展示会で目立った「石膏ボード」リサイクル 要因は埋め立て地の限界と規制法
2024年5月22日から24日まで東京ビッグサイトで行われていた、NEW環境展2024では、環境リサイクルにかかわる企業の出展が多かったが、とりわけ目立って見えたのが「石膏ボード」のリサイクルという文字だった。
石膏ボードは、建設全般に使われるものだが、近年この石膏ボードのリサイクルが叫ばれているが、その理由は「埋め立て地の限界」がささやかれているからだという。
石膏ボードは、多くが埋め立てられているとされており、この部分でリサイクルを目指す企業が増えているという。
この話を、主にリサイクルプラント、計量機器を扱う「鎌長製衡株式会社」と、新潟のプラントメーカー、「株式会社田中建設プラントエンジニアリング」に話を聞いた。
2021年のあの地域での土砂災害で規制法
石膏ボードは主に、石膏と紙で作られているが、鎌長製衡の製品は、この石膏ボードを石膏と紙に分別することができるという。しかし、現状では騒音などの問題があり、設置に制限がかかっているという。
一方田中建設では、自身の技術により、この石膏ボードのリサイクルに着手。この廃石膏ボードを原料として、肥料へのリサイクルを目指しているという。
同社によると、平成28年のデータになってしまうが、廃石膏ボードの年間の発生量は119万トン。そのうち約28%が埋め立てに回っているという。
この廃石膏ボードから生み出したリサイクル原料を販売するところまでを目指したいという。
また同社が、石膏ボードのリサイクルに力を入れる理由に、「盛土規制法」という規制法ができたことにあるという。
この規正法は、2021年に起きた熱海での土砂災害の後にできた規制法で、つまりあの熱海での土砂災害は、不正処理された盛土が原因であったとされているという。
同社のように、石膏ボードのリサイクルに力を入れる企業が出てきている背景には、規制もかかってきている背景もあるという。
田中建設は、毎年MIRU.comでも取り上げている、産業環境管理協会が主催している、「リサイクル技術開発本多賞」への応募も行っているということだ。
これまであまり注目されなかった、石膏ボードリサイクルだが、今後空き家問題が大きくクローズアップされる中、この分野でのリサイクル技術は注目される。
(IRUNIVERSE Hatayama)
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