
日本チタン学会・日本チタン協会産学連携委員会共同主催行事として第5回日本チタン学会 講演大会(2025年度)が、2025年10月9日(木)9:00~10日(金)12:05迄、新潟県上越市、直江津学びの交流館で開催された。
初日の一般講演で、ナカシマヘルスフォースの高橋弘幸氏が、整形外科用インプラントにおけるチタン合金積層造形の活用と課題について講演された。
積層造形技術関連はあらゆる産業で、必須な技術となりつつある。
今回の講演大会においても、レーザー(L)又は電子(E)によるPBF(Powder Bed Fusion:床溶融)結合法に関係する講演が6件もあった。
超高齢化社会における整形外科用インプラントの需要増は決して他人事ではない。
筆者も人間らしく2足歩行が続けられることが、いかに大切かを、身に染みて感じているこの頃である。
近年では、単に生活の為だけでなく、昔のようにスポーツをしたいという要求も増えている とのこと。
ナカシマヘルスフォース株式会社は、6月16日 帝人株式会社との資本提携解消による資本構成の変更に併せ、帝人ナカシマメディカルから“帝人”が取れるとともに、ヘルスケアを含め全体をみる意味で「ナカシマヘルスフォース株式会社」に社名を変更された。
事業内容:人工関節、骨接合材料、脊椎固定用材料等の医療機器の開発、製造、
販売 本社:〒709-0625 岡山県岡山市東区上道北方688番地1号) これまでに7,200個以上の手術実績があり良好な臨床評価が得られ、全国拡販を展開中とのこと。

ナカシマヘルスフォース株式会社 研究部 高橋広幸氏
<講演概要>
近年金属積層造形技術によって三次元連通構造を臨床応用する製品が増加。
人工関節置換術においては、再置換手術が必要となる患者が増加。再置換手術の課題はいかに骨欠損を補填し臼蓋を再建するかである。
そのためカスタムメイド臼蓋再建が臨床現場から求められ、Ti-6Al-4V合金粉末を用いた電子ビーム粉末床溶融結合(EB-PBF:Electron Beam Powder Bed Fusion)法の活用によって、国内初の3次元積層造形によるチタン合金製カスタムメイド臼蓋インプラントとして「T-REX カップシステム」を製品化された。
脊椎スペーサーは、脊椎患部の上下椎体と接触させて互いに一体化させることを治療目的とする。再生骨においては骨配向性に強く支配され、骨配向性を考慮した骨髄固定デバイスが求められていた。
Ti-6Al-4V合金粉末を用いたレーザー粉末床溶融結合(LB-PBF:Laser Beam Powder Bed Fusion)法による微細造形によって、配向化骨基質を埋入初期から誘導可能である脊椎スペーサー(UNIOS PL スペーサー)を世界に先駆けて開発し製品化に成功。
新たなモノづくりが革新的な製品を産む | 開発ストーリー | ナカシマヘルスフォース株式会社
ホームページによると、
第46回日本金属学会 技術開発賞を受賞(2023年9月20日)。
直近では、第2025年3月25日に71回大河内記念技術賞を受賞。 受賞内容:高強度配向骨の誘導による積層造形外科デバイスの付加価値向上と製品化。
第71回大河内賞にて「大河内記念技術賞」を受賞致しました | 2025年 | お知らせ | ナカシマヘルスフォース株式会社
贈賞式の様子は下記より。
第71回大河内賞 贈賞式に出席致しました | 2025年 | お知らせ | ナカシマヘルスフォース株式会社
最後に
積層技術については、下記中野先生の文献を参考にしてください。
また、今回の日本チタン学会の記事にて、チタン合金に関心を持たれた方は、 特殊鋼 2020 Vol.69 No.4 7でチタン合金のやさしい解説をお読みください。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)