厳しい環境ながらも技術・商いが進む25年――日本マグネシウム協会 令和7年新年会員懇談会
日本マグネシウム協会は15日、都内で令和7年新年会員懇談会を開催した。冒頭の挨拶で井上正士会長は、「マグネシウムの国内需要は、例年から比べると、数%増加し、約3万2000トンとなっているが、10年前の需要量に達してない。まだまだ厳しい状況が続いていると感じている」との認識を示した。24年を振り返り「30年ぶりに日本で、国際マグネシウム協会(IMA)主催の第8回国際大会が、福岡で開催された。この時にコロナ渦で実現することができなかった私どもの創立30周年祝賀会を3年越しに実施でき、喜んでいる。また海外から、100名以上の関係者を迎えることができ、マグネシウム業界の発展に向け、重要な役割を果たすことができた」と述べた。
井上会長
井上会長は、国際的なマグネシウム製錬のプロジェクトチームが立ち上がっていることに触れ「国内でもマグネシウム製錬の実現に向けた研究開発が、NEDOにより昨年まで行われていた。現在、研究成果を基にプロジェクトを進めている」とした。
来賓として挨拶に立った経済産業省の川村伸弥・製造産業局金属技術室長は、「マグネシウムは、GX・DX、いずれにとっても大変重要な必要不可欠な大事なもの」とし「(海外依存度の高い)マグネシウムは、供給源の多角化・安定調達への取り組み、代替手段の模索などリスクを低減する取り組みが大事になってくる」との認識を示した。
川村室長
経済安保については「日本の大事な技術が、他の国に万が一奪われてしまって、結果的には外国に淘汰されてしまうといったことが起きないような仕組みを日ごろから考えていくことが大事だと思う」とし、「政府としても、マグネシウム関連企業の技術を死守・強化することに対して支援していきたい」と言及した。
最後に挨拶した上島隆史副会長は、「24年の中国のマグネシウム生産量は、年間87万トン(速報値)あり、22年は、94万トン、23年は76万トンと一気に落ち、乱高下している状況。相場は、24年1月、3000ドル近かったところからスタートし、年末には2300ドルを割り込み、21年秋の暴騰前の水準に戻ったという1年だった」と昨年の市況を振り返った。
上島副会長
上島副会長は、「中国の景気低迷を考えると、(足元)供給過剰基調で、相場はコストラインぎりぎりで推移している」としながらも「(明るいニュースとしては)現在アルミの建値の2500~2600ドルに比べて、マグネシウムは2300ドルということで用途拡大には色々な障害があるが、アルミより高いというところは一つ払拭できた。25年、売り込みがしやすくなったということで、今年1年、マグネシウム採用拡大に向けて会員の皆さまに協力をお願いしたい」と挨拶を締めくくった。
(IRuniverse G・Mochizuki)
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