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世界の鉱山で事故相次ぐ 地すべりや豪雨、異常気象で フィリピンは当局も警戒

 世界各国で地滑りや豪雨による鉱山の事故が相次いでいる。地球温暖化に伴い世界的に異常気象が頻発し、事故が起きやすくなっている。フィリピンの環境当局がラニーニャ現象の発生と降雨量増加を見越して鉱山関係者に予防を要請するなど、各国政府の危機感も強まっている。

 

■カナダやミャンマーで地滑り、チリでは豪雨

 

 

 米上場のカナダ鉱山会社であるビクトリアゴールドは6月24日、自社ホームページ上で、「カナダのユーコン準州で運営するイーグル鉱山で事故が起き、操業を停止している」と発表した。負傷者はいないという。インフラ面に障害が生じているようだ。ロイター通信は6月26日、衛星写真から同鉱山に地すべりが起きたことがわかると伝えた。

 

プレスリリース(英語):Victoria Gold Corp. | Victoria Gold: Eagle Gold Mine Heap Leach Pad Incident (vgcx.com)

 

 地すべりはミャンマーでも発生した。ラジオ・フリー・アジアは6月21日、「ミャンマー北部カチン州のレアアース(希土類)で大規模な地滑りが起き、15人の遺体を回収した」と伝えた。ほかに、20日時点で中国人1人を含む14人が行方不明になっていたという。同地区では6月4日にも土砂崩れが起き、中国人3人を含む20人以上が死亡した。5月から小規模な地滑りが起きてもいたと伝わる。

 

 銅の生産大国であるチリも天災に見舞われている。チリのボリッチ大統領は6月12日、中部から南部の6つの州に大雨による非常事態宣言を出した。同時点までに既に480人が被災したとされていた。

 鉱業分野への影響も当然あり、同国中部では銅鉱山会社ラス・セニサスが所有する鉱滓ダムが6月13日夜に大雨により氾濫。ダムは銅の生産による汚水を貯める尾鉱ダムで、水に鉛ヒ素などの重金属や多くの金属が含まれる。一方、近隣はアボカドの産地で、農民の住居への被害はもちろん、金属による農地の汚染被害も出てしまった。

 

■フィリピン、ラニーニャ警戒で鉱業当局に要請

 

 

 地すべりやダム氾濫の源になっているのは豪雨だ。フィリピンの環境天然資源省(DENR)は6月20日、ホームページ上で、「鉱山地球科学局(MGB)と現地事務所に対し、ラニーニャに備え、ラニーニャの潜在的な影響に対するあらゆる緩和策を準備するよう指示した」と発表した。

 

プレスリリース(英語):DENR urges Mines and Geosciences Bureau to prepare for impacts of La Niña | DENR 

 

 発表によると、フィリピンではフィリピン科学技術省(PAGASA)が6月4日に「熱帯太平洋でエルニーニョ現象が終息した」と発表した。強いエルニーニョの次にはラニーニャ現象が続くことが多く、PAGASAは7-9月にフィリピンでラニーニャが発生する確率は69%と予測している。PAGASAは、ラニーニャが発生すれば、同国内の一部の地域では、平年を上回る降雨量になる可能性が高くなるとも予想している。

 フィリピンでは6月、豪カナダのオセアナゴールドの子会社が運営していたルソン島の鉱山で死亡事故が発生していた。

 

■事故、採掘現場の弱点露呈

 鉱山事故の発生は、各々の国や地域の採掘現場の弱点をもあぶりだす。例えば、ミャンマーでの地すべりは中国による電気自動車(EV)向けバッテリー材料としてのレアアース需要の高まりを受けた違法採掘の現場で起きた。このため、死亡者にも中国人技師が含まれる。鉱山現場は環境汚染が激しく、森林伐採や無秩序な掘削などで地盤が弱くなり、大惨事につながった面がある。

 チリの銅採掘現場も農村と隣り合わせにあった。ビクトリアゴールドは、事故があった工場の精錬システムにヒープリーチパッド(HLP)を用いるが、この事故で失敗とみなされ、カナダ証券大手のBMOキャピタルが6月24日に同社株の格付け引き下げと目標株価の撤回に踏み切った。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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