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モリブデン価格が堅調 酸化20ドル台で底堅く、減産で供給懸念 中国景気にも明るさ

 特殊鋼の添加剤などに使われるモリブデン価格が堅調に推移している。酸化モリブデンは10月24日に仲値$22.25/LBを付け、その後も同水準で推移している。銅の生産が増える中、副産物のモリブデンは置き去りにされる形で減産傾向にあり、2024年に入ってからはおおむね$20台での堅調な推移が続いている。

 

■昨年の波乱終え静かな動き

 

過去3年間の酸化モリブデン価格の推移($/LB)

 

 モリブデンは2023年に変動が大きかった。酸化モリブデン価格は2023年3月に$37.5と直近高値を付けたがその後急落し、12月には$18まで落ち込んだ。2024年はここからじりじりと値を戻す展開で、2月以降はおおむね$20を維持。6月には$22.75まで上げる場面もあった。

 

過去3年間のフェロモリブデン価格の推移(basis 65%min)($/kg Mo)

 

 鉄鋼向けのフェロモリブデン価格も同じ経緯をたどる。10月31日仲値は$50.95/kg。2023年2月に$105.5まで上げていた。2023年11月に$41.5まで下げたものの、2024年に入ってからはおおむね$45を上回る水準で推移している。

 

■銅に生産集中、副産物回収は置き去りに

 2024年に入ってからの価格の底堅さの理由はいくつかある。まず、供給面では2023年の価格急騰の要因となった鉱山側の減産がある。モリブデンは埋蔵量では中国が多いが、生産・輸出ではチリを中心とした南米の存在感が大きい。

 

モリブデンの生産・輸出国

(出所:JOGMEC)

 

 そのチリでは、モリブデンは主に銅の副産物として生産されている。いわゆるハイプロダクト鉱山で、モリブデンのみを生産するプライマリー鉱山とは違い、他の金属の副産物としてモリブデンを回収する。経営の足かせにならない程度に副産物を回収するのが基本だ。

 2024年は銅相場の急騰に伴い鉱山側の生産の労力は銅に集まった。モリブデン生産は置き去りにされ、結果的に減産となった。外資系商社の担当者もIR Universeの取材に対し、「英豪リオティントやチリのコデルコといった銅生産大手がモリブデンを減産しており、供給はタイト感がある」と話した。

 

 次に、需要面では主用途の鉄鋼はさえないとはいえ、他の用途は比較的堅調だ。欧米で輸送管の添加剤としてのモリブデン需要があるほか、消費の多い中国でも風力・原子力発電向けや造船、軍需需要などが堅調とされる。

 中国では10月31日発表の2024年10月の製造業景況感指数(PMI)が50.1と半年ぶりに好不況の境目である50を回復し、景気にやや明るさも見えてきている。

 

中国PMIの推移

(出所:中国国家統計局)

 

■上値突き抜けるには中国の不動産回復が必要か

 今後の価格動向については、堅調が続くとの見方は多い。前出の外資系商社の担当者も酸化モリブデン価格は「今後も$20台は維持できそうだ」と話す。

 ただ、価格には上値の重さも目立つ。酸化モリブデンは$25を前に足踏みする状態で、2023年のように$30台を突き抜ける勢いはない。主力の鉄鋼向け需要が本格回復しておらず、供給が多少細っても調達側にはひっ迫感までは生じない。鉄鋼需要は特に中国の不動産市況の回復が一番に待たれるところだが、それは一番難しいと言える。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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