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【年末企画・チタン原料】じり安、塗料向け需要の弱含みで、中国の金属チタンは過去最安値

 2024年のチタン原料市場はじり安だった。中国景気の低迷に伴う世界的な製造業不振が続いた影響で、需要の9割を占める塗料向け二酸化チタン価格が落ち込んだ。川下の需要減を受けて原材料である鉱石価格がさえず、航空機向け需要が期待された合金向け金属チタンも中国価格が過去最安値圏に下げた。

 

 チタンを扱う中堅商社の担当者は10月、IR Universeの取材に対し、「酸化チタンが(需要不足で)下がり続け、原材料となるルチルや鉱石価格なども低調な市況感となっている」と話していた。市況感の悪化は年末になっても戻らず、形状によらず年末時点が年初来安値となる、じり安展開が目立った。

 

■自動車低迷が二酸化チタンの重荷

 

過去1年間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)

 

 二酸化チタン価格は12月19日に仲値$2040/tonを付けた。年初からの下落率は6.0%で、2022年10月以来の安値となった。二酸化チタンは塗料・顔料として、化粧品、化学繊維、医薬品、食品などにも使われるが、圧倒的に多いのが工業製品向け、そのうちでも自動車向けの存在感が大きい。

 その自動車市場は、2024年は低め安定だった。自動車産業専門調査会社のFOURINが12月に発表した「世界自動車統計年刊2025」(公開部分)によると、世界87ヵ国の自動車販売台数は、前年比0.8%増の8907万台になると推計される。いまだコロナ禍からの回復途上にあり、FOURINは過去最高の2017年実績(9620万台)を上回るのは2028年以降になると予想している。

 

自動車販売規模の実績と予測

(出所:FOURINレポート公開部分)

 

■鉱石価格も6%値下がり

 

過去1年間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)

 

 チタン鉱石は12月19日に仲値$372.5/tonと2021年3月以来の安値を付けた。年初比では6.8%安と、下落率は二酸化チタンよりも大きかった。川下需要の減少で生産を手控える動きが広がったとみられる。

 

 ■航空機向け需要、なお回復途上

 

過去1年間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)

 

 中国の一般産業向けスポンジチタンは大幅に下落した。12月19日に仲値$6.259/kgまで下げた。年初からは14.6%値下がりし、統計が取れる過去20年間の最安値圏で推移する。

 合金向けのスポンジチタンは主に航空機向け需要が期待される。しかし、2024年は回復基調であるとはいえ、本調子ではなかった。中国国内ではさらに国内景気の低迷が重荷となったとみられる。

 

関連記事:チタン:早まるのか!航空機向け需要の回復時期+前回の補足 | MIRU

関連記事:チタン:国内2社を深堀してみた | MIRU

 

■中長期では8%弱の市場拡大か

 足元はさえないチタン需要だが、中長期的には需要拡大期待が根強い。国際調査会社のスカイクエスト(skyquest)は、2月発表の公開レポートで、2024年のチタンの市場規模を308億9000万米ドル程度と予測した。2023年比では8%程度増え、2025年-2032年の7年間にも年平均7.96%拡大するとみる。酸化チタンにおいては軽自動車の人気化に伴う軽量塗料としての需要が堅調となり、スポンジチタンでは軍用を含む航空機向けや、宇宙関連の需要が増えると予測する。

 

世界のチタン市場の推移

(出所:Skyquest レポート公開部分)

 

 2025年に関しては、まずは塗料需要の回復に向け、自動車市況の回復が待たれる。航空向けは使途に占める比重は小さいが話題に上りやすく、チタン市場全体のセンチメントを左右する意味でも、引き続き注目が必要だろう。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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