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新技術 チタンの高速大量生産法を提案 @生産技術研究所 岡部教授

東京大学 生産技術研究所 岡部 徹氏、大内隆成氏を責任著者とする

「溶融チタンから低酸素濃度チタンの直接製造:Direct production of low-oxygen-concentration titanium from molten titanium」が、2024年6月12日 Nature Communications誌に掲載された。

 

岡部教授らは、酸素を含む溶融状態のTiから構造材料に適用できる酸素含有率(質量分率)0.1 %程度のTiを製造する新技術を提案した。本技術により、製錬・溶解・鋳造プロセスの一貫化によるTiの高速大量生産が可能となる。

 

原著論文は、下記よりお読みください。

Direct production of low-oxygen-concentration titanium from molten titanium | Nature Communications

 

 

日本チタン協会での講演会にて、岡部教授が、

「最近、研究が大きく進展し、溶けたチタンから直接、不純物酸素を除去できるようになった。詳細は、近く論文発表される

平衡論的には、2000Kでも100 ppmOレベルの低酸素濃度のチタンが得られる可能性がある。

これが可能となれば、チタンの新製錬やアップグレード・リサイクルに利用できる。」

とおっしゃっていた論文である。

待ちにまっていた論文が公開されたことの連絡をいただき、その内容に感激した。

なんといっても、熱力学考察をもとに、実際の実験で実証されたことがすばらしい。

 

 

論文の概要を紹介する。

<工業材料としてのチタン製造の問題点>

チタン(Ti)は資源的には豊富に存在し、優れた機械的・化学的性質を有する魅力的な材料であるが、

Tiと酸素(O)との化学的親和性が極めて高いため、製錬、溶解、鋳造による製造コストが高い。

 

現在工業的に利用されている金属チタンの製造法(クロール法)では、一旦、四塩化チタン(TiCL4)へ変換後、金属マグネシウムで還元し、スポンジチタンを製造する。

このクロール法で製造したスポンジチタンを溶解する必要がある。

 

<岡部教授らの提案>

そこで、岡部教授らは、製錬・溶解・鋳造プロセスの一貫化によるTiの高速大量生産の確立を目指し、

酸素を含む溶融状態のTiから直接、構造材料に適用できる酸素含有率(質量分率)0.1 %程度のTiを製造する新技術を提案した。

 

具体的には、

アルミ(Al)やマグネシウム(Mg)により高酸素濃度のTi原料を還元して得られた高酸素濃度合金を、希土類金属とそのオキシハライド生成を利用して脱酸する技術である。

 

提案では、金属イットリウム(Y)によるTiの脱酸とイットリウムオキシフルオライド(YOF)の生成を利用し、酸化物活量を低下させる反応経路を利用する。

 

岡部教授らは、熱力学的に詳細に検討した結果、

希土類金属の脱酸力と、希土類金属オキシハライドの生成反応を利用すれば、平衡論的、溶融Tiから十分に低い濃度まで酸素を除去できる可能性を示した。

 

そこで、溶融Tiの脱酸実験を実施し、本脱酸反応の有効性及び脱酸限界を明らかにした

 

<脱酸実験>

 

チタンの溶解には、コールドクルーシブル高周波溶解炉を用いた。銅るつぼの内径62㎜。

500 Torrのアルゴン(Ar)雰囲気化で加熱溶融。溶解を目視確認後、10分~20分間保持。

実験後、冷却凝固させて得られた試料の概観

誘導溶解により、金属試料はフラックス相から分離される。

フラックスはインゴットの外側へ除去されている。

 

写真上:冷却凝固させたインゴット(るつぼの径は62 mm)

 

写真下:分析用にスライス切断後のTi試験片

 

上記Ti試験片をさらに、小片に切り出し、不活性ガス融解―赤外吸収法により、Ti試料中の酸素含有率及び窒素含有率を求めた。

酸素及び窒素含有率は、原著論文のTable1をご覧ください。

 

