加金鉱カリダス、突然の経営破綻 ゴールドラッシュの裏でコスト拡大か
カナダの金採掘大手でオーストラリア株式市場(ASX)に上場するカリダス・リソーシズ(Calidus Resources)は7月1日、自社ホームページ上で、「6月28日付で第三者の管理責任下に入った」と、経営破綻を発表した。ASXでの株式取引も同日停止。金相場が高止まりする中で何が起きたのか。
発表によると、カリダスの管財人らは既に事業売却に向け緊急の資産評価に着手している。関係者との協議も並行して進めている。
プレスリリース(管財人サイドによる): 2fb6f513-2dd.pdf (investi.com.au)
プレスリリース(管財人サイドによる): 998e332e-c72.pdf (investi.com.au)
■地盤が硬くて採掘コスト拡大?
カリダスは、西オーストラリア・ピルバラのワラワナ金鉱で金の採掘を手被けていた。3月にはワラワナ金鉱の生産量が「過去最多になった」と発表。さらに、6月14日にピルバラの別の金鉱で「まとまった金埋蔵プレートを発見した」と発表し、「新たな発見で収益は大きく向上するだろう」と意気込みを見せていた。ピルバラでは銅大手のSQMと共同でリチウム開発も手掛け、事業は順調に見えた。
しかし、7月3日のABCビジネスによると、ピルバラ金鉱は他の地域の金鉱に比べて地盤が固く、採掘コストがかさみがちだった。何よりも、カリダスは豪金融大手のマッコーリー・グループから大規模な融資を受けていたとされる。ABCビジネスによれば、カリダスのマッコーリーからの負債総額は約6100万ドルだが、手持ち資金は800万ドルほどしかなかった。
7月1日付の英字紙フィナンシャル・レビューは、カリダスはマッコーリーに対する返済期限を数度に渡り延期したと伝えており、今回はマッコーリーがカリダスの管財人を呼び出して経営を管財人の責任に委ねた形となった。
■輝く金に魅せられて
足元では、金相場が過去最高値圏で推移する。5月20日には$2438/tozを付けた。その後も$2300台後半の値動きが続く。地域紛争が続く中で安全資産としての金が好まれやすい上、ロシアや中国などがドル決済を避ける意味で金を買う動きが強まっている。金を巡っては「当面、上昇が続く」(江守ファンドマネジメントの江守哲氏)として、先高観が根強い。
過去1年間のNY金価格の推移($/toz)
継続的な値上がりが見込まれる中、たとえ斃れる者があっても、「ゴールド・ラッシュ」は人を惹きつけてやまない。ABCビジネスは、「あそこには金がある」との業界関係者の声を伝えた。「カリダスが経営破綻したとしても、別の企業が同地域での採掘に挑戦することになるだろう」。
(IR Universe Kure)
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