の決算を発表した。同時に26年度を最終年度とする中計を発表した。同日の午後より同社本社にて決算説明会が開催されたが、その内容は別途報じる。
<24/3期実績>
〇外部環境
主要需要先である国内の自動車関連市場では、半導体や部品供給不足の解消が進み国内自動車生産の復調傾向を受け、アルミ二次合金の需要は戻りつつある。しかしながら、原料であるアルミスクラップの品薄感が意識され価格が高止まりする一方で、特に東南アジア向け部品輸出において力強さを欠いたことから、本格的な需要回復には至っていない。
〇実績
売上高は、前期と比べて製品販売価格及び販売数量が低下したこと等から、アルミニウム二次合金地金1,680億円(前期比8.0%減)、商品・原料他946億円(同4.7%増)で、これらを併せた売上高総額は2,626億円(同3.8%減)となった。
収益面は、特に海外連結子会社において、高止まりしているスクラップ価格の影響により、原料価格と製品販売価格の価格差(スプレッド)が縮小したこと等から、営業利益46.1億円(同66.4%減)、経常利益41.6億円(同70.0%減)となり、当期利益32.4億円(同66.6%減)となった。
図表1、24/3期実績(百万円)
出所:会社発表資料よりIRU作成
<25/3期見通し>
アルミニウム二次合金業界は、懸念される経済減速リスクは存在するものの、自動車生産の受注残消化、及び半導体不足の更なる解消や、各国の経済対策の効果等に伴い緩やかな景気回復による自動車生産の増加も見込まれる。
こうした中、引き続き需要に見合う効率的な生産、原材料の価格変動にも対応できうる購買体制を構築するなど、時代の変化に敏速に対応していく。また、同社グループでは2030年に目指すべき姿『DAIKI∞NEXT∞』に向け、25/3期から27/3期を対象期間とする第2次中期経営計画を新たに策定し、開始した。
図表2、25/3期会社業績見通し(百万円)
出所:会社発表資料よりIRU作成
<参考>
四半期別に利益率をみると前3Qをボトムに、回復に転じたようだ。ただ、本格的な回復なのかどうかは今1Q決算で見極めたいところだ。
図表3、四半期別セグメント別業績推移(百万円、%)
出所:会社発表資料よりIRU作成
(IRuniverse 井上 康 )
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