Table 1 によれば、

 

実験#1では、酸素含有率(質量分率)0.01 %~0.023 %と極めて酸素濃度の低い金属試料が得られている。試料全領域に渡って均一に脱酸が進行したことも実証されている。

 

世界で初めて、液体Tiから直接酸素を極低濃度まで除去する新しいい精錬法の有効性が実証された。

 

 

その他、TiへのYの混入を最低限に抑え酸素含有率(質量分率)0.1 %程度の低濃度まで除去できること(実験#2)も明らかとなった。

また、意図的に初期酸素濃度を1 %とした場合(実験#6, #7, #8)においても、酸素含有率(質量分率)0.1 %程度まで酸素は除去された。

 

実験では、ランタン(La)及びセリウム(Ce)を用いても、低酸素濃度のTiが得られることが確認された。

 

なお、論文では、溶融実験後得られたフラックスのX線開設により、フラックス中にイットリウムオキシ古ライドの生成を確認している。結晶性の酸化物は検出されていない。

これにより、熱力学的考察が検証された。

 

 

本技術で利用するイットリウム (Y)、ランタン (La)、セリウム (Ce) は、電気自動車のモーター用磁石に用いられるネオジム (Nd)、プラセオジム (Pr)、ジスプロシウム (Dy)、テルビウム (Tb))といった希土類金属の「副産物」として多量に生産される。

 

これら「副産物の希土類金属」は、高性能磁石の需要の急激な増大に伴って、供給が過剰となっており、これらの余剰な希土類金属を、チタンの製造やリサイクルに利用することは、資源の有効利用という観点においても画期的な提案となる。

 

 

最後に、岡部先生による、今回の論文発表が紹介された、

日本チタン協会での講演会のようすもよろしければ、下記よりご覧ください。

2024年度講演会 溶けたチタンから直接酸素を除去する製錬法 @日本チタン協会  | MIRU (iru-miru.com)

 

 

 

溶融したチタンから酸素濃度の低いチタンを直接製造する革新的技術の開発

――チタン製品の爆発的普及へと期待――

と題して、6月14日プレスリリースがなされた。

 

プロセス概念図を下記に示す。

チタン鉱石(あるいはTiO2)からAlまたはMg金属還元剤+フラックス(CaO)から、高酸素濃度チタン合金を製造し、

次のステップでは、金属脱酸剤にYなどの希土類金、脱酸助剤にCaF2により、低酸素濃度チタン合金とする。

 

上記プロセス概念図の右下の、”インゴットへの鋳造”を゛連続鋳造設備”に連結すれば・・・と、夢が膨らみますね。

 

 

本原稿の謝辞には、東京大学大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻 大学院生 山崎智揮氏による実験の補助及び原稿への助言への感謝が述べられていた。

現在は、某鉄鋼会社に勤務。

 

<第110回 レアメタル研究会>

2024年3月1日(金)14:00から『第110回  リアル講演会(An棟2F コンベンションホール)+講演のネット配信(Zoom Webinar & YouTube)のハイブリッド研究会』が開催された。テーマ:は『非鉄金属の未来』

 

この講演会では、東京大学大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻の修了生3名によるショートプレゼンがあり、その一人が山崎氏だった。

 

講演内容は下記

希土類金属化合物の蒸気を利用するチタンの新規気相脱酸法 (20 分)

東京大学大学院 工学系研究科 マテリアル工学専攻 岡部・大内研究室 山崎 智揮

 

講演会後の記念撮影

写真 左から 武 岑陽氏(修了生)、山崎 智揮氏(修了生)、岡部所長、名井理事長、八木 俊介准教授、鯨岡 由夏氏(修了生)

 

講演では、ひたすら試料を分析装置にかけていたと、苦労話をされていた。

 

今回の試料の酸素及び窒素含有率も、山崎氏が不活性ガス融解―赤外線分析装置を用いて、分析していたのかもしれませんね?

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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