ユニオンツール(6278)24/12Q2WEB説明会メモ BUY継続
24/12期AI半導体向けULF続伸、18.4%増収69.4%営利増に増額も再増額期待
株価(8/15):5660円、 時価総額1119億円、 発行済19780千株
PER(24/12DO予):19.3X PBR(1.36X)配当(DO予98円) 配当利回り:1.7%
・24/12H1は先端半導体向けULF続伸継続し28.2%増収51.7%営利増と収益上伸
・24/12期ULF伸長続き18.4%増収69.4%営利増に増額もULF増額で再増額期待
・25/12期もAI半導体向けULF需要増から6/11期経常82.38億円の更新期待高まる
24/12H1は先端半導体向けULF1続伸継続し28.2%増収51.7%営利増と収益上伸
24/12H1決算が8/7に開示され説明会が8/8に開催された。24/12H1は売上高157.94億円(5/13修正予想比13.94億円増額、同期比28.2%増)、営業利益31.08億円(同5.08億円増額、51.7%増)、経常利益33.62億円(同4.62億円増額、55.4%増)、税引利益25.27億円(同4.27億円増額、56.0%増)と収益上伸が続いた。
地域別収益では、主力の日本地区がセグメント間取引含む売上高で107.35億円(25.7%増)、営利24.07億円(96.3%増)と伸長を続けた。国内向けではULF1コートドリルが過去最高水準だった 22/12HIに対し14%増で過去最高本数の販売本数となった。用途として数量で全体の2/3を占めるBGA向けがピーク比7%増、伸び率では全体の20%強を占める多層基板用が21/12H1の2.1倍水準と倍増した。なお外部売上は55.14億円(10.4%増)に対し、内部利上げが52.21億円(47.2%増)と台湾向け中心に生産が伸長したものとみられる。利益面ではPCBドリル販売数量に占めるコーティングドリルの構成比が29.9%まで高まり(23/12H1は16.9%で13ポイントアップ、数量は推定2.15倍の43百万本)、ULFシリーズは国内でしか生産しておらず、高収益のULFが牽引、円安効果もあり営業利益率が8.0ポイント向上し22.4%となった。ちなみに外部取引での営利率は19.2ポイント向上し43.7%となっている。アジア地区は売上高84.23億円(51.4%増)、営利6.26億円(同期比6.20億円改善)と生成AI関連市場の拡大による高付加価値工具への需要増、現地工場の稼働率アップで利益拡大に。売上は少ないが北米が15.3%増収28.9%営利増、欧州も3.7%増収、77.5%営利増と円安効果がフル寄与している。
製品別では切削工具売上高が143.10億円(33.7%増)、営利30.15億円(70.8%増)。内訳は主力のドリル売上高が113.12億円(40.5%増)、エンドミル29.98億円(12.8%増)と、UFL拡大でドリルの伸びが高く、エンドミルは自動車などが堅調な伸びに。
24/12H1期末6月の国内仕向け先販売数量構成比は半導体パッケージ向けが46%と23/12H1期末比14ポイント上昇、通信も3ポイント上昇し15%、デジタルモバイル向けも3ポイント増の15%、一方で車載向けが減産影響もあり10ポイント減の20%、その他は代理店経由が増加し5ポイント低下し15%となり、まさにURFによる半導体PKGのインパクトが大きかったかがわかる。
全体を通じ、先端半導体製造向に高収益なULFの拡大加速、売上増効果とともにMIX良化、円安効果も営利3.99億円寄与し収益上伸が続いた。
24/12期ULF伸長続き18.4%増収69.4%営利増に増額もULF増額で再増額期待
24/12H1の好調を受け24/12期予想を再度増額、売上高300億円(5/13増額予想比11億円増額、18.4%増)、営利64億円(同9億円増額、69.4%増)、経常利益67億円(同9億円増額、64.5%増)、税引利益46億円(同3億円増額、49.4%増)予想とした。なお、為替前提を2度目の金利引き上げを勘案し1$=140円から130円前提に変更している。
現状、国内のFC-BGA基板向けはインテル向けがインテルの生産遅延があるものの、台湾向けがインテル以外のAMD、NVIDIA向けの拡大採用などで急拡大している。会社側ではULFの販売を24/12H1対比24/12H2は40%増(推定6100万本、24/12期では前期比推定2.1倍、1.04億本推定)を見込み、ULF以外については微増を想定、収益性はULFの構成比が更に高まることで各種コスト増を補い順調な収益拡大を見込んでいる。現状、ULFの能力増強について十分対応可能ということで、会社計画の売上再増額が期待され、07/11期の最高売上高303.54億円を抜いて過去最高売上更新が期待される。また利益面では為替前提を1$=140円から130円に引き下げており、為替差益分も上乗せが見込まれる。
25/12期もAI半導体向けULF需要増から6/11期経常85.19億円の更新期待高まる
