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日揮(1963):子会社日本ファインセラミックスが先端半導体製造向け複合材料MMC展示

セミコンで日揮子会社日本ファインセラミックス先端半導体製造向け複合材料MMC展示

 

 12/11から東京ビッグサイトで開催されたセミコンジャパン2024において、日揮HDの100%子会社である日本ファインセラミックスブースで先端半導体製造向け複合材料MMCなどの展示が行われた。

 

 日本ファインセラミックスは1984年4月に、日揮と宮城県、地元経済界などの出資による日本初の第3セクター研究開発型企業として仙台市に設立、セラミックスの電気特性を生かした各種薄膜集積回路や電子基板、高品位アルミナ基板などの開発を行い、1992年に研究開発型企業から製造メーカーへ転換を図るため日揮100%会社として再スタートし、その後、様々な企業の事業譲渡、M&Aなどを実施、新素材ファインセラミックスの専業メーカーとして成長してきた。現在、、電気特性を生かした電子材料セラミックス(Electronic Ceramics)、熱的・機械的特性を生かした構造材料セラミックス(Engineering Ceramics)、金属とセラミックスを複合化させた金属セラミックス複合材料(MMC:Metal Matrix Composites)の3種類のセラミックス材料を用い、一般産業機械やエレクトロニクス産業、自動車産業、光通信分野などで事業展開している。その同社が今回、セミコンジャパンにて先端半導体製造に欠かせない半導体プロセス部品の展示を行った。   

 

(出所:会社案内よりIRユニバース抜粋)

 

先端半導体プロセス向けに独自のセラミック・複合材料MMC利用の冷却ジャケット等展示     


 同社は密度、ヤング率、破壊靭性、曲げ強度、熱膨張係数など、様々な値を持つ材料を顧客ニーズに沿った形で製品提供している。今回展示されたものとして、温調ウエハチャックやエッチング装置用冷却ジャケット、化合物半導体向けにピンチャックがある。

 

 温調ウエハチャック(温度制御ウエハチャック)は半導体製造工程において、ウエハの温度を精密に制御すること、ウエハを真空吸着で固定し、安定した加工・検査を可能するための部材。一般的に-40℃から+150℃程度の温度範囲で制御し、温度均一性を高精度に維持し、プロセス掘削性を確保するもの。材質としてはベース部分が主にアルミニウムや銅などの熱伝導性の高い金属を使用し、 耐食性・耐摩耗性を考慮しアルマイト処理やめっき処理を施すことが多い。また内部構造として温調用の冷媒経路や熱対電、ヒーター等が内蔵され、真空吸着部についてはステンレスやセラミックスなどの耐久性の高い材質を使用するのが一般的。これに対し同社は最も得意とする熱伝導率の高いSiCで水冷流路を内蔵したSiCウエハチャックを提案している。

 

 専用の大型真空炉を保有しており□1mのSiC部品製作が可能。独自技術で炭化ケイ素セラミックス同士を接合することで、内部流路の形成や、中抜きによる部品の軽量化も可能としている。またSiCは他のファインセラミックスと比べ高温域(1000℃以上)での機械強度の低下が小さく、耐摩耗性の高い材料で共有結合性が強い。このため半導体のテスト温度範囲を拡大させることを可能とし、昇温降温時間の短縮が可能となり、テスト時間の短縮も図られる製品となっている。

 

 エッチング装置用ESC(静電チャック)-冷却ジャケットはエッチング装置のエッチング液を冷却する重要な機能を果たす部材。この冷却ジャケットによりエッチング液の温度を均一に保ち、エッチング深さの不均一を軽減する機能が求められる。同社は冷却ジャケットを一般的なアルミ製から同社の独自技術で製造されるMMC(金属セラミック複合材料)のSA701製に変更することで、半導体の3D化、多層化で差別化できる製品となることを期待している。このSA701は、SiC多孔体(50~75Vol%)に金属シリコンを含侵させた複合材料。アルミと同等の軽量性を持ちながら軽さでアルミの1.8倍、鋳鉄以上の高剛性を有し、低熱膨張、高熱伝導で放熱性に優れた材料となっている。軽量性と高剛性の両立:MMCはアルミニウムと同等の軽量性を持ちながら、アルミニウムの1.8倍、鋳鉄以上の高剛性を実現している。

