RSテクノロジーズ、海外VRFB事業を急拡大 スペインに電解液輸出、上海に孫会社設立
半導体シリコンウエハー(基板)の再生加工を手がけるRSテクノロジーズが、海外でのバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)事業を急拡大している。今週に入り、スペインへの出荷や上海での孫会社設立と、矢継ぎ早に海外向け事業を発表した。日本では「VRFBが得意とする大規模定置式蓄電池市場が拡大しなかった」(発表資料)として、海外に活路を見出している。
■連日で海外向け事業を発表
RSは1月23日、自社ホームページ上で、「VRFB材料を手掛ける子会社LEシステム(本社:東京都品川区)が、1月中旬からスペインの発電所向けに、VRFB電解液の輸出を開始した」と発表した。福島県浪江町の工場で生産した製品で、タンク数は507個(蓄電池容量では約8.5Mwh相当)。売上高は3億3000万円程度を見込む。
プレスリリース:20250123114054865s.pdf
同社は1月22日には同じく自社ホームページ上で、「中国上海市にVRFB用電解液関連の事業統括会社を設立する」とも発表した。福建省厦門市にある既存子会社が100%出資し、新たな孫会社の傘下に複数の中国工場を展開することも考えている。
同社は中国進出の理由としては、日本のVRFB市場がやっと立ち上がり始めたばかりであるのに比べ、中国では「すでに活況な市場があり供給が間に合っていない状況がある」と説明した。
プレスリリース:140120250122554028.pdf
■大型向けで寿命が長い次世代電池
VRFBは重量エネルギー密度が低く小型化には向かないが、サイクル寿命が1万回以上と長く10年以上実用できるなどの特性がある。日本では住友電気工業が早期から取り組み、次世代の蓄電池として期待は大きいものの、大きく普及したとはいえない状況だ。
RSは2011年にLEシステムを設立。茨城県つくば市に電解液研究所兼パイロットプラント、福島県浪江市に工場を所有する。
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(IR Universe Kure)
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