マフテックが提案する高性能複合材~第22回 SMART ENERGY WEEK より~
マフテックはこれまで自動車業界で内燃車向け排ガス浄化装置の一部として長年数多くの実績を培ってきたMAFTEC™ Blanketや、高耐熱性や断熱性を有し各種工業炉で優れた省エネルギー効果を発揮する高温炉用断熱材に加え、高い遮炎性能を有するBEV(バッテリーEV)用のMAFTEC™ Blanketを基材とした複合材を展示していた。
MAFTEC™ Blanket
今回、本製品の実物が展示されていた。
Maftec Blanketは、主に製鉄業、自動車産業、その他高温領域で使用される高機能な断熱材だ。この製品は、独自の「ニードルパンチ製法」と「繊維径コントロール技術」によって開発され、耐熱性、耐風食性、安全性を備えている。
Maftec Blanketの主な原材料は、ムライト結晶構造を持つアルミナ繊維だ。このムライト結晶構造により、1600℃の高温環境でも安定した断熱性能を発揮し、1300℃までは弾力性とクッション性も維持される。以下の特徴が際立つ。
- 耐熱性: 1600℃という非常に高い温度下でも形状を維持し、断熱性を提供。
- 軽量性と強度: 軽量でありながら、繊維間の結束が強固なため耐久性に優れる。
- 化学的安定性: 高温・高圧環境下での耐久性が高く、化学的に安定。
- 安全性: MAFTECは繊維径を5〜7μmに制御しており、人体に有害とされる直径3μm以下の繊維を含まないため、安全性が確保されている
主な用途
Maftec Blanketは、特に以下のような高温耐火用途で活用されている。
- 製鉄業の炉壁断熱材
高温の炉内環境を外部から隔離し、エネルギー効率を向上させるための断熱材として用いられる。 - 自動車部品の保護材
自動車のエキゾーストシステムや触媒コンバータの断熱材として、エンジンや周辺機器を保護する役割を果たす。 - 産業炉や加熱炉のライニング材
加熱炉の天井や壁面に用いられ、耐風食性(風やガス流の摩耗に対する耐久性)を持つため、耐久性を向上させ、長期的な使用を可能にする。
競合製品との比較
Maftec Blanketは、従来の断熱材(例: セラミックファイバーやアスベスト)と比べて、以下の点で優れている。
- 耐熱温度の高さ
ムライト結晶構造のアルミナ繊維により、1600℃に耐えることが可能だ。一方、セラミックファイバーは通常1260℃まで、アスベストはそれ以下の温度で劣化が始まる。 - 安全性
MAFTECは、人体に有害な微小繊維を含まず、使用者の健康に対するリスクが少ない製品だ(RCFやアスベストは、微細な繊維が呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性があるため、取扱いが難しい)。 - 環境負荷が低い
日本の「特定化学物質の管理」における特定管理物質には該当せず、法規制に対する適合性が高い点も環境面での利点だ
Maftec Blanketは、高温領域での断熱材として最適な製品だ。耐熱性・耐久性・安全性の面で優れた性能を持ち、製鉄業、自動車産業、産業用加熱炉など、さまざまな分野で幅広く使用されている。また、環境負荷を低減する素材であり、次世代の工業用断熱材として有望な素材だ。
Maftec Blanketのような製品は、普段の生活では目にすることはないが、製鉄や自動車産業などの工業分野で重要な役割を果たしている。特に、高温環境下で機器や施設を守り、エネルギー効率を向上させる点で、見えない部分で産業を支えているといえる。
こうした優れた素材があることで、産業の安定的な運営と高い品質が実現できている。普段は意識されることの少ない「影の主役」として、企業や技術者たちが革新を続けているからこそ、社会全体の発展が支えられている。今後もMaftecの技術が多くの分野で活用され、さらなる進化を遂げることを確信している。
(IRuniverse Imahoko)
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