 

 また優れた熱特性を有しており、熱膨張係数は7×10^-6/Kで、アルミニウム(21.0×10^-6/K)や鋳鉄(9.8×10^-6/K)よりも低く、セラミックスに近い値となっている。さらに160 W/m・Kの高熱伝導率を持ち、アルミニウム(138-140 W/m・K)よりも優れている。金属複合素材ということでセラミックスと比較して割れにくく、破壊靭性が優れている。このような多くの優位点を持つため、アルミナ静電チャック、アルミナ溶射との熱膨張差を縮めることで剥がれ防止ができる。さらに表面のマイクロクラック(微小欠陥)発生を防止し、アーキング(異常放電)防止にも効果がある。熱伝導率向上、熱膨張低減により、エッチングレート(材料を特定のパターンで削り取る加工速度)の向上も図れる。ターゲットとして3DNANDフラッシュの多層化対応を想定していたとみられるが、具体例で現在繁忙を極めるHBM3は最大12層の積層が可能で、次世代のHBM4では積層数が最大16層に達成する可能性があるとされている。これはメモリ容量の増加や処理速度の向上を目指した技術進化に対応するもの。

 

 多層化においてはTSV(シリコンゲート電極)の技術進化が必要で、各層を垂直に接続する積層数が増えるほど要求される技術精度が高まる。積層が16層になると、TSVの深さは通常の約30~50μmであり、16層では480~800μmのオーダーになるため、エッチングの均一性、エッチングレートの加工速度などで同社のMMCの優位性がフルに発揮できるとみられる。また本来ターゲットとしていた3DNANDフラッシュも2025年には再度設備投資が高まるとみられ、同冷却ジャケットも伸長が期待される。

 

 ピンチャックはウエハ保持治具で、裏面とチャック表面の接触面積を減らすため、多数のピン状突起が配列された板状のもの。基本的な構造としては多くの細かいピンが表面に配置された円盤状の治具であり、各ピンは独立して上下に可動し、ウエハ表面に合わせて高さ調整が可能。また真空吸着とピンのサポート力を組み合わせてウエハを安定して保持する。同社は軽量高剛性、低熱膨張、高熱伝導、耐摩耗性を持つSiCセラミックスを採用している。ターゲットとする分野は化合物半導体製造用。SiCは非常に高い熱伝導率を持っており、ウエハの加熱や冷却プロセスにおいて効率的な熱管理が可能で、しかも高温環境下でも安定性を保つ材料であり、高温プロセスを伴う化合物半導体製造(例:GaN、SiCウェーハ)に適している。また化学的に安定であり、強酸や強アルカリなどの腐食性薬品に対する耐性があり、化合物半導体製造では、多くの薬品を用いたエッチングや洗浄工程があり、これに耐えられる点は重要。同社は特に今後成長が見込まれる化合物半導体製造において最適なソリューションを提供できると期待している。

 

(*写真、図表は会社HP、製品カタログより抜粋)
 

日揮中計で26/3期に売上高8000億円、営利600億円目標とし

 

 日揮は2021年4月に中計を発表、26/3期に売上高8000億円、営利600億円を掲げている。この中で、日本ファインセラミックス事業の帰属する機能材製造事業は26/3期に売上高600億円を目指すとしている。                               

 

(出所:日揮2021年中期経営計画説明資料)

 

 

 同部門には同社事業に加え、日揮触媒化成の事業も含まれるが、現状、25/3期期初予想で520億円予想となっているが、25/3H1で上振れしており、増額修正含みであり26/3期予想は十分に達成可能な数字とみられる。なお日本ファインセラミックスの売上開示がなされていないが、日揮触媒化成の収益が官報で開示されており、日揮触媒化成もファイン事業で成長していることがわかる。 なお日本ファインケミカルの純利益については官報に開示されており20/3期6.89億円が24/3期には13.13億円にほぼ倍増している。今後も先端半導体の生産拡大により、高機能半導体製造部材、さらには日揮触媒化成もCMP関連の研磨剤、パッドビジネスなどの拡大も見込めるだけに、売上寄与は小さいものの、日揮グループの機能材製造の全体利益への貢献度が高まってこよう。 

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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