“薄さ”を追求した機能性素材―新機能性材料展2025

「超低目付不織布シート」で作成したクラゲの模型
新しい付加価値を創造するマテリアルの総合展示会「新機能性材料展2025」が29日に東京ビッグサイトで開幕した。コーティング剤や添加剤、インキ、有機・無機材料、不織布、機能紙など幅広い材料が出展されるなか、“薄さ”を追求したアイテムが多くの来場者の関心を惹いた。
帝人と帝人フロンティアは電池のセパレータ向けに開発した「超低目付不織布シート」などをPRした。同シートは“透けるほどに薄く、羽根のように軽い”をコンセプトに開発された機能性素材。目付2g/㎡の超軽量と0.01mm以下の薄さが特徴で、空隙率は80%以上。シート越しに文字も識別可能だ。電池のセパレータフィルムとして求められる抵抗の小ささを追求しつつ、耐久性とのバランスも考慮した。すでに試験的に販売開始されており、今後の普及動向が気になるところだ。
「超低目付不織布シート」
展示会では「超低目付不織布シート」で作成したクラゲの模型を展示。微風になびかせることで、極薄性と超軽量を訴求した。なお、帝人ブースでは同シート以外にも新開発海洋生分解性PLAやカーボンペーパー、放熱・電磁波吸収シートなど計13のアイテムを紹介。機能性と環境性の両立を来場者に訴えた。
特殊ガラスの世界的リーディングメーカーである日本電気硝子(NEG)も“薄さ”を強調した展示を行った。同社が出展した化学強化専用超薄板ガラス「Dinorex UTG®」はフォルダブルディスプレイのカバーガラス用に開発したもの。表面平滑性と曲げ特性に優れ、直径3㎜(R 1.5)の折り曲げにも耐える。結果として、信頼性の高いフォルダブルディスプレイの実現に貢献する。既にモトローラの新型折り畳みスマートフォン「motorola razr 50」にも採用されているという。
「Dinorex UTG®」(左)とそれを採用したスマートフォン
現時点では、国内市場に広く浸透しているとはいえない折り畳みスマートフォンだが、スタンドなしで動画視聴やカメラ撮影ができるなど、一部のユーザーからは強い支持を受けており、折り畳み可能な点を生かした新機能が搭載されれば、「Dinorex UTG(R)」の市場はさらに広がることが想定される。
(IRuniverse K.Kuribara)
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