マクニカ、年間消費電力を15%削減する遮熱断熱塗料をPR―製造業カーボンニュートラル展

半導体商社大手のマクニカ(横浜市、原一将社長)は22~24日、東京ビッグサイトで開催された「製造業カーボンニュートラル展 -グリーンファクトリー EXPO-」に出展し、エアコン室外機の年間消費電力を10~15%削減する遮熱断熱塗料「マクニカット」などをPRした。
製造業カーボンニュートラル展はFEMSやエネルギーの見える化、再エネ、省エネ機器など工場のカーボンニュートラルを実現する技術が集結する展示会。製造業のトレンドを網羅した「Factory Innovation Week」の構成展示会の一つとして、「ロボデックス」「スマート工場 EXPO」「製造業 人手不足対策 EXPO」とともに開催された。
その中でマクニカは、「マクニカット」のほか、燃やさず安全に廃棄物の排出を抑制・再資源化するごみ乾燥減量装置「メルトキング」や、廃プラスチックを新たなエネルギー資源に変える廃プラスチック還元装置、エネルギー管理システム(EMS)など、工場の脱炭素化・廃棄物削減を実現するソリューションを多数出展した。その中でも幅広い製造業で導入可能な「マクニカット」は、多くの来場者の関心を惹いた。
同製品は塗るだけで消費電力を節約できる塗料で、室外機外装の塗布や同塗料を使用した省エネカバーの設置、周辺床面への塗布により、室外機を稼動に適した状態にすることで、年間の消費電力を10~15%削減。空調の省エネ・節電を実現する。夏季はもちろんのこと、冬季でも室外機のフィンに霜が付着するのを防ぎ、結果として室内機の動作効率の向上に貢献する。地球温暖化が深刻になるにつれ、これまで空調設備がなかった一部の製造業・加工業においても導入が広まっていることから、同塗料の活躍の場は今後さらに広まることが予想される。
展示会では一般塗料とマクニカットをそれぞれ塗った試験板を加熱し、遮熱・断熱効果を数値で示した。筆者が見た段階では一般塗料が70.3℃、マクニカットが60.2℃となっており、明確な塗布効果がみられた。
また、製造業カーボンニュートラル展と同時開催された「スマート工場 EXPO」でも製造業を含む工場での効率化に寄与する様々な提案が行われた。物流大手の日本通運は「誰にもやさしい工場内物流」をテーマに先進的なロジスティクスロボットの活用例を披露した。
WHILL株式会社と共同開発した車いす型の「作業専用モビリティ」は、歩行が困難な人の労働を支援するだけでなく、健常者の身体的負担を軽減するため、「マクニカット」同様に幅広い産業での活躍が期待される。電動車いすなどを製造するWHILL社をベースに倉庫作業に適した仕様に改良しており、長時間労働でも快適な作業環境を提供する。座面が昇降し高い棚へのアプローチが可能なほか、狭い通路でも走行できるよう回転半径を抑えている。Doogの協働運搬ロボット「サウザーミニ」を「作業専用モビリティ」に自動追尾させれば、用途の幅はさらに広がるため、人材不足解消の大き一手ともなりそうだ。
(IRuniverse K.Kuribara)
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