チタン原料市場市況2025年2月 まちまち、精錬は小幅上昇も微調整 鉱石は安い
2025年2月のチタン原料市場はまちまち。中国の春節(旧正月)明けでまだ取引が本格的に回復しておらず、様子見気分が強い。二酸化チタン、金属チタンともに小幅に上げたものの微調整の域を出ず、チタン鉱石価格は下げるなど方向感に乏しい。市場関係者の間からは「体感としては2024年から横ばい」(燃料関連商社の担当者)との声がある。
FerroAlloyNetの2月8日レポートによると、中国のチタンメーカーは一春節の連休を終えてぽつぽつと業務を再開し始めたところ。ただ、取引先である川下企業は「春節前に注文を出し、目先の材料は間に合っている」といい、注文が少ないため様子見の姿勢を取るメーカーも多いという。
■二酸化チタンとスポンジチタンがともに上昇
過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)
全体の6割を占める塗料向けの二酸化チタン価格は1月23日に仲値$2050/tonを付けた。2024年12月中旬の水準に戻したが、直前の価格が4年超ぶりの安値水準だったことを考えると、微調整の域を出ない。
過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)
上昇は金属チタンも同じだ。中国の一般産業向けスポンジチタンも1月23日に仲値$6.444/kgに上げ、2024年9月下旬以来の高値に戻した。しかし、価格水準はなお統計が取れる過去20年間で最安値圏にある。
過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)
航空機向けスポンジチタンは2023年1月から横ばいが続く。
■四塩化チタンやフェロチタンも追随
他の形状も二酸化チタンやスポンジチタンに追随し、小幅に上昇した。ただ、やはり微調整のムードが強い。
過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)
四塩化チタンは1月16日に仲値RMB5950/mtと小幅に上げた。
過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)
フェロチタンは2月6日に$6.15/kgを付けた。1月30日に$5.9と節目の6台を割り込んだが、さすがにその水準からは戻した。しかし、急落前の$6.9には届いていない。
チタンスラグも様子見ムードが強い。FerroAlloyNetによると中国北部のある工場での取引価格が1月から値下がりし、同業間に失望が広がっている。一部の工場は、取引価格を無用に引き下げないために様子見姿勢を取っているとも伝わった。
■鉱石価格は下げ止まらず
チタン精鉱
過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)
一方、チタン鉱石は1月23日に仲値$350.5/tonと2021年2月以来ほぼ4年ぶりの安値を付けた。2024年9月下旬から10月初旬までを直近高値に段階的な値下がりが続き、下げ止まらない。
過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)($/ton)
ルチルは2月1日に仲値$1135/tonに小幅に上げた。2024年11月初旬から3か月余り$1125で推移してきたが、やっと動きが出た。しかし、中長期ではなお2019年5月以来の安値圏にある。
<Topics>
2月10日
2024年のロシア産チタンの中国への輸出量は、3700トンと前年比44%増加した。ロシアメディアのイズベスチヤが2月10日、ロシア国立大学教授による中国政府統計の分析として伝えた。
西側諸国がロシアのウクライナ侵攻を機に対ロ制裁を続ける中、ハイテク材料であるチタンの輸出先として中国が定着しつつあると指摘している。中国のハイテク材料需要の増加もロシア産チタンの対中輸出を後押ししたとみられる。
2月7日
東邦チタニウムと大阪チタニウムテクノロジーズはそれぞれ、2月7日までに2024年7-9月期の決算を発表した。
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(IR Universe Kure)
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