群馬県 金属スクラップ関連市場の規律付けに向け2条例制定へ――不正品流通に規制の網
群馬県が金属類などの県内での不正流通対策に動き始めた。自動車ヤード規制と太陽光発電施設からの金属類の盗難防止を目的とした2本立てで条例を策定、金属スクラップ類などの適正な流通基盤の整備を急ぐ。すでに条例制定へ県警本部が中心になって、その策定作業に入っており、同県内で増加傾向をたどる不正品流通に総合的な規制の網をかける狙いだ。
県警ではまず自動車ヤード条例を先行させながら、太陽光発電設備からの金属盗難条例を制定する段取りで臨みたい考えで、「千葉県など先行自治体の事例などを研究しながら制定作業を急いでいる」という。取締り強化にもかかわらず、不正に取得された自動車部品の流通などが目立ち、24年9月末時点の被害件数は前年同期比34件増の182件を記録しており、またその額は7億円超にのぼるという。
太陽光発電施設でも、今年に入って同県内では、送電用の銅線ケーブルが盗まれる被害が9月末までに985件あり、前年同期比で240件増と急増しているという。
こうした事態を踏まえて県警では2本立てで条例を制定、規制に乗り出すことにした。条例内容について今後詰めを急ぐ考えだが、基本的にはヤード内自動車部品保管業者や金属買い取り業者に、取引記録の保存や、盗品と思われるものが持ち込まれた場合、警察への連絡を求める方向で調整することになるという。実効性を担保するため、立ち入り検査権を条例に盛り込むことも視野に入れている。
警察庁などの統計によると、金属窃盗の被害認知件数は全国的に急増しており、23年は、前年比5,908件増の1万6,276件だったという。23年の認知件数を主な都道府県別にみると、茨城が2,889件と4年連続で最も多く、これに千葉1,684件などが続いており、関東圏での被害が目立つ。
5月9日にあった警察庁の定例会見でも同庁の露木康浩長官は、太陽光発電施設で相次いで銅線が盗まれた事件を例に挙げて、「外国人グループが複数の県で犯行を重ね、被害品をまとめて買い取り業者に売却している実態がある。不法滞在外国人の収入源になっていることがうかがわれ、治安上も大きな課題だ」と述べている。
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(IRuniverse G・Mochizuki)
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