NY銀価格が11年ぶり高値 国内銀は最高値圏、今年の上昇率は金上回る
2024年5月16日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で銀先物価格は$29.876/tozと2013年2月以来の高値に上昇した。同日は米利下げ観測などを背景にNY金価格も堅調で、下落して終えたものの4月下旬以来の高値水準を維持した。近年は金の快進撃が注目されるが、実は2024年に入ってからの上昇ピッチは銀が金よりも速い。
■太陽光パネル向けの中長期期待が支え
過去15年間のNY銀価格の推移($/toz)
国内銀相場も上昇している。5月16日の国内銀価格は14万9140円/kgと、過去20年間で最高値圏にある。
過去20年間の国内銀(山元建値)の推移(JPY/kg)
金と銀は同じCOMEXで取引されるため総じて連動して動く。足元では中東での武力衝突を背景とした金相場の急騰に追随している。さらに、銀は半導体材料に使われるほか、太陽光パネルの主要成分であることから、この産業の中長期的な需要増加期待も膨らんでいる。もちろん貴金属需要も多く、金と同じく投機の対象にもなりやすい。
一方で、既に過去最高値圏にある金に対し、銀は出遅れ感も指摘されてきた。過去最高値は2011年の$49で、$20台の現水準からはまだ差がある。2023年末には著名投資家のジム・ロジャース氏が「2024年の注目は銀と砂糖」と述べるなど、投機筋からの注目も高かった。このため、銀は2024年に入ってから5月16日までの上昇率が24%と急伸。上昇率は同時期の金の15%を上回った。
2024年のNY金銀価格の推移($/toz)
■30ドルが当面の上値抵抗線
先行きに関しては、「$30が当面の上値抵抗線」(5月16日付のFXSTREET)との声が多い。今年に入ってからの上昇が急ピッチであるだけに、投機筋がいったん矛を収める可能性がある。ただ、$30を上抜ければ、潜在的な供給不足に加え、投機の再燃や中長期的な工業向け需要の期待などを手掛かりに「30ドル台前半までは上昇する」(同)との予想が浮上している。
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(IR Universe Kure)
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