インドネシア、ボーキサイト輸出再開を検討 採掘業や地域経済の促進優先で、現地紙報道
インドネシアが2023年に禁止したアルミニウム鉱石(ボーキサイト)の輸出再開を検討している。インドネシア現地メディアのBisnis.comが7月9日に伝えたところによると、同国のエネルギー鉱物資源省(EMR)が関係省庁との調整を行うもよう。輸出を禁止したものの、採掘業や鉱山地区など該当経済への影響もあり、政策見直しを迫られているとみられる。
ボーキサイト
(出所:wikipedia)
報道によれば、EMRのアグス・カヒヨノ・アディ報道官は同メディアの取材に対し、「調整は行われることになるだろう」と見直しの動きを認めた。また、7月初旬の政府の公聴会でも、議員らから鉱物資源相に対し、輸出再開を検討するよう促す声があったという。
インドネシアのジョコ現政権は、単純な資源輸出国から加工製造業国への転換を目指し、2023年6月のボーキサイトのほか、ニッケル鉱石や鉄鉱石、錫といった原材料の輸出を禁止・制限してきた。国内での生産分を加工に回すことによって国内加工業の振興を狙ったものだが、国内で採掘事業に従事してきた国民からの不満が上がったり、ニッケルなどでは密輸が横行したりなどの歪みも出ていた。
関連記事: インドネシア ボーキサイトに続いて銅鉱石も輸出禁止に 23年半ば目処 | MIRU (iru-miru.com)
関連記事: インドネシア、ニッケル輸出の取り締まり強化か 違法輸出が横行、高付加価値目指すも抜け道 | MIRU (iru-miru.com)
ボーキサイトを巡っては、インドネシアは世界5位の生産国。採掘従事者は多く、かねて鉱山労働者グループからの不満は伝わっていた。加えて、2月の選挙でプラボウォ氏が当選し10月に政権が変わることから、これまでの政策を見直す動きが活発化している。
もっとも、一度禁止した輸出を再開するのは簡単ではない。同国の業界団体であるインドネシア鉱業・エネルギーフォーラム(IMEF)の高官は、「再開前にはまず現在のアルミナ加工能力をチェックし、加工業の振興が果たされているのかどうかを調べるべきだ」と述べたとも伝わる。再開にはしばらく時間がかかりそうだ。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/05/09 阪和興業: 25/3期決算を発表、26/3期は増収減益予想
- 2025/05/09 5月の世界経済 好材料乏しく下向きか、野村・高島氏 不調な4月経済指標の発表が重荷
- 2025/05/07 大手アルミ合金メーカー原料買取、関東・関西地区ともにオール5円下げ―今後、特別取引の可能性も
- 2025/05/07 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム〜パネルディスカッション
- 2025/05/04 LME Weekly 2025年4月28日-5月2日 米自動車関税一部緩和も弱気中国PMIでCu反落、Al,Niは上昇
- 2025/05/02 アルミ合金&スクラップ市場近況2025#8 製品、ついに400円割れ 先安観依然強く
- 2025/05/02 第5回CEシンポジウム in NAGOYA詳報2――不二商事・三協立山・HARITA
- 2025/05/02 2025年4月LMEアルミ&NSP相場推移 米相互関税と中国報復が痛手、4カ月ぶり大幅反落
- 2025/05/01 米ウクライナ、資源協定を締結 復興基金を共同設立、米財務省が発表
- 2025/04/30 大紀アルミ:25/3期は、特別損失の計上へ