25/12期についてもAI半導体の勢いが更に増す状況にあり、同社収益の上伸が続こう。具体的に 24/12期には構成比34%程度に達するとみられるULFはAI半導体の需要増以上に使用本数が増すとみられるだけに、26/12期も上伸が続こう。具体的にFG-BGAパッケージについて、サーバー用CPUやハイエンドPC用CPU、高性能GP、TUではコア有りパッケージが使用され、このコア層にドリルが使用される。代表的なAIサーバーにおいては高多層基板にGPUパッケージ基板を乗せたGPUボードを10基、CPUパッケージ基板を2基搭載、これを高多層マザーボードに積層している。これにより、AIサーバー1台当たりのプリント基板枚数は23枚にも達し、一般サーバーと比較して5~6倍に達する。さらにNVIDIAのGPUチップH100ではGPUチップ1枚とHBMチップが1枚の基板上に配置されているため、GPU自体で8枚の基板が必要となる。
さらに今後NVIDIAの次世代GPUのB200では2GPU、8HBMを1基板に搭載する形となり、10枚の基板、しかもマザー基板の面積が倍以上となる予定で、ドリル使用箇所も面積対比で多くなるとみられる。同社は現在、FC-BGAパッケージで市場シェア75%以上を製造している主要5社(ユニマイクロン、イビデン、SEMCO、NanYaPCB、新光電気工業)に対し、70%~80%シェアでULFドリルを供給している。またそれ以下のKinsus、AT&S、京セラ、凸版に対しても同程度のシェアを有するとのこと。半導体メーカー別ではIntel向け100%シェアということであるが、TSMCを通じて製造されるNVIDIA、クアルコム、AMDなど先端チップの多くが同社のULFドリルで加工されている。同社は先端パッケージ向けのULF能力はコーティング装置の増設で月産1000万本体制程度は確保できている模様で、現在の1.5倍まではコーティング設備を新設せずに能力増強が可能としている。実際に加工システムの自動化装置(第4世代)の能力増強を随時図って能力増強を行うとしている。現状、トレンドフォース24/7調べでAIサーバーは2024年に前年比41.5%増の167万台となる予想で23/5時予想の150万台に対し大幅な増額予想となっている。全体のサーバーに占めるAIサーバー比率も12.2%(2023年は8.8%)に高まるとしている。このペースは2025年も継続する見通しで、2026年には280万台程度まで拡大もあり得る。また富士経済の調査でもAIサーバー需要が2029年に2023年比3.4倍となる予想を公表している。
このため同社ULFドリル販売も40~50%成長が続こう。さらに25/12期は半導体製造装置のシャワー電極の加工に利用されるDUC(ダイヤモンドコーティングドリル)の拡大も期待される、DUCが主に利用されるのはメモリー向けであり、2025年にはNANDメモリーも本格回復が見込まれており、シャワー電極もマルチチャンバー化で製造装置台数以上に伸びが期待されるため、同ドリルも売上本格回復が見込まれる。
エンドミルは全体の80%が金型向けで、用途は従来ワイヤレスイヤホン用ソケット向け金型、スマホ用レンズ金型向け等が中心で、スマホ向けの伸び悩みが続いている模様。一方で自動車向けの拡大が期待、特に海外向けにφ3mmシャンクエンドミル「Vシリーズ」を投入、全体では2ケタ成長が続き、エンドミルで早期に売上高100億円を目指す。
全体として世界的にAI半導体の爆発的な伸びに支えられ25/12期も収益上伸が続き、折り畳み携帯ヒットで大きな利益を稼ぎ出した06/11期の経常利益85.19億円を抜き、過去最高益更新の期待が高まる。
株価はAI半導体向けULFドリル拡大で5/13の24/12Q1決算開示で大幅増額修正され、株価が高騰、7/1には6381円の高値を付けた後、AI半導体関連株の下落、で昨年8/11に年初来高値4240円を付けたが、その後は半導体関連銘柄の下落、市場の暴落もあり8/5には4275円まで下落した。しかし8/7の24/12H1発表で再増額したことから急反発している。現在、24/12期再増額修正予想EPS266.28円に対しPER21.2倍はプライム機械平均PER17.9倍に対し割高となっている。機械銘柄の中でAI半導体関連銘柄としてのディスココンセンサス予想37倍に対し割安、TOWAの20.8倍とほぼ同じ水準、一方で工具関連銘柄の日進工具16.4倍、グローバル展開するOSG11.9倍と比較して割高となっている。現在、為替前提、先端半導体向け好調で再増額期待があり、四半期ごとに増額修正が見込まれること、ディスコとともに高シェアを持つ企業だけに、AI半導体関連銘柄の代表株として来期も収益上伸が見込めることから、再度高値更新があると判断しBUY継続とする。
*タップ、エンドミルのOSG(6136)、精密エンドミルの日進工具(6157)、ダイシングのディスコ(6146)との比較
(H.Mirai)
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