家電リサイクル法、販売形態の変化に伴う再検討を―家電製品協会

見学会に参加した星野部長(左)と川上専務
家電製品協会は6日、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)の理解促進を目的とした指定引取場所・リサイクルプラント見学会を横浜市の東芝環境ソリューションで開催した。当日は施設見学のほか、家電リサイクル法に関するレクチャーも実施。同協会の星野隆宏環境部長は同法律の概要と意義を説明したうえで、「施行当時の状況とは随分と変わっているところもあり、再検討する余地もある」と見解を示した。
家電リサイクル法は、排出された家電製品(エアコン、テレビ(ブラウン管、液晶式、有機EL式、プラズマ式)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)から、有用な部分や材料を効果的にリサイクルするための法律。廃棄物の減量や資源の再利用に加え、フロンを含む有害物質の排出抑制や最終処分場の残余年数の延長などを目的に2001年4月に施行された。
2022年度の品目別の再商品化率は、エアコンで93%、ブラウン管式テレビで72%、液晶式・プラズマ式テレビで86%、冷蔵庫・冷凍庫で80%、洗濯機・衣類乾燥機で92%となっており、いずれも、継続的に法定の再商品化基準を上回る実績を挙げている。23年度の家電メーカー各社によるリサイクル実績においても法定基準以上の成果となっており、廃家電 4 品目合計で約1445万台の引き取りを行った。
施行以降は産業構造審議会で制度の見直しや再検討を行う小委員会が計4回開催され、対象製品の追加や回収率目標の設定、フロン類の回収・破壊の義務付けに伴う事業者の記載事項追加などの改正が行われてきたものの、大きな枠組みの変更がされていないのが現状だ。22年6月に公表された「家電リサイクル制度の施行状況の 評価・検討に関する報告書」でも、多様な販売形態をとる小売業者への対応や回収方法・不法投棄への対応などを課題としては認識しているものの、「あり方を検討していくべき」と留めており、現状として大きな改正は実施されていない。
星野部長は、再検討の焦点の例として販売形態の変化を挙げ、「当時は町の電気屋さんで購入するのが主流であったが、最近ではネット販売の比率が上がってきている」と言及。業者による製品や配管の回収形態も変わってきていることから、再検討の必要性を強調した。
また、見学会の冒頭挨拶に登壇した家電製品協会の川上景一専務理事も制度が順調に運用されている一方で、「エアコンの回収率向上やブラスチックの再生利用推進といった課題も抱えている」と分析。そのための対策として、「国民の皆様の家電リサイクル法への理解を深めていくことが重要」と語った。
(IRuniverse K.Kuribara